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第5話

「さっき言ったこと、防犯カメラを調べるから。誹謗中傷で訴えるから覚悟しろ」

冷静な目で栄一を見つめ、今まで以上に心が覚悟していた。

「娘が無事であることを確認したら、離婚について話し合おう」

全身に痛みが広がりつつも、最後の力を振り絞って言い放ち、意識を失った。

再び目を覚ましたのは病院で、側には秘書が付き添っていた。

娘も無事保護され、隣の病室にいることを知った私は、痛みをこらえながら彼女のもとへ向かった。

目を覚ました娘は私を見つけると、抱きしめながら震えた声で告げた。

「ママ、怖かった......」

娘は、由太が自分を「愛人の子」と言いふらし、彼の「兄弟」と称する二人が教室に閉じ込めて脅迫し、顔を傷つけると脅していたことを語った。

さらには、彼らが不適切な行為に及ぼうとしたため抵抗したところ、ひどい暴行を受けたという。

警察がタイミング良く救出してくれたおかげで、大惨事には至らなかったが、娘の体には痛々しい傷が残っていた。

その傷を見るたびに、私の心はすごく乱れていた。

「今日の人たち、そして由太も、故意の傷害で訴える。絶対に許さない」

娘をなだめた後、秘書に手配を頼んだ。

また、栄一を誹謗罪で訴えるための証拠も収集し始め、彼に電話をして離婚を切り出した。

「離婚ならいいが、財産はすべて置いていけ」

電話の向こうで、栄一は当然とばかりに言った。

「今までの情から、少しばかりの金を残してやる」

「今の生活は私が築いたものだ。どうして私が手ぶらで出て行かなくてはならない?」

怒りを堪えながら問い返すと、栄一は冷静に続けた。

「世間はもう、君が家庭を壊した愛人だと知っている。誰も君の話なんか聞かないさ」

「君一人ならまだしも、娘も一生『愛人の子』として生きることになるぞ」

娘の人生さえも平然と脅しに使うその姿に、私の怒りは波のように寄せてきた。

しばらくして、私は冷静さを取り戻し、「話し合いで解決できないなら、裁判所で決着をつけよう」と告げた。

証拠が揃っていたため、由太とその仲間は少年院に送られたものの、未成年だったため短期間で釈放された。

一方、栄一は裁判のため、SNS上で自分を美化し、被害者ぶって世間に同情を訴えていた。

私のせいで正妻が亡くなった、自分は自殺しても良いと思っている、などと劇的なふりをして、み
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