第7話

佳奈子が達也の腕を取ろうとしたが、彼はそれを避けた。

大勢の人の前で恥をかかされた佳奈子は、プライドを傷つけられ、目に涙が浮かんだ。

「皆様にお伝えしますが、私の妻である美和は、今日は体調が優れず、出席できませんでした。どうかご理解ください」

「それから、ネットで流れている私たちの離婚の噂は、まったくのデマです」

その光景を見て、私は胸がムカついた。

テレビを消して、深い眠りに落ちた。

翌日、私は病院に向かった。

母の体を拭いていると、急なノックの音が病室の外から聞こえてきた。

また達也だ。

私はすぐにドアを閉めようとしたが、彼が腕を挟んで止めた。

「美和、話を聞いてくれ！」彼は焦って言った。「裕太が大変なんだ！隣の病室にいる！」

そのとき、私は達也の手が血まみれなのに気づいた。

母親として、この状況では無視できなかった。

私は急いで達也について隣の病室に行った。

部屋に入ると、裕太が私に抱きついてきた。

「ママ！ママが来てくれた！」

裕太は病院の服を着ていたが、顔色は良く、病気には見えなかった。

私は裕太の体を確認し、達也が隠している手に目をやった。

「手を出して」

彼は言い訳をしながら言った。

「裕太、ベッドで大人しくしている約束だっただろう？」

私はようやく気づいた。藤原家の親子に騙されたのだ。

「達也、ふざけてるの？」

達也は懇願するように言った。

「美和、どうしても君が必要なんだ。俺たちはもう間違いに気付いた。裕太には母親が必要なんだ」

この男が私に頭を下げるのは、これが初めてだった。

私は怒りでいっぱいだった。

力を込めて、彼を平手打ちした。

「こんなことで私を騙すなんて、どういうつもり？」

「お前は本当に最低だ、達也」

裕太は呆然としていた。「パパ......ママ......」

彼は痛みをこらえ、呆然とした表情で言った。

「美和、俺には分かるんだ。このままじゃ君を失ってしまう、俺たちは終わりだ」

私は冷笑した。

「私たちはもうとっくに終わってる。達也、忘れたの？私たちはもう離婚してる。今さら何を演じてるの？」

「俺が悪かった。すべて俺のせいだ。どうすれば君に許してもらえる？」

「死んでくれれば、許してあげるわ」

彼は苦しそうな表情で聞いた。

「どうしてこんなことになったんだ？美