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第3話

その後、母は少し罪悪感を感じ、数日間私に優しくしてくれた。

しかし、その優しさもほんの数日だけだった。

4.

夜になり、婚約パーティーは無事に終了した。

今日は、誰の誕生日かなど、誰も気にしていなかった。

客人を見送った後、父はすぐに顔を曇らせ、涼介に私へ電話を掛け続けるよう指示した。

電話は電源オフから応答なしに変わった。

綾子は苛立つ涼介の手を押さえ、「兄さん、もういいわ。陽葵は私に会いたくないだけよ。大丈夫」

彼女はいつもそう、人をよく理解していた。

やはり、父の目には綾子の惜みが満ちた。

「来ないほうがいい。彼女は自分の祖母さえも不幸にするし、来るだけで不吉だ

彼女はは生まれた時から悪者で、当初直接殺してしまえばよかったのに」

父の言葉を聞いて、私の体も震えた。

彼らは祖母を口にする資格などない。

私が生まれた時、母は大量出血を起こし、死の淵をさまよったことがあった。

姉は酸素不足で保育器に入れられた。

私だけは、とても健康だった。

その後、すぐに父のビジネスにも問題が起こった。

彼らは全ての不幸を私のせいにして、私は不吉な人間で、不運しかもたらさないと言った。

父は私を養子に出すことを決めた。

祖母は反対し、彼らの迷信を非難し、私を養子に出さないように強く主張した。

8歳までは、祖母は私を丹精込めて育ててくれた。

私の名前も祖母がつけてくれた。彼女は私が幸せになり、太陽に向かって生きていくようにと言った。

7歳の時、母は祖母に会いに来たが、帰る時に私を見ようともしなかった。

私は母に、なぜ私に会いに来ないのかと聞きたかった。

私は母の車を追いかけ、泣きながら走り続けた。

悪夢はその時に始まった。私はあの古びた暗い部屋で死にかけた。

祖母は私を見つけた時、長い間抱きしめて泣いていた。

祖母は必死に母に電話をかけ、私が病気だから早く戻ってくるよう言った。

祖母がどれだけ説得しても、母は拒否した。

それ以来、私は母を探そうとしなくなった。

それ以来、祖母も変わり、毎日慎重になった。

わざわざ寺に行って、私のために小さな仏像を買って、私を守ってくれるようにと拝んだ。

しかし、8歳の時、祖母は私を傷つけた人を追いかけにいき、転んでしまい倒れたまま二度と目覚めなかった。

私は最愛の祖母を死なせてしまい、彼女が買ってくれた仏像だけが残った。

母が私を迎えに来た時、私は声が枯れるほど泣いた。

父は仕方なく私の帰宅を認めたが、私は「鈴木」の姓を名乗らず、陽葵とだけ呼ばれた。

私の戸籍も、まだ祖母と同じ本に記載されている。

ただ、あの悪夢のせいで、私は暗い場所をまだ怖がっていた。

姉に押し込められたあの地下室のように。

5.

綾子は両親を慰めながら家に帰り、孝行を尽くした。

彼女への償いとして、母はわざわざラーメンを作った。

「綾子、今日はつらい思いをさせてごめんね

このラーメンを食べて、長生きしてね」

綾子は甘えるように母の胸に寄り添い、この人生で幸せだと言った。

「ああ、陽葵がいたらいいのに」

綾子は私のことを言及すると、唇を噛み、泣きそうに見えた。

涼介はいらだたしげに口を歪め、「綾子、お前はあまりにも優しすぎるから、いつも損をするんだ」

私は傍らに立ってそれを見ながら、とても皮肉に感じた。

家族の彼女への偏愛は明らかだったが、それでも彼女は足りないと感じていた。

彼女が私の存在を憎んでいると私はよく知っていた。

実は最初、母は私にそれほど冷たくなかった。

私の誕生日に、母は私にもラーメンを作ってくれた。

私は嬉しくて飛び上がりそうだった。

私の感謝の言葉を言い終わらないうちに、綾子は涙を浮かべて言った。「私は母が私達を産む時に受けた苦しみを思うと、辛くなるわ」

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