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これが日常-1

مؤلف: よつば 綴
last update آخر تحديث: 2025-02-28 11:17:32

 今日も今日とて、俺は嬲られている。

 俺の膝に跨ったノーヴァ。太腿に当たる柔らかい感触に玉がキュッと締まる。首筋へ立てられた牙を拒めず、あまつさえ滾らせている自分に嫌気がさす。

 小さな手で俺の腰を撫で降ろし、細い指で俺の硬くなったモノを弄ぶ。自分の硬くなったモノを、俺のと一緒にしごきやがって、挙句自分だけ達しやがった。

 俺はと言うと、焦らされて焦らされて、爆発してしまいそうな激情を抑えきれず、先走る涎をたらたらと溢れさせてしまう。

 達するまで弄ってくれないのが、ノーヴァの意地悪い所だ。血を啜り、自分本位に突っ込んで満足したらそれで終わり。

 不完全燃焼に悶える俺の頬を、いやらしい指つきで撫でるヴァニル。隣に腰掛け、ノーヴァに弄ばれている俺を眺めて滾らせている馬鹿は、物欲しそうな表情を隠そうともしない。

「ヌェーヴェル、貴方は本当に美しいですね。その美しい顔が歪んで、さらなる快感を求め藻掻く様が····。はぁ··堪らない」

「くっそ変態野郎が······」

「そのクソ変態野郎のモノを欲しているのは誰です? 」

 俺たちを見てクスクスと笑うノーヴァが、ようやくヴァニルへ視線を送る。俺を弄ぶ事に飽きたサインだ。

 散々“待て”をされていた忠犬は、主人のゴーサインに勢いよく飛びつく。

 それに安堵する俺は、どうしようもない快楽の下僕だ。漸く達することができるのだと、身体が悦ぶのだから仕方がない。

 吸血鬼の倫理観など知らない。だが、ひとつ解るのは、親子関係が人間とは随分異なるという事だ。

 ヴァニルはノーヴァに対してだけ、やたらとマゾスティックになる。このヴァニルという男は、俺からして見ればノーヴァの忠犬以外の何物でもない。何があったら親子関係がそうなるのだろうか。その辺、厳しく教育された俺には理解し難い。

