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第4話

辰也はついに私を見分けた。

足が止まり、信じられないほど目を見開き、冷凍庫をじっと見つめた。

唇が震えながら、「杏子?」と声を震わせた。

彼はふらつきながら私に向かって突進し、冷凍庫の上に倒れ込んだ。

「杏子?杏子なのか?」

辰也は冷凍庫に手を伸ばし、私の手を握った。冷たくて震えながらも、決して手を離そうとはしなかった。

私は彼が私の死体に触れるのが嫌だった。気持ち悪いとさえ感じた。

彼の手は私の心臓のあたりに触れたが、そこにはもう何の鼓動もなかった。

辰也の顔は苦しみで歪み、声は震えた。

「俺をからかってるのか、杏子?」

「簡単な手術だって藍井が言ってた…なのにどうしてここで寝てるんだ?」

「そうだよな、白布で覆われてるのって、生きてるならそんなことしないよ」

「あの時から、杏子はもう死んでいたのか?」

「なのに俺があんなひどいことを…」

考えれば考えるほど、胸が痛んだ。

辰也は地面に膝をつき、私の手を離さないまま涙をこぼした。

私は初めて、こんなにみじめな辰也を見た。

「俺を恨んでるのか?俺が杏子の味方をしなかったことを、責めてるのか?」

「全部俺のせいだ。もう藍井とは連絡を取らないって約束するから、目を覚ましてくれないか?」

彼の問いに答えるのは、ただの静寂だった。

彼は力なく地面に倒れ込み、髪が顔にべったりと張り付き、現実を信じられない様子だった。

私は冷たい目で彼を見下ろした。

生前にはこんな姿を一度も見たことがなかったのに、死後になって情が深い人間のふりをするとはね。

やはりクズ男は皆同じだ。

辰也は私の指から指輪を取り外し、何度も何度も確認した。

指輪の内側には、私と彼の名前が刻まれていた。

これが、私が彼の妻だったことを、そして彼目の前にある死体が私であることをはっきりと示していた。

辰也は長い間打ちひしがれていた。

まるで数十年も一気に年を取ったかのように見えた。

彼の目にあった絶望は、やがて怒りに変わっていった。

「藍井だ…」

「藍井が杏子を殺して、ここに隠したんだろ?」

辰也はますます激怒し、地面から立ち上がった。

「きっと彼女の仕業だ。俺は必ず杏子の仇を討つ」

私は空中に浮かびながら、彼を冷たく見下ろした。

「違う、私を殺したのは君だよ」

私が彼を愛しすぎたせいで、そして
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