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第44話

「コホン、彼はそう主張しているが、まだ徹底的な調査が必要だ。まあ、どうせ食うのにも困っているし、着るものもないようなホームレスだから、いつも物乞いばかりしていて、どう見ても反社会的で、精神的にも不安定な感じがするな」

前田署長が言った。

私はうなずいた。「彼に関する資料を送ってもらえますか?」

前田署長は微笑みながら断った。「それはどうかな?霍田社長に聞いてみたらどうだ?彼のほうが情報を持ってると思うよ」

彼の口からはもう何も引き出せないと悟った私は、それ以上は何も言わず、その場を後にした。

帰り際、前田署長は私を玄関まで送ってくれた。私は振り返りながら尋ねた。

「留置所はどこに移送されるんですか?」

「南郊第一留置所だよ」

「あそこの所長とはお知り合いですか?その時はぜひご紹介いただければ助かります」

「もちろん、もちろん、いつでも電話をくれれば対応するよ」

彼は名刺を両手で差し出し、さらにドアを閉めてくれた。

どうやら早く私を送り出したかったらしい。とにかく彼の手元ではなく、どの留置所でも私が容疑者に会わなければ、それで満足なのだろう。

「奥様、次はどちらへ?」

運転手が私に顔を向けて尋ねた。

私はすぐには答えず、慎一に電話をかけた。

しばらくしてから、電話が繋がった。相変わらずの冷たい声が聞こえる。

「何の用だ?」

「慎一、昨日のホームレスに会いたいんだけど、何とかしてくれない?」

この件の主導権を彼一人に握らせるわけにはいかない。希望が薄いことはわかっていたが、彼に頼るのが最も早い解決方法だった。私は基本的に遠回りも嫌いだし、損もしたくないタイプだ。

電話の向こうで彼はしばらく黙り込んだ。そして数秒後、冷淡に言った。

「証言を改ざんするつもりか?安心しろ、もし彼があなたのことを供述したら、俺はすぐに警察に連絡してあなたを呼び出させるさ」

......

彼の口は相変わらず毒舌だ。私は我慢の限界で怒鳴った。

「慎一、あんた頭おかしいんじゃないの!?」

私は怒りにまかせて電話を切り、運転手に向かって言った。

「誠和法律事務所までお願い!」

どうやら慎一は私を黒幕と決めつけているらしい。

どうしてそんなに確信を持てるの?

彼の中で私はそんな卑劣な人間だと思われているのだろうか?

悔しさで胸が痛くなり、ますます
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