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第7話

病院で、ベッドで寝込んでいた和樹の息が荒かった。彼は憤怒で楢崎のことを指で指していた。

「この悪女め、僕に手をかけるとは」

「隼人から孫の面倒を見るのを頼まれたのいうに、百貨店まで連れて行ったのはともかく、麻雀までに連れて行ったとは。麻雀するだけでそんなに慌てる必要はどこにあった?孫を家まで送る暇も作れないのか!?」

「文句を一つや二つ言っただけで、殴りかかってくるとは」

「嫁にもらうのは、お前を神のように祭り上げるためじゃないぞ」

「孫の世話くらいろくにできないうえ、僕を殴るなんて」

「さっさと出ていくがいい。離婚しても、一円たりとも金は渡さないからよ」

和樹の頬は怒りで真っ赤だった。顔中は爪痕だらけだった。

私は目を伏して、楢崎の手を見た。新しいネイルのようで、かなり長かった。そして、ラインスローンまでつけた。

楢崎は両腕を組んで、和樹に向けてにやついた。

「一円たりとも金は渡さないだと?私たちは結婚してるのよ、婚姻届を出す前、和樹さんは自ら進んで私の名前を不動産証明書に他してくれたんだ。離婚するのなら、財産の半分を渡さないと」

和樹はずっと白い目を楢崎に送り続けた。そして酸素マスクを握っていた彼は、彼女に向けて大声で叫んだ。

「この恥じ知れず!僕の家庭を壊して、二十年近く僕の愛人でいておいて、今度成り上がったら、僕のことを大事にしないのだけではなく、手をかけるだなんて......」

和樹は振り向いて、赤く染まった目で私を見た。

「文郁、僕が悪かったのだ。僕たちはもう生涯の半分を共に歩んできた。僕の本性を一番よく分かったいるでしょう。これは全部楢崎のせいだ。僕には妻子持ちだって知りつつも......」

私は冷たい目で和樹を見ていて、無性に虫唾が走った。

「柏原和樹、それでも男か」

「あの時、あなたは楢崎とのことを正当かにするためには、六十歳の誕生会で、私に大恥を欠かせた。あの時の私は無様だったのよ」

「けど、楢崎と結婚して半年しか経っていない今、全ての汚名を彼女になすりつけようとした」

「楢崎の片思いだったら、こんなことにはならなかったの。彼女宛のそのラブレターも、彼女に寄付した金も、彼女に強いられたからやったことか」

和樹は私を見つめていて、口をなんとか開けた。

「僕が悪かったから、許してくれないか」

「孫もやはり文
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