株と空約束で同僚を騙す社長
うちのレストランの社長は、株式を社員をやる気にさせるのが好きだ。
初期の株式保有率はゼロ。残業2時間で0.01%の株式が加算され、1人分の仕事を多くこなせばさらに0.01%追加、会社のコストを2万円節約すれば、また0.01%の株式がもらえる、という話だった。
私は社長に、「詳細な規則を正式な文書にして、専任の記録係を置くべきではありませんか」と提案した。
しかし、社長はただ笑顔で「みんなもっと頑張って」と言うだけで、その「インセンティブ制度」を文書にすることはなかった。
古参スタッフは社長の空約束を信じなかったが、一人だけ本気にした仕込み担当のスタッフがいた。彼は、年末に社長に株式の引き換えを求めた。
しかし、社長はこう言って断った。
「シェフさんが言ってた通り、社印のない文書がないので、株を交換することはない」
そのスタッフは1年間必死に働いたにもかかわらず、何の見返りも得られなかった。その怒りと恨みを、すべて私にぶつけた。年末に私が帰省する前日、包丁で私を襲い殺した。
「文書がなきゃ無効だなんて言わなきゃ、このレストランは、全部、僕のものだったんだ!」
幸運なことに、血だまりの中で倒れた私は、社長が私たちに空約束をしたあの日に戻っていた。
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