ヴァールス家 嫡男の憂鬱

ヴァールス家 嫡男の憂鬱

last updateDernière mise à jour : 2025-04-15
Par:  よつば 綴Mis à jour à l'instant
Langue: Japanese
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ヴァールスの血を引く者は代々、自身の体内で多量の血液を生成する能力を持って生まれる。本家の者の能力は一族の中でも一層強い。ヌェーヴェルは本家の嫡男であり、一族の中でも極めてその能力に優れている。 吸血鬼と人間の戦で生き残った2人の吸血鬼。ひょんな事から、2人は超優良物件(ヌェーヴェル)に住みつく。 3人の歪んだ関係が織り成す、ちょっとふしだらな日常の物語。 *** 主な登場人物(登場時点の年齢) 身長 ヌェーベル・ヴァールス(17) 178㎝ ヴァニル(300over) 189㎝ ノーヴァ・ドゥラリネ(200over) 150㎝(大人の姿:186㎝) ノウェル・ヴァールス(17) 180㎝

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囚われの俺-1

 俺に跨り、首筋へ牙を食い込ませているこの少年の名はノーヴァ。すぐそこで、恍惚な表情を浮かべアソコを滾らせているのが、ノーヴァの養父であるヴァニル。「ちょっとぉ、どこ見てんの? こっちに集中してよ」「ん゙っ、うぁ··」 ノーヴァは俺の血を啜りながら、ケツに凶悪なブツをねじ込んでいる。それを遊び感覚でされているのだから堪らない。 何より、少年の股間に付いているとは思えない、俺のよりもデカい魔羅《マラ》だ。俺のケツの将来が危ぶまれる。 「あぁっ··ノーヴァ、早く私にもくださいよ」「煩いなぁ、ヴァニル。ヌェーヴェルは今、ボクと楽しんでるんだからね。大人しく“待て”しててよ」「はぁ~っ····ノーヴァは意地悪ですねぇ」 俺のことなどお構いなしで、自分たちの世界に引き摺り込んでくる。まぁ、いつもの事だが。 幼顔を快楽に歪める、なんとも背徳感に満ちた情景。オツなものだと思われるのだろうか。否、最悪で最低な気分だ。  この、どうしようもなく欲に忠実なコイツらは、とうの昔に滅びたとされている吸血鬼。俺の血を啜り、快楽の底へと叩き堕とす変質者どもだ。 先の戦争を生き延び、人知れず闇に紛れて生きてきた。我々人間に迫害され、残虐の限りを尽くされてきた種族だ。 100年ほど続いた凄惨な戦いで遺ったのは、ゴミみたいなものだった。人間の醜悪な優越感によって確立された、吸血鬼は悪の暴徒だという印象。それと、人間は崇高だというクソみたいな2種族間の優劣。 だからと言って、憐れだとか庇護すべき対象とは思っていない。生き残りと言えば希少な気はするが、ただ図太くしぶとく人間を貪り喰ってきただけの奴ら。出会った当初は、ただただ忌むべき存在だった。 吸血鬼は特有の能力で若さを保っている。ノーヴァの実年齢は200歳を超えるらしいが、せいぜい12歳程度にしか見えない。 時々大人の姿になるのだが、体力を使うとかで俺の血を大量に吸うから禁止した。超絶美少年で、稀に超絶美男。腹が立つほど見目麗しい。 ヴァニルは20歳そこそこの見た目だが、実際は300歳を超えているらしい。吸血鬼の平均寿命って何歳なんだろう。年齢詐称ジジイのこいつは、銀髪紅眼のくっそイケメン野郎。そして、絶望的な変態だ。絶対に女は喰わないらしい。 俺のような容姿端麗な若い男が好みらしく、選り好みが激しい。俺がノー...

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囚われの俺-1
 俺に跨り、首筋へ牙を食い込ませているこの少年の名はノーヴァ。すぐそこで、恍惚な表情を浮かべアソコを滾らせているのが、ノーヴァの養父であるヴァニル。「ちょっとぉ、どこ見てんの? こっちに集中してよ」「ん゙っ、うぁ··」 ノーヴァは俺の血を啜りながら、ケツに凶悪なブツをねじ込んでいる。それを遊び感覚でされているのだから堪らない。 何より、少年の股間に付いているとは思えない、俺のよりもデカい魔羅《マラ》だ。俺のケツの将来が危ぶまれる。 「あぁっ··ノーヴァ、早く私にもくださいよ」「煩いなぁ、ヴァニル。ヌェーヴェルは今、ボクと楽しんでるんだからね。大人しく“待て”しててよ」「はぁ~っ····ノーヴァは意地悪ですねぇ」 俺のことなどお構いなしで、自分たちの世界に引き摺り込んでくる。まぁ、いつもの事だが。 幼顔を快楽に歪める、なんとも背徳感に満ちた情景。オツなものだと思われるのだろうか。否、最悪で最低な気分だ。  この、どうしようもなく欲に忠実なコイツらは、とうの昔に滅びたとされている吸血鬼。俺の血を啜り、快楽の底へと叩き堕とす変質者どもだ。 先の戦争を生き延び、人知れず闇に紛れて生きてきた。我々人間に迫害され、残虐の限りを尽くされてきた種族だ。 100年ほど続いた凄惨な戦いで遺ったのは、ゴミみたいなものだった。人間の醜悪な優越感によって確立された、吸血鬼は悪の暴徒だという印象。それと、人間は崇高だというクソみたいな2種族間の優劣。 だからと言って、憐れだとか庇護すべき対象とは思っていない。生き残りと言えば希少な気はするが、ただ図太くしぶとく人間を貪り喰ってきただけの奴ら。出会った当初は、ただただ忌むべき存在だった。 吸血鬼は特有の能力で若さを保っている。ノーヴァの実年齢は200歳を超えるらしいが、せいぜい12歳程度にしか見えない。 時々大人の姿になるのだが、体力を使うとかで俺の血を大量に吸うから禁止した。超絶美少年で、稀に超絶美男。腹が立つほど見目麗しい。 ヴァニルは20歳そこそこの見た目だが、実際は300歳を超えているらしい。吸血鬼の平均寿命って何歳なんだろう。年齢詐称ジジイのこいつは、銀髪紅眼のくっそイケメン野郎。そして、絶望的な変態だ。絶対に女は喰わないらしい。 俺のような容姿端麗な若い男が好みらしく、選り好みが激しい。俺がノー
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