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第7話

今日は本当に飲みすぎたみたいだ。幻覚まで見えるなんて、そうじゃなければ、どうして東が見えるはずがあるんだろう?

幻覚の中の東は部屋に入ってくると、反対の手で私をドアに押しつけ、抑えた痛ましい声で言った。

「クラブのホストを彼氏にしても、僕を選んでくれないのか」

「彼の方が僕よりすごいの?信じられない」

私はぼんやりして、やっぱりこれは幻覚だと思った。だって彼があのホストの職業を知るはずがない。

私はにこにこしながら答えた。

「すごいね。じゃあ、あの子が私が金で買ったことも知っているの?」

彼は驚いたように一瞬止まり、なぜそんなことをしたのかと尋ねてきた。

「峰子に安心するためなの。だって私、彼女の彼氏を好きになっちゃったんだからね。私は本当に最低な女だよね。峰子にそんなことをするなんて」

彼は驚愕した表情で私を見つめ、ゆっくりとある名前を口にした。そして、とても苦しそうに問いかけた。

「紗夜ちゃんは彼が好きなのか?」

その名前は彼の名前によく似ていた。でも私は分かっていた。それは彼ではない。

あれは心に隠れていた名前ではなかった。だって、胸が痛まなかったから。

私は首を振りながら言った。

「幻覚の中の東君は本当にバカなのね。自分の名前を間違えるなんてあり得ないでしょ?私が好きなのは目の前の東君なんだよ。初めて見た時から、好きになったの。でもあの時、東が峰子の彼氏だって知らなかった」

「峰子は私の大切な親友だから、彼女の彼氏を好きになるのはダメなんだ。でも、一番悪いのはやっぱり東君だよ。彼女がいるのに、私を惑わせるんだから。私がダメだって言ったのに、テーブルの下で手を出してきて、ビデオ送ってきて、ダンスまで一緒に踊ってさ。そんなことをするから、私が東君を好きになっちゃったんだよ。全部東君のせいだ」

話せば話すほど、悲しくなって涙が止まらなくなった。

「好きになったら、私はどうやって峰子と向き合えばいいの?」

「悪いのは私、分かってるよ。あの日、酔っぱらって東君とするべきじゃなかった。だから私を罰しようとして、あのメッセージを送ってきたんだよね?私に峰子とのやりとりを見せようと……私に懲らしめようとしたでしょ?もういいよ。全部自業自得だ。私は親友の彼氏に手を出した悪い女だよ。東君なんか嫌いだ。でも、一番嫌いなのは私自身……」

私は大
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