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第4話

広樹は複雑な表情で私を見つめた。

「志帆、離婚して後悔するなよ!」

「後悔なんてないわ」

私はすぐに彼の手を引いてサインをさせ、その後、市役所で手続きを済ませた。離婚後、満は私を見てこう言った。

「母さん、今後俺はもう来ないからな。謝ったら、また来るから」

彼の冷淡で無情な目を見て、まるで父親そっくりだったので、私は手を上げて彼の顔を思いっきり叩いた!

「もう母さんと呼ぶ必要はないわ。あんたみたいな息子なんかいらない。今すぐここから出ていって!」

「今まで育てて来た息子がまさかこんな恩知らずとはね、犬を飼った方がまだマシよ」

私の言葉に彼は口角を引きつらせ、何も言えなかった。

一瞥して広樹を見た。今日、彼は私と離婚証明書を取りに来たのだが、身なりを整え、まるで正装してきたようだった。

長年着ていなかった黒いスーツまで引っ張り出してきた。

「これは俺が志帆と結婚した時に買ったスーツだよ」

「そんなことどうでもいいよ。結婚した時、このスーツは白川さんが選んでくれたでしょ?広樹、人を不愉快にするのは上手ね」

離婚証を手に入れた後、私は振り返ることなくその場を立ち去り、タクシーの中で後ろにいる二人の男が風に吹かれているのを見て、胸がすくような気分だった。

息子の嫁は外国で子供の勉強の付き添いをしているが、私が広樹と離婚したことを聞いて、電話で一言こう言った。

「お義母さんの決断なら何でも支持しますから」

「うん、暇があったら望を連れて田舎の家に来てね。部屋を一つ用意してあるから」

息子の嫁、寧々にはかなり好感を持っていた。彼女は独立していて、美しく、器量も大きい。

満には彼女は釣り合わない。

ただ、息子が彼女をアプローチする時には結構な努力をしていた。だから夫婦の問題はもう関わらないことにした。

今、離婚したことで、私は自分のやりたいことにもっと時間を使えるようになった。

一方、満は待ちきれない様子で、早苗をまるで自分の母親のように思っていた。しばらくして彼は早苗と広樹を連れて家族写真を撮りに行った。

息子の嫁が戻ってきていない中で、彼ら三人はまさに家族のようだった。

広樹は和式スーツを着ていて、早苗は白地に紅梅の柄が入った和服を着ており、優しく可愛らしい様子だった。

彼女は本当に無恥で、その家族写真をSNSにまで載せた。

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