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試み-1

Penulis: よつば 綴
last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-15 06:00:00

 俺は、嫁探しの話を白紙に戻そうと模索していた。あまり時は無い。早々に理由を考え、どうにかして父さんを言いくるめなければ。

 そう思っていた、見合いを終えた日の夜。

「ノーヴァ、今日は勘弁してくれ。本気で言い訳を考えにゃならんのだ」

「話はわかったけどさ、何にしても試しておかなきゃダメでしょ」

 と、ノーヴァは俺のちんこを弄りながら言う。

「試すたって····この間、お前のケツでイけたじゃないか」

「お尻じゃ赤ちゃんデキないでしょ。バカなの? それに、ヴァニルに挿れられてたし。女でイク気ないじゃん」

「うっ··あ、あるわ! で····なぜ手でするんだ? また女体化するんじゃないのか?」

「あー····初めから女の姿がいい?」

「まぁ、な。どうせ童貞は奪われたんだ。もう気にしなくていいなら、楽しめるものは楽しまなきゃ損だろ」

「ヴェルさぁ、ホント欲に忠実すぎない? かつて出会ったどんな人間より素直に貪欲だよ」

 褒めているのか貶しているのか知らないが、ノーヴァは呆れ顔で女に変身し、いよいよ女の身体をいただく流れになった。にしても、この緊張感は何だ。

 どういうわけか震えが止まらない。震えている事がバレないよう慎重に触れてゆく。その所為か、思うように事を運べない。

 悔しいが、ノーヴァの手解きに従い進めてゆく。

「ん····そろそろ挿れていいよ。ヴァニルは手を出しちゃダメ。実験が終わるまで、上手に“待て”できるよね?」

「わ、わかってます····」

 俺の背後に近づいてきていたヴァニルは、ゴクッと息を呑み引き下がった。ノーヴァのこんなにも破廉恥で妖艶な姿を見れば、誰だって従わざるを得ない。

 あまりにも残酷な結果だったの
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     戯言ばかり言うヴァニルをはっ倒してやりたいが、力の差は歴然。俺に反抗や抵抗をする術はない。 けれど、黙って受け入れるのも癪だ。「挿れねぇって! 俺は女で童貞捨てる予定なんだよ! 何が悲しくて男で卒業せにゃならんのだ」「はは。女より、ココのほうが具合がいいですよ。格段に」 ヴァニルがガチガチに滾ったそれを、俺のケツに押し当てて言う。そして、ゆっくりと俺のナカを拡げて入ってきやがった。「んぁ····知らねぇよ。とりあえず、ノーヴァで卒業なんて、絶対に嫌だっ」「強情だなぁ。ほ〜ら、ボクのナカ、ヴェルが初めてだよ? 挿れてくれないのぉ?」 ケツを開いて誘ってきやがる。まったく、どこでこんな破廉恥な言動を覚えてくるんだ。 ····200年も生きてりゃ知ってるもんなのか?「い、挿れない····絶対挿れないからなっ!!」「残念。そもそもねぇ、ヴェルが女を抱くの許した憶えないから。はーい、いただきま~す」 後ろから俺に突っ込んでいるヴァニルが両脇を抱え、腰が引けているのに無理やり上体を起こす。「や、やめろ····ふざけるのも大概に──んぁ····」 バカみたいに元気いっぱい滾っている俺のちんこを、ノーヴァのケツがぐぷぷっと飲み込んだ。「ふっ、あぁっ····んぅっ、キツ··ちんこ痛ぇ····」「初めてなんだからしょうがないでしょ」「ヌェーヴェルの初めても、喰い千切られそうなくらいキツかったですよ」「うるせ··待て、動くな。もう出ちまう! あぁぁっ、ヴァニルも動くなぁぁ!! ひあぁぁぁっ!!

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     俺とノウェルは今、向かい合いながら手を繋ぎ、それぞれケツを掘られている。俺はヴァニルに、ノウェルはイェールに。 俺が願った心地よい関係なんて、刹那の夢物語だったのだ。イェールが混じったことで、上手く混じり合っていた澱みが掻き乱された。「ヌェーヴェル··んんっ····こんなかたちでも、僕はね、君とこうして、愛を交える事ができて、とても幸せだよ。君はっ、んぁ····どうだい?」 嬌声混じりに幸福を語ったノウェル。そして、聞くまでもないほどバカな事を聞いてくる。「最悪だ! こんなの、どう考えても狂ってるだろ! ちょっ、ヴァニル待て!! 奥挿れるな、ぅぶっ、お゙っ、ん゙え゙ぇ゙ぇぇ」「あぁ、苦しそうに吐くヌェーヴェルも愛らしい。僕の事を少しでも好いてくれれば、僕は幸せなのだけど──ひぁっ····イェール、もう少し優しくシてくれないか。ヌェーヴェルに愛を囁けない」「ノウェルさん····貴方、今誰に突っ込まれてるかわかってます? オレですよっ!」「んあ゙ぁ゙ぁぁっ!! ダメだイェール。奥を抉らないでぇっ──」 どうしてこうなっているかって? 全部ノーヴァが悪いんだ。 遡ること数時間前。 今日も今日とて、退屈したノーヴァが俺をからかって遊んでいた。激務に追われているこの俺を、だ。本当に迷惑な奴。 ローズの教育で紳士的になったと思っていたが、それはただの余所行き用だった。俺たちの前では、依然として我儘で女王様の様な振る舞いを見せる。 書類に目を通している時だって、お構いなしに話し掛けてくるノーヴァ。何度言っても、これをやめる気はないらしい。「ボク、ヴェルの事諦めたわけじゃないからね」「は? ンな事知ってるよ。あー、待て。この書類で最後だから、あと少し黙ってろ」「やだよ。だって、ヴェルとヴァニルがずっ

