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第37話

ビデオ通話の向こうから弱々しい甘えた声が聞こえてきた。景之と瓜二つの小さな男の子が病床に横たわり、柔らかい声で紗枝を呼んだ。

紗枝の心は柔らかくなった。

「逸ちゃん、チュッ」

逸之は悲しげな表情で眉をひそめた。

「ママ、昨晩はおやすみって、電話してくれなかったよ」

長男の景之はおしゃべりで優しい子だが、次男は甘えん坊で不安を抱えた普通の子供だった、と紗枝は思っていた。

「ごめんね、ママが忘れてた。チュッ、逸ちゃん、怒らないでね」

逸之は幼い頃から体が弱く、今回は白血病と診断されたため、紗枝は特に彼に注意を払っていた。

逸之は口を尖らせた。

「今回は許してあげる。

「次はないよ」

小さな体で可愛らしく甘える姿に、紗枝の心の陰は一掃され、何度も頷いた。

「おばあちゃんとお兄ちゃんは?」と紗枝は尋ねた。

逸之はそれを聞いて、わざと怒ったふりをした。

「おばあちゃんとお兄ちゃんのこと聞くんだったら、ママに電話しなきゃよかった」

紗枝は笑いながら泣きたい気持ちだった。この子はまるで林黛玉のような気質を持っていた。

「分かった、ママもう聞かない。遅いから早く休んでね、おやすみ」

電話を切った後、逸之の顔から笑顔は消え、陰鬱な目でノートパソコンの前に座っている双子の兄、景之を見た。

「ママ、またお酒飲んだ」

景之はノートパソコンを閉じた。

「僕が先に桃洲に戻って、彼女を世話するしかないね」

「うん」逸之は目を閉じた。

体が弱くなければ、彼も戻って、あの嫌な父親に会いたかったのに。

紗枝は二人の計画を知らなかった。

洗面を終えた後、彼女は二匹のうさぎのぬいぐるみを抱いて横になった。

見慣れないベッドのせいか、あるいは今日啓司に会ったせいか、紗枝はよく眠れず、半分夢を見ながら目を覚ました。

翌朝、紗枝が目を覚ました時、時計を見ると午前5時10分だった。

その時になって初めて未読メッセージがあることに気付いた。

辰夫が手配した用心棒の一人からだった。

雷七「夏目様、昨夜帰宅後、ある車がついてきました。まだ離れていません」

雷七がメッセージを送ったのは午前3時だった。

紗枝は返事をした。

「まだいる?」

雷七「うん」

啓司の手の者であることは一目瞭然だった。

紗枝は雷七に心配しないように言った。

どうせ啓司に近
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