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第192話

「何を謝るんだ」遠藤西也は眉をひそめた。「君のせいじゃないだろう。彼女が勝手に連絡もなく来たんだから。君がいなかったとしても、僕は彼女を追い出そうと思っていたよ」

「君たち、仲が良いの?」

松本若子は、遠藤西也が妹に対して少し厳しいように感じた。

遠藤西也は苦笑し、「あの子はただのわがままで、親と毎日喧嘩ばかりしているんだ。彼女を同情しないでくれよ。彼女の性格を知るには、もう少し時間がかかるから」

「そうなんだ、分かった」

「君の部屋に案内するよ。ついてきて」遠藤西也は荷物を持って松本若子を二階へと連れて行った。

二人はとても清潔で整ったゲストルームに入った。大きな窓があり、外の美しい景色を眺めることができた。

「ハックシュン!」松本若子はまたもやくしゃみをし、鼻をこすった。

遠藤西也はすぐにティッシュを数枚取り出して彼女に渡し、「風邪薬を持ってくるよ」

荷物を置いて振り返りながら、「あ、でも、君は今妊娠しているから、薬は飲まないほうがいいな」と付け加えた。

松本若子は疲れた笑顔を見せ、「大丈夫。後で少し温かいお湯を飲めば治ると思うから、心配しないで」

「分かった。それじゃあ、お湯を持ってくるから、ちょっと待ってて」

遠藤西也はまるで彼女をとても心配しているかのようだった。

彼は部屋を出た後、階下に降りて、保温ポットを持ち、給水機で熱いお湯を注いでいた。

すると、遠藤花がゆっくりと彼の隣にやってきた。「お兄ちゃん、若子さんとは本当に友達なの?嘘じゃないよね?」

「嘘なんかついてないよ」遠藤西也は眉をひそめ、「君に警告するけど、彼女の前でお嬢様のわがままを出すなよ。分かったか?」

「何それ、まるで私がいつもわがままで横暴みたいじゃないの」

遠藤花は不満げに腕を組んで寄りかかった。

「違うのか?」遠藤西也は皮肉交じりに返した。

「分かった、分かった。好きに言ってよ。ところで、そのお湯、若子さんのために入れてるの?」遠藤花は尋ねた。

「彼女が風邪を引いてるんだ」遠藤西也は事実を述べた。

「へぇ、そうなのね。お兄ちゃんがわざわざ女性のためにお湯を汲んでるところなんて、初めて見るわ。しかも女性の友達に対してね」遠藤花は意味深に笑った。

お湯を汲み終えると、遠藤西也はポットの蓋を閉め、清潔なコップも用意した。

「花、彼女の前で変なこ
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Comments (1)
goodnovel comment avatar
桜香
二股男、なんなの? 妹としか思ってないなら、普通は抱けないでしょ。 ひとりで美味しいところだけつまみ食いして、ほんとにサイテー! 早急に捨てられて後悔のドン底に落ちればいいのに!
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