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第193話

扉にぶつかった瞬間、遠藤西也は我に返り、口元に困ったような笑みを浮かべ、部屋を出て行った。

松本若子は熱いシャワーを浴び、髪を乾かしてベッドに横たわったが、どうしても眠れなかった。

風邪が悪化し、ついには咳が止まらなくなり、夜中にはひどくなっていった。

お湯は少し飲んだものの、あまり飲むことができなかった。気分が悪くて飲む気にならなかったのだ。

病気のせいか、彼女は布団にくるまって、心がひどく沈んでいた。

ぼんやりとした意識の中、彼女の脳裏にはまた藤沢修と桜井雅子が一緒にいる光景が浮かんでしまった。

「藤沢修、このバカ野郎、あんたなんか大嫌い、大嫌い!」

松本若子は目を開け、ふとベッドのそばに男性が立っているのに気づいた。彼女の感情は一気に崩壊し、毛布を剥がし、ベッドから飛び起き、その男性に抱きついた。

「うう......修、どうして私を愛してくれないの?どうして?」

「私の何がいけないの?私が君にふさわしくないから?それとも私の生まれが悪いから?それとも、私が醜いから?性格が悪いから?」

「教えてよ、何が悪いのか、私、直すから!」

「でも......どうして直す機会さえも与えてくれないの?君はそんなに桜井雅子が好きなの?彼女の何がそんなに良いの?」

松本若子はその男性の服をしっかりと掴み、涙と鼻水で彼をぐちゃぐちゃにした。

彼の胸で泣きじゃくった後、彼女は突然何かを思い出し、顔を上げて言った。「いや、もういい、教えないで。君が私を愛してくれないことは分かってる。どれだけ私が変わっても、君は私を愛さない。それなら、君が愛しているのは本当の私じゃない!」

「藤沢修、君は私をとても卑屈にさせた。私は自分の生まれにまで劣等感を感じて、君にはふさわしくないと思ってしまう」

「でも......でもそんな風に思うのは間違っていることも分かってる」

「修、もう君のために卑屈になりたくない。でも、どうしたらいいの?私はどうしても悲しさを抑えられない。自分をコントロールできない。私って、本当に情けない!」

男性は松本若子をしっかりと抱きしめ、彼女の涙を優しく拭いながら言った。「君が情けないんじゃない。愛するってことは盲目なんだよ。この世には、どうしても抑えられない感情があるんだ。それは君だけじゃない」

「本当に?」松本若子はかすれた声で尋ねた。

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