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第9話

「彼女は私を憎んでいるんだわ」

母は写真を胸に抱き、ようやく涙を流した。

「私はあなたを憎んでいない。一度も憎んだことはないわ

ただ、どう向き合えばいいのか分からなかった」

私は胸を押さえ、涙を拭った。痛みが和らいだように感じた。

彼女は私を憎んでいないと言うが、彼女は私を愛してもいないのだと私には分かっていた。

彼女は涼介に全てのランプを運び出させ、一つも残さなかった。

そして写真を慎重に自分の持ち歩いているバッグに入れた。

お母さん、こんなことをして、遅すぎるとは思わないの?

それらのランプは必要ない。私の心を照らすことはできないから、私はまだ怖い。

13.

家に帰った後、母の最初にしたことは、綾子の書斎を片付けることだった。

そして、全てのランプをそこに置いた。

「お父さん、お母さんはどうしちゃったの?

死人の物を置くなんて、不吉だよ」

綾子は入り口に隠れ、ずっと父の腕をつかんでいた。

「彼女はもう死んだんだ。これらの物を残してどうするの。

家に置いておくのは不吉だ」

父は怒って近づき、テーブルランプを地面に投げ捨てようとした。

「やめて。誰も触らないで」

母は突然情緒不安定で、大声で叫んだ。涼介は慌てて彼女を支えた。

彼女は父の手からランプを奪い、しっかりと抱きしめた。

まるでそれは彼女には大切なもののようだった。

「それと、陽葵の遺骨は田舎に埋葬するわ。あなた達、戻るわよね?

土に彼女を埋葬しなければならない」

母は目の前の人々を冷ややかに見つめた。

「戻る、もちろん戻る」涼介だけは頷いて同意した。

綾子は見られながら、怖がって頷いて同意した。

「死人一人に、何を気にかける必要があるか」父は怒ってドアを叩いて出て行った。

そうだ、私はもう死んだ。何を気にかける必要があるのか。

母はこのことにこだわり、私をおばあちゃんの墓の隣に埋葬することを主張した。

その日は晴れ渡り、日差しはそれほど強くなかった。

しかし、私は幽霊になってから光を怖がるようになったとは、考えるだけで笑えた。

綾子は私に対して罪悪感があり、涼介の手を引いて、ずっと遠くに隠れていた。

悪事を尽くした者は、報いを恐れた。

母だけは墓の前に立ち、修理した仏像も一緒に埋めた。

「陽葵、ごめんなさい」長い沈黙の後、彼女はようやく
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