  • ヴァールス家 嫡男の憂鬱   今暫くこのままで-3

     今日も今日とて、夜も更けた月明かりの下。散歩と称しやってきた廃城で、俺はヴァニルに迫られている。 時々、2人で楽しみたいと連れ出されるのだ。毎度、後でノーヴァにブチ切れられるのだが。「なぁ、ここちょっと綺麗にしないか?」「そうやってまた時間稼ぎを······いや、まぁ、そうですねぇ」 ヴァニルは、周囲を見回して言った。「些か気にはなっていたのですが、貴方とここに来るとそれどころではなくなってしまって」 何がニコッだ。いつもそうやって誤魔化す。俺と出会った思い出の場所だから昂るとか吐かしてやがったが、このカビ臭さも石の冷たさと毛布の薄さも、いい加減うんざりだ。「此処を綺麗にするまでシない」「····なんですって?」 突如ヴァニルの雰囲気が恐ろしくなる。しかし、ここで負けてはいつもと同じだ。「絶対にシない! 汚いし硬いし冷たいし、嫌だ」「はぁ······子供ですか、貴方は。雰囲気《ムード》もへったくれも無いですね」「なんとでも言え。だいたい、この汚さでムードもへったくれもあるか! あのなぁ、俺だってちょっとは大事にされたりとか、その、良い雰囲気でシたかったりとか····恋人じゃなくても、甘い雰囲気を味わってみたりとかだなぁ····」 一体俺は、ごにょごにょと何をほざいているんだ。こんな事を言いたかったわけではないのだが····。「わかりました。少し待ってください」 そう言って俺を抱え、廃城の上空へと飛び上がったヴァニル。何をするのかと思えば、城に手を翳して呪文のようなものを唱え始めた。「おい、何する気だ」 俺の質問など

  • ヴァールス家 嫡男の憂鬱   今暫くこのままで-2

     ノーヴァも、この乱れた関係が存外気に入っているようだ。ノウェルを犯すのだって、実は楽しいらしい。ノーヴァの残虐性を目の当たりにする度、俺は少し玉が縮こまってしまうが。 さらに、今のノーヴァには没頭するものがあった。約束通りローズへ紹介し、共に薔薇を育てるようになったのだ。 この間、視察へ行った時も──「ノーヴァ、この薔薇の香りはどうかしら? 先週の物より上品な気がするのだけれど」「確かに、甘ったるいのにすっきりする感じだね」「そうでしょ? うふふ、貴方とこうして楽しめるなんて、すごく素敵だわ」「ボクも··すごく楽しい。何も考えないでローズと薔薇を愛でている時間は心が安らぐよ」「ノーヴァ、こちらへ来て」 ノーヴァの生い立ちを不憫に思うローズは、ノーヴァを我が子のようにそっと抱きしめた。ノーヴァもまた、そんなローズを母のように慕った。 まるで別人のように穏やかで、見たこともないほどしおらしいノーヴァを見て目を疑った。 ノーヴァにとって、ローズの話は興味深いものばかりだった。ヴァニルから学んだものと言えば、戦術や格闘術などが多く、まさに吸血鬼たる生き様そのもの。人間の真似事をして生きる為のものは少なかった。 それに反しローズは、礼節や人間と上手く付き合う為の、人間らしい心の在り方を多く教えた。 数ヶ月で、ノーヴァは見違えるほど心身共に成長していた。無作法で女王様のような面影はなく、立ち振る舞いから言葉遣いに至るまでが完璧な紳士だった。 これには、俺もヴァニルも驚いてた。 さらに驚いたのはノウェルの事。 本家主催のパーティーで、ノウェルは吸血鬼が流れる少年と出会った。名はイェールといい、ノウェルに一目惚れして猛アタックを続けている。イェールは2つ年下だが、単純なノウェルにいとも容易く上手く取り入った。 彼に流れる吸血鬼の血は、何代も経てとうに薄まっており大した力などない。だが、恋を覚えたイェールもまた、血に秘められた本能が少しずつ強まっている。 ノウェルが想いを寄せる俺に、イェールはいい印象を持っていな

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