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第6話

私はすぐに立ち上がって早苗に向かって言った。

「裁判所で会いましょう。さもなければ、あの作り上げたラブラブイメージを完全に壊してやる!」

「別に怖くないわ。だって私、もともと器の小さい人間だから、教授と一緒にいるのも辛かったわ。一緒にいたいならご自由に」

そう言い残し、私はさっさと席を立ち、料理も食べずにその場を後にした。

あんな高級レストランで、広樹がスーツ姿で真面目に座っているのを見ると、なんだか食欲がなくなる。

だから、そのまま大衆食堂に行って、牛ラーメンを頼んだ。ずるずると大口で食べるうちに、心も少し軽くなってきた。

家に帰ると、いつものように庭を整える。早苗も、この件で不利だと感じたのだろう。1週間後、彼女は私に800万を振り込んできた。

これで私の貯金はまた増えた。

満はそのことを知ると、その夜すぐに私のところに駆けつけた。彼が庭に入るや否や、大きな黒犬に驚かされ、尻もちをついた。

白いシャツに泥がつき、かなり惨めな姿だった。

私は彼を見て言った。

「何しに来たの?白川さんのために私に文句を言いに来た?それとも、広樹の財産を私が取ったから、彼らの生活がうまくいかないって文句を言いに来た?」

満は顔を赤くしながら立ち上がり、服を払って言った。

「母さん、どうして犬を飼ってるの?前は犬なんて飼わなかったのに」

「身を守るためよ。前は、父さんが毛のある動物が嫌いだったから飼わなかっただけ。私は好きよ」

その言葉を聞いて、彼は何も言わなかった。

この犬はフォロワーが私にくれたものだ。

「一人で住んでいるんだから、安全のために犬を飼った方がいいですよ」と言って、彼がプレゼントしてくれた。

近所の人が気をかけてくれているとはいえ、一人で住むのはやはり危険だからだ。

まさか泥棒が来るのではなく、満が来るとは思わなかった。

彼は私を見て、少し困った顔をして言った。

「母さん、帰ってきてくれない?白川さんが厄介なんだよ」

私は鼻で笑った。

「一家三人で家族写真まで撮ったんでしょ。白川さんが厄介だって今更。今まで何をしてたの?」

「それは……」

彼は言葉に詰まり、家の中に入ろうとしたが、私の飼っている黒犬が彼を入れさせなかった。

満は声を低くして言った。

「父さんは毎日新しく作った料理を食べたいんだ。でも、早苗は料理なん
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