 ノーヴァ以外には必要以上に丁寧なくせに、行為の時は特に変態的なサディストだ。ヴァニルのそれには、上品な戯れの中に図りえない残虐性を感じる。

 以前、ヴァニルのいたぶり方が酷い時に聞いた話だ。俺が相手をできない間の事。

 薄暗い部屋で2人、ノーヴァがヴァニルを煽り焦らす。決して果てさせない。ヴァニルがそれを望み、ノーヴァは乗り気で応えるらしい。

 まったく歪んだ関係だ。どれほど厄介な性癖を持つとこうなってしまうのだろうか。

 最悪なのはその後だ。そこで溜まった昂りが、そのツケが、全て俺に回ってくるのだそうだ。本っっっ当にいい迷惑だ。

 だからと言って、俺たちの関係が悪いわけでは無い。口からは文句を垂れる事が多いけれど、こんな関係を続けている以上それなりに分かり合ってもいる····つもりだ。

「ヌェーヴェル、こちらを向いてください」

「キスはいいよ。お前、長いんだもん····。ほら、さっさと吸えって」

 俺は首筋を差し出す。だが、ヴァニルは不満そうに、俺の前髪を掴んで口付けを交わした。どうしてコイツは、こうも乱暴なんだ。

 ヴァニルのキスは、口付けと呼べるほど生温いものではなく、呼吸困難になるほど深く激しい。長い舌で口内を蹂躙され、それだけで達してしまうほど気持ちが良い。

 なんて事は素直に言ってやらんのだが、どうにもバレているようで悔しい。俺が抵抗する余力を失い、されるがまま身を委ねる頃、ヴァニルは昂りを俺にぶち込んでくる。

「ゔっ、あ゙ぁ゙っ··ヴァニル!! クソッ··。アホみたいにデカいんだから、ゆっくり挿れろよ····。ケツ、壊れるだろうが····」

「こんなグズグズになってるのに、何甘えた事言ってんですか? 乙女じゃないんですから面倒な事言わないでくださいよ」

「乙女じゃねぇけど、ひぅっ、うあぁっ····もうちょっと優しくしろって、んんっ、言ってんだよ! 俺の身体を気遣えバカッ」

「おやおや。威勢がいいのはよろしいですけどね、そんな艶かしい声で言われても困るんですよ。興奮するだけなので」

「ん゙あ゙ぁ゙ぁぁぁっっ!!! 奥゙っ、挿れるなって··言ってんだろ····ぅ゙え゙ぇぇっ」

「だってアナタ、ここ好きでしょう? 締まり凄いですよ。私のデカブツがねじ切られそうです」

「ぉ゙え゙ぇ゙ぇぇ····やめっ、奥、ボコボコ、出し挿れすんなぁ····」

「気持ち良いでしょ? たくさんお漏らしできてますね。上手ですよ。可愛いです」

「可愛く、ねぇ··んぶっ····もう、漏らすの、嫌なんだって····情けねぇ····」

 涙ながらに懇願したが、ヴァニルにそんなものは通用しない。さらに突き上げ、奥を抉られ、気を失うまでずっと噴かされ続けた。

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     いやまぁ、そうかそうか。ノーヴァにも恋をする心があったんだな。少し安心した。 特殊な生い立ちの所為か、感情が少し欠落していると思っていたのだが、そうか、そうだったのか。良かったじゃないか。 ····いや、何も良くない。ノーヴァに感情が芽生えているのは喜ばしいが、俺の置かれた状況は変わらないのだから。なんなんだ、この無駄なモテ期は。 それにしても、誰より不憫なのはノウェルだ。こいつらの色恋沙汰に巻き込まれた挙句、ヴァニルに嬲られてるんだからな。どうにかしてやらないと。 そんな事を考えていると、ヴァニルがまたとんでもない事を暴露した。 喉を焼くほどの甘さへ到達するには、双方の想いがなければならないらしい。つまりは、両想いということだ。「ちょっと待て。じゃぁなんでヴァニルの喉が焼けるんだ」「おや。やっと気づきましたか」 俺がヴァニルへ想いを寄せていると言うのか。この俺が、こんな変態を? 好きかと問われようものなら、間違ってもイエスとは言わない。なのに、どうして両想いという事になっているのだ。「貴方が阿呆だからですよ、ヌェーヴェル。貴方、とっくに私のこと好きじゃないですか。主に身体が」「なっ!? 心の話じゃないのか」「そうなんですけどね。身体から引っ張られてくる心というものもあるんですよ」 身体を懐柔され、知らぬうちに心までヴァニルの良いようにされていたという事か。言われてみれば、口では拒絶するような事ばかり言っていたが、心から拒絶した事はなかった。 むしろ、コイツらを求めて身体が疼く事もあった。アレはただの性欲だと思っていたが、そこに想いが混じっていたという事だろうか。 いや、そんなはずはない。断じて有り得ない。そんな事があってはならないのだ。それでも、思い当たる節がないわけではないから反論もできない。 コイツの言い分を認めてしまえば、幾らか楽になるのだろう。しかし、俺は難儀な性格をしているらしく、心の整理ができるまでは認められそうにない。 だが──「も

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     甘い血を求めるのは吸血鬼の本能。ローズが言う恋の成分を含んだもの、それを探知する為の能力らしい。 けれど、ほんのりと甘く絶品なのは片想いの間だけ。両想いになると、喉が焼けるほど甘く感じるようになる。曰く、恋い慕う人間の愛を手に入れる代償なのだと言う。 それはおそらく、人間と吸血鬼が交わる禁忌への戒めでもあるのだろう。混血は禍いをもたらすという、古代人の意味不明な迷信に過ぎないが。現に、ノウェルは特段禍いの種になどなっていないのだから。 だが、より甘くなるなら代償とは言わないのではないだろうか。吸血鬼の感性はよく分からん。「なぁ、なんでもっと甘くなるのがいけないんだ? 吸血鬼って甘いの苦手なのか?」「いえ、本当に喉が焼けるんですよ」「はぁ!? いや、待て。ローズの喉は焼けてないぞ。そんな話、一度も····」 俺が取り乱すと、ヴァニルは不機嫌そうに顔を歪めた。「チッ··ローズって誰ですか? その方の事は知りませんが、きっと喉は焼け爛れている筈ですよ」「そんな事····」 愕然とした俺を見て、歪めていた表情を戻したヴァニル。今度はとても穏やかな表情で、そして、慈しむような声で囁くように言葉を置く。「それでも飲み続けるという事は、よほど番を愛しているのでしょうね」「番って····。つぅか、喉が爛れて飲めるものなのか?」 半信半疑な俺を見て、ヴァニルはフンッと鼻を鳴らした。「まぁ、吸血鬼ですし回復はお手の物ですから」「なるほどな」 納得している俺に、ヴァニルは注釈を添えるように言う。「····ただ、尋常ではない痛みに耐えている筈ですけどね。何度も自ら焼く覚悟、それはもう至極の愛ですよ」 うっとりとした表情を浮かべ、胸の前で指を絡めて語るヴァニル。

