共有

第22話

健太が追いかけてきたら、まゆみが実は遠くまで行ってなくて、ホテルのそばの誰もいない隅にしゃがんで悲しそうに泣いていることに気づいた。

彼はゆっくりと近づき、スーツを脱いでまゆみにかけて、「まゆみ、そんなに悲しまないで。佐藤家の総監なんか大したことない、ならなくてもいいじゃないか......」と言った。

「あなたにはわからないよ。もし私が総監になれたら、両親は佐藤家で胸を張って生きられるのよ。どうしておばあちゃんが約束を破ったの......」まゆみは泣きながら答えた。

健太はさらに慰めて、「もしかしたらすぐに彼らが君に総監になってくれと頼んでくるかもしれない。今こんなに泣いてたら、後でステージに上がるときに綺麗じゃなくなるよ......」と言った。

まゆみはすすり泣きながら、「そんなことありえないわ。おばあちゃんが言ったことを撤回するはずがない。先に入って、私を一人にして......」と答えた。

その時、佐藤こころと佐藤大翔も宴会場から飛び出してきた。

こころは年を取って、息を切らして走っていた。彼女の後ろには、野次馬が後を追って出てきた。

大翔が外に出てくると、健太とまゆみの二人を見つけた。

彼は急いで駆け寄り、涙で顔を覆ったまゆみに、「まゆみ、中村副会長を追いかけてよ、彼女に私たちとの提携を中止させないように頼んでくれ!」と叫んだ。

まゆみは困惑した顔で、「提携を中止?どういうこと?」と聞いた。

大翔は怒って言った。「罪のない顔をしやがって。中村副会長が公然と私を辱めるように指示したのはあなたに違いない。このことを解決してくれなきゃ、ただじゃおかないぞ!」

パシッ!

そばにいたこころが再び怒って大翔の顔を平手打ちし、「このバカ者!妹に対してそんな口の利き方があるか!彼女こそが私たち佐藤グループの総監なんだよ!」と怒 鳴った。

大翔は焦って言った。「おばあちゃん……僕が総監になるって約束したじゃないですか?」

こころは怒って言った。「私が騙されなければ、どうして急に考えを変えるのよ。これ以上文句を言うなら、佐藤家から出て行きなさい!」

二度もこころに叩かれた大翔は心の中で激怒していたが、怒りを表に出せず、仕方なく一時的に我慢した。

こころはその時、まゆみに向かって言った。「ま
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status