ラスリスの薦めでティアナは養父の執務室へ向かった。ノックをすると彼の執事が扉を開け部屋に招き入れてくれる。「どうしたんだい?」マキシム・トラッシュ公爵は執務机に座ったまま顔だけこちらに向けて訊ねた。「あの⋯お話しをしたくて⋯お忙しいのでしたら出直します」「んー何時も忙しいからなぁ。だったら今でも構わないだろう?」マキシムは彼の執事に向けて言っていた。「よろしいですよ、明日頑張って頂きますので」「だって!ティアナ其処にお座り」マキシムに促されティアナはソファに腰を降ろした。手際よく執事がお茶を入れてくれる。オレンジの匂いがするお茶だった、ティアナは飲んだ事がなくて執事の顔を見ると「オレンジティーです」なんの捻りもなかった。一口飲むとオレンジの甘味が口に広がる。「美味しい」「お口に合ってよかったです」執事とティアナの遣り取りの間、まだ書類と格闘していたマキシムが、「おっ!」と言いながらソファに座った。出されたお茶は普通のアールグレイ。「何だ!私も疲れているんだオレンジティーにしろ!」「少し甘い物を控えた方がよろしいでしょう」執事はそう言ってお茶菓子で用意したであろうクッキーやショコラの乗ったお皿を、ティアナの前へすっと移動させてあろうことか監視するようにマキシムの対面であるティアナの後ろに移動した。「何だ!その徹底ぶりは!大体疲れたら甘い物が欲しいだろう、だから口に入れるのだ。仕事をセーブしてくれたらそんな事もない!」「⋯⋯」無言を貫く事に決めたであろう執事を見てマキシムは溜息を付きティアナを見た。「ティアナ⋯将来ティアナに付く執事は私が吟味して優しい奴をつけてやるからな」その遣り取りに気持ちが解れたティアナが微笑むとマキシムが上機嫌で話す。「見たか!此方を見てたからお前には見えなかっただろう、ティアナの笑顔は可愛いな」「その可愛い人を見殺しになされようとされたのは何方ですか」「またその話しを蒸し返すのか!」「ずっと蒸し返します、お迎えが来るまで」「解った!降参だ。ティアナ改めてあの時は申し訳なかった、この通りだ許して欲しい」マキシムが対面にいるティアナに頭を下げて許しを乞う。ティアナはすっかり忘れていたのであの時がどの時かピンと来ていなかった。だが兎に角マキシムの頭を上げさせなければならない。「あ
Last Updated : 2025-04-02 Read more