共有

第40話

恐ろしいのは、ダイヤモンド個室の最高級の宴は一席しかないため、あとから本当に貴客が来たらどう対処すれば良いのか分からないことだ。

佐藤大翔は立ち上がり、声を荒げて詰問した。「何やってんだお前?この個室は僕が予約したものだ。お前ら勝手に入ったり騒いだりして、どういうことだ?」

山口は佐藤大翔に指して聞いた。「お前が佐藤大翔なのか?」

佐藤大翔は頷いて、「そうだ」と偉そうに言った。

すると山口は冷たく命じた。「こいつを捕まえろ!」

二人の雲つくほどの大男が命令を聞いて、佐藤大翔を瞬時につかまえ、山口の前に引きずりだした。

「お前ら、何やってんだ?放せ!」

「くだらないことをほざくな!」

一人の大男が直接佐藤の膝を蹴りつけ、佐藤は激しい痛みで、そのまま山口の前にひざまずいた。

山口は冷酷な視線を佐藤大翔の身体中に巡らせた。それは冷たい刃物のような冷たい視線だ。

パチッ!

と、伝票がそのまま佐藤大翔の顔に投げつけられた。

山口は真っ向から怒鳴りつけた。「この個室を利用する資格があると思うのか?」

「いや、これは誤解なんだ。このゴールデン個室は僕が事前に予約したんだ。600万円の予約金もちゃんと支払っていたはずだ!」と佐藤大翔冷静を装って言った。

「何してくれるんだ?この個室は大翔が予約したものだ。こんなことをしていいとでも思っているのか!」と中村拓真も横槍を入れる。

山口はカッとつばを吐いて、佐藤大翔に平手打ちを食わせて言った。「ゴールデン個室だと?ここは賓客のためのダイヤモンド個室だ!お前のようなクズがここに来る資格があると思うのか?」

その話を聞いて、皆が驚きに呆然とした。

ダイヤモンド個室だと?

なるほどこの個室は至極の豪華さを誇り、料理や酒も最高クラスなわけだ。最初からゴールデン個室じゃなかったんだ!

中村拓真はひどく冷や汗をかいていた。ダイヤモンド個室は極めて高貴なもので、自分たちのような身分では全く足を踏み入れる資格すらなく、ましてや利用するなどとは。

佐藤えみは慌てて言った。「兄さん、小川さんとは知り合いなんじゃないの。はやくこいつらに説明して」

佐藤大翔は困り果てて、「黙れ!ごちゃごちゃ言うな!私の身分では小川翔太と知り合えるわけないだろう」と慌てて言った。

「でも、さっき兄さんは……」と佐藤えみは言った。

ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status