第21話

霜村冷司の無表情の顔つきが、徐々に険しくなっていた。その目元や眉にまで、骨まで凍らせるような寒さが染み渡っていた。

彼は手に持っていたグラスを下ろし、氷のような視線を霜村涼平に向けた。

「どう思う？」

霜村涼平は勇気を出して推測する。

「僕は、少しは彼女のことを気にしているんじゃないかと思う。でなきゃ、林原辰也が彼女と寝たって聞いた時、怒って酒をぶっかけたりしないだろう？」

霜村冷司は冷たく笑った。

「彼女は私と別れてすぐに林原と寝たんだ。一時的に受け入れられなかっただけで、彼女を懲らしめただけだ。それが好きだってことになるのか？」

彼がそう言った時、その目の寒さはすでに消え去り、ただ冷たく距離を置くような冷淡さだけが残っていた。まるで、彼女に対する感情など全くないかのように見える。

霜村涼平はそんな彼を見て、内心で少し安堵した。

彼の兄、霜村冷司は精神的な潔癖症があり、彼自身が関係を持った女性が、他の男とすぐに関係を持つのを受け入れられないのは当然だろう。

そして、藤原優子が帰国した途端、兄は和泉夕子と別れた。和泉夕子がただの代用品であった証拠でもある。

霜村涼平はそれ以上何も言わず、グラスの中の酒を一気に飲み干し、立ち上がって言った。

「それじゃあ、兄さん、僕はもう帰るよ」

霜村冷司は答えず、ただ軽くうなずいた。

彼の冷淡な性格に慣れている霜村涼平は特に気にせず、コートを手に取り、そのまま部屋を後にした。

外は嵐のような雨が降っていた。秘書が傘を差し出して彼を車まで誘導する。彼は秘書に市内に向かうよう指示した。

信号で車が止まった時、霜村涼平はふと、豪雨の中に礼服一枚でタクシーを捕まえようとしている和泉夕子の姿を見かけた。

彼女の細い体は雨に濡れた礼服がぴったりと貼りつき、より一層、彼女のか弱さを引き立てていた。

海藻のような巻き髪が顔にまとわりつき、乱れていたが、その壊れそうな美しさはなおも輝いていた。

彼は次々タクシーが彼女の前を通り過ぎていく様子を見ていたが、どれも泊まるようとはしなかった。

彼は少し躊躇したが、最終的に秘書に彼女の前まで車を動かすよう指示した。

和泉夕子は手で目元の雨を拭い、ぼんやりと誰かが傘を差し出して近づいてくるのを見た。

その傘が頭上を覆った時、彼女は一瞬、動きを止め、ゆっくりと顔を上げ、そ