  • ヴァールス家 嫡男の憂鬱   血の真実-1

    ──コンコンッ 静かなノックの音に驚く。俺は、ノーヴァにつられて扉の方を見た。「やめておきなさい、ノーヴァ」 いつの間に来たのか、開け放たれた扉へ寄り掛かったヴァニルがノーヴァを制止した。 卒業の機会《チャンス》と覚悟を奪いやがって、と言いたいが、声を荒らげるような雰囲気ではない。ヴァニルの深刻そうな様子に、心臓がドクンと嫌な跳ね方をする。「ヴァニル····どういうつもり? 何邪魔してくれてんの」 ノーヴァが睨みをきかせて言った。けれど、その鋭い視線にも怯む事なく、ヴァニルは意味のわからない事を言い出す。「今のまま彼と交われば、確実に血の味が変わりますよ」「······何それ。そんなわけないでしょ」「まったく、貴方は未だ自覚がないんですか?」 やれやれと溜め息を吐くヴァニル。ムッと頬を膨らませているノーヴァと交互に見て、俺はイラつきをぶつける。「お前ら、さっきから何の話してるんだよ。俺にはさっぱりなんだが」「お前は知らなくていいよ」「え····俺、当事者じゃないの?」「ははっ、しっかり当事者ですよ。それはもうガッツリと」「だよなぁ。そうだよなぁ。で、俺は知らなくていいと?」 ノーヴァは苛立ちながら、何故かまたモジモジし始めた。頬を赤らめて、どういう感情なんだよって表情《かお》をしている。 ヴァニルは、ノーヴァを揶揄うように薄ら笑み、呆れた目を俺たちに向ける。「ヌェーヴェル、貴方は我々の事をどう思っていますか?」「どうって、何だよ唐突に。漠然としてるな····」「ヴァニル、はっきり言いなよ。甘い血は、こ、恋の証なんでしょ」「ふふっ、そうですよ。ノーヴァ、貴方の初恋ですね」「ハツコイ·&mid

  • ヴァールス家 嫡男の憂鬱   血と想いの繋がり-3

     ノーヴァは俺に跨り、豊満な躯体をこれでもかと密着させてくる。動揺している俺の顎へ指を掛け、クイッと持ち上げた。「こっちのほうが喜ぶのかなって思ったんだよ。男に興味無いとか言ってたらしいし」「い、言ったけど、そういう事じゃ····」「あ。それとねぇ、昔の約束なんてボク知らなぁい」 普段と変わらない口調なのに、艶やかな微笑を浮かべてねっとりと話すだけで、随分と雰囲気が変わるものだ。 「知ってんじゃねぇか」 呆れて言葉遣いが荒れた。貴族らしい振る舞いを心掛けているのだが、コイツらと関わっていたらつい素が出てしまう。「はぁー··お前さ、何考えてんの? 何がしたいんだ? 俺の尊厳イジめんじゃねぇよ····」「尊厳··か。んー······ヴェルって童貞だよね?」 俺の顔をまじまじと見つめ、溜めに溜めて放った一言がコレ。何なんだコイツは。 何でどいつもこいつも、デリカシーの欠片も無いんだ。そもそも童貞の何が悪いってんだ。くだらない女にくれてやるくらいなら、一生童貞のままでいいじゃないか。「な、なんで知ってるんだよ」「わぁ、本当に童貞だったの? ウケる〜」「····出てけ」「はぁ?」「出てけよっ!! どうせ俺は童貞だよ! 顔が好きだの、中身とのギャップだの、金目当てだのってロクな女がいねーんだからしょうがねぇだろ! 俺だってさっさと卒業してぇよ! でもそんなの好きな女とヤリてぇだろ! 童貞が何だよ、悪いのかよ!?」 あぁ、盛大に心の内をぶち撒けてしまった。終わりだ。絶対に笑われる。もういっそ殺してくれ····「じゃあ、ボクで卒業していいよ」「&mid

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