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第5話

人々が道を開け最後に現れたのは私が最も尊敬していた師匠、隅田慎也だった。

「隅田先生!来てくださったんですね!」

隅田先生の姿を見た木下芽依の目が、パッと輝いた。

彼は彼女に分厚い祝儀袋を手渡しながら言った。

「芽依ちゃん、結婚おめでとう!」

芽依ちゃん……かつて隅田先生は私のことも下の名前でそう呼んでいた。

「響也、芽依ちゃんを大切にしてやれよ!」

隅田先生は笑いながら響也の肩を軽く叩いた。

「亮の言う通りだ。九条紫音がいなくなって本当に良かった。あいつが君たちの間にいたら、きっとすれ違っていただろう。

時々思うんだ、あいつは南極でそのまま死んでしまえばよかったって。もう二度と俺たちの前に現れなければいいのに」

私は宙に浮かびながら、彼らの馬鹿げた会話を聞いていた。

笑うことも泣くこともできないままで。

かつては、私は科学調査隊の皆に「将来有望な新星」として期待されていた。

だが今、かつて私を愛していたはずの人たちは誰一人として私を信じていない。

響也は隅田先生を見つめ、こう言った。

「隅田先生、もう過去のことは忘れてください。九条紫音はすでに罰を受けました。

僕があの時、彼女のすべての資格と栄誉を剥奪する報告書を提出しましたから」

隅田先生は一瞬驚いたようだったが、すぐに頷いた。

「ああ、そうだったな。君の判断は正しかった。

裏切り者なんて、死んでも足りないくらいだ。資格剥奪なんて、あいつには優しすぎる処分だよ」

私の心は少しずつ沈んでいった。

「だから、もう一つのお祝いを持ってきたよ!」

隅田先生はバッグから書類を取り出し、響也に手渡した。

「前に響也が言っていたことを、私が手配しておいたよ。今日から、九条紫音は正式に調査隊から除名だ。私たちのチームには、あの裏切り者は存在しなかったことにしよう」

なんて皮肉なんだろう。私の婚約者が提案し、私の師匠がそれを実行する。

二人はまるで処刑人のように、私のこの世でのすべての希望を断ち切った。

両親を早くに亡くした私にとって、隅田先生は父親のように尊敬していた存在だった。

何度も先生が木下芽依の一方的な言い分を信じず私の無実を信じてくれることを願っていた。

しかしそれも全て私の思い違いだった。

彼らの目には私はただの冷酷な裏切り者でしかなかった。

私が信じた
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