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第6話

「もう何が真実で何が嘘なのか、私も分からなくなった」

長いあいだの記録を私がまだ持っているとは、栄一も思っていなかっただろう。

結婚してからも、携帯を何度も買い替えてきた。

だが、私は新しい機種に変えるたびに、思い出だと感じるこれらの記録を一つ残らずコピーし、大切に保管してきたのだ。

年を取ってから一緒に思い出を語り合いたいと願っていたものが、まさかこんな形で役に立つとは想像もしていなかった。

その晩、栄一はライブ配信を始め、言い訳を並べ始めた。

「これらのチャット記録は大半が捏造されたものだ」

あの甘い言葉も、彼女に無理やり言わされたんだ。本心じゃない

妻が亡くなったことは、私にとって十分に辛いことだ。信じるか信じないかは自分次第が、どうかこれ以上私を中傷しないで」

彼は悲劇の主人公を演じ、多くの人がそれに感動していた。

「他のことはともかく、正妻が自殺したことは事実だろう?あの女が人を死に追いやったんだ、彼女の言うことなんか信じる価値があるのか?」

だが、冷静な人たちはその芝居には惑わされなかった。

「億万長者の女性が、貧乏な男と長年付き合い、記録を捏造して彼を苦しめ続けるなんて、無理があるだろう?」

「それに、正妻が自殺したってのも、彼らが言っているだけで、証拠なんか一度も出していないだろう」

その発言から、世の中の人は一気に栄一に疑いを向け始め、彼は正妻の死亡を証明するように求められることになった。

彼は動揺を隠しきれず、焦ってうつむきながら「重度うつ病」の診断書と、亡くなった女性の遺言だとするものをスクリーン越しに見せた。

「妻の死を冗談するなんか、私にはできない。彼女が生きていてくれるのなら......」

そう言いながらも、証拠はほとんど見せずに悲しみを強調するだけで、視聴者の注意をそらそうとした。

診断書も画面上で一瞬映っただけで、偽物のように見えた。

私はこれを見て、秘書に指示し、コメント欄で死亡証明書を要求するよう何度も催促させると、多くの視聴者も同調して同じ要求を繰り返した。

栄一は明らかに慌てふためき、「彼女の死は後から知ったんだ......」と言った。

「だから、死亡証明書の所在は分からないんだ......」と必死に言い訳をしたが、視聴者たちは納得しなかった。

「証明しようと思えば方法はいくらでもあ
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