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第3話

満は広樹にそっくりだった。

私は冷たく言った。

「戻って何をするの?この数日間、私がいなくても彼は元気にやってたんでしょう?早く離婚協議書にサインさせて、そしたらお互い良い別れ方ができるわ!」

「母さん、こんな年になって離婚なんて、世間の笑いものになるだけだよ!お父さんは大学教授だっていうのに…」

「もう話は終わり?じゃあ切るわ。用がなければ私にかけないで」

電話を切った後、私は安心して周りを見渡した。ここは私が近くで買った農家の小さな家で、裏には大きな庭があった。前庭には花を育て、裏庭には野菜を植えるつもりだった。

何年も経った今、やっと私は自分のやりたいことができる。

花はとても生命力のあるサンパラソルだ。

種を撒いておけば、陽の光に向かって育ち、手間をかけなくても雑草のように繁茂する。

この小さな庭が活気に満ちているのを見て、私は思わず笑みがこぼれた。

広樹がいなくても、私は自分の望む生活を送れるわ。

自分自身を思い切り楽しむことができる。

3日間、満や広樹からひっきりなしにメッセージや電話があったが、私はすべて無視した。

しかし、彼らが家に押しかけてくるとは思わなかった。

車が門前に停まった時、広樹を見て私は眉をひそめた。

広樹は不機嫌そうに言った。

「志帆、もう随分経ったぞ。そろそろ機嫌は直っただろう?俺は病院でずっといたのに、お前は楽しそうに過ごしてるじゃないか」

「広樹のおかげでね。で、何の用?」

私は下を向いて菜種をいじりながら、彼を迎えることはしなかった。広樹は不機嫌そうに言った。

「もうやめろよ。俺が入院している間、早苗が世話をしてくれたんだぞ」

「このふざけた家出も、もう十分だろう。俺と一緒に戻ってこい。早苗に感謝しないといけないしな」

その言葉を聞いて、私は怒りがこみ上げ、泥を掴んで彼に投げつけた!

「彼女に感謝しろですって?病気になった原因は彼女だったよね?世話をするのは当然でしょ」

「入院するたびに私が付き添ってきたのに、一度も感謝しなかったよね?」

「今になって感謝しろって?冗談じゃないわ!さっさと出て行って!」

広樹の顔は青ざめ、服の汚れを見ながら怒鳴った。

「志帆、いい加減にしろ!家族同士で感謝なんていらないだろう!」

「私が尽力するのは当然で、彼女が少しでも見てくれれば感謝するっていうの?この大馬鹿野郎!」

広樹は怒りで言葉を失った。

満がすぐに前に立ち、「母さん、もうやめなよ。白川さんだって一人で苦労してるんだ。しかも、母さんもうこんな年なんだぞ。こんなことが公になったらみんなに笑われる。白川さんも学校で笑い話になるんだよ?」

「今日、俺が学校に行った時、同僚たちの早苗を見る目が変わってたんだ!」

私は嘲笑した。

「それは彼女が後ろめたいからだろ?そんなことをしなければ、誰も彼女を軽蔑しないのにね」

「この件について、満は黙っていなさい」

「母さん!父さんは家族を支えてきたんだぞ。同僚との競争に直面しながら、母さんのきつい性格にも耐えてきたんだ。父さんがもうこれ以上譲歩できないよ!」

「譲歩だって?」

私はその時冷笑した。

「広樹もそう思ってるんでしょ?白川さんとのことは私が口出しすることじゃないけど、協議書にサインするか、訴訟を起こすか、どちらか選んで」

「愛人をやってる人が教師として失格だわ!」

広樹は不機嫌な顔をして、

「何を言ってるんだ?俺と早苗の間には何もないぞ」

「あるかどうかは自分が一番よく知ってるはずよ。白川さんの口座が証拠よ。今すぐ見たい?それとも学校に行って、上司に話してこようか?」

広樹は体面を気にするので、もちろんそんなことはできない。

満は怒りに震え、「母さん、いい加減にしろよ。父さん、早く離婚しちゃえよ。教授夫人の肩書きがなかったら、母さんもきっと後悔するよ!」

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