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第8話

響也は私の体をじっと見つめていた。

彼は長い間その場から動かなかった。

私がこのままずっと見つめられるのかと思ったその瞬間、彼は突然立ち上がり、袋を引き上げて私を元の場所に戻した。

そして何も言わずに鍵を取り、まっすぐ家へと帰った。

家の扉を開けた瞬間彼を迎えたのはするどい拳だった。

「響也、お前どういうつもりだ!結婚式で芽依さんを置いて、何も言わずに出て行くなんて!」

「お前がいなくなった後、どれだけの人が芽依さんを笑い者にしたか、分かってんのか?」

響也を殴ったのは亮君だった。彼の顔には響也への怒りがにじんでいた。

しかし響也は何も聞こえていないかのように、黙って家の中に入って行った。

「響也、芽依ちゃんとどうしても結婚したくないっていうなら、せめてあんな扱い方はないだろう!」

隅田先生は机を強く叩いて、怒りを露わにした。

私は冷ややかにその光景を見つめていた。皆が傷ついた木下芽依をかばっているのを。

響也は、木下芽依の前に座ったが一言も謝らなかった。

「いいんです、響也は仕事が忙しかったんでしょう、私は理解しています」

木下芽依は微笑みながら、あたかも理解ある女性のように振る舞った。

「芽依、まだその時の傷は痛むか?」

響也は突然口を開いた。

「覚えてるか、あの年、君は大量に出血したんだよな。

君が言ってたよね、九条紫音が逃げようとして、それを止めたときに君が怪我をしたって。そして、結局止められずに彼女は逃げたんだって」

木下芽依の声は、明らかに焦りを帯びていた。

「響也、どうして急にそんなことを聞くの?」

「お前、頭おかしいんじゃないか?今、九条紫音の話なんてするなよ!」

亮は響也の襟を掴み、声を荒げた。

「今話すべきなのは、お前が結婚式で何を考えてたかだ。芽依さんにちゃんと説明しろ!」

しかし、響也はそれを無視して、さらに問い詰めた。

「じゃあ、本当に君は九条紫音が逃げるのを目撃したんだな?」

「そうよ!私の目の前で逃げたの!」

木下芽依はきっぱりと言い切った。

私は彼女の美しい顔を見つめながら、どうしてその顔の裏に、こんなにも腐った醜い心が隠れているのか、理解できなかった。

「その時のことはもう決着がついている!」

隅田先生が間に入ってきた。

「響也、今さら芽依を責めてどうするんだ?当時、俺た
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