それからのティアナの一日のスケジュールはメリーナが決めてくれた。午前中はマナーと勉学を|家庭教師《カヴァネス》から学ぶ昼食後は二時間ほど休憩の時間その後は夕食までの間、午前中と同じ様に学ぶ。夕食後はフリーだ。先ず教わったのは食事のマナーだった。子爵家でも少しは教わったが、しっかりと教育された訳ではなかった。子爵夫妻はそんなに急いでしなくてもいいと思っていたのかもしれない。物心ついてから他者と食事を取ることが無かったティアナはスプーンとフォークしか使えなかった。ナイフで肉や魚を切るという、そんな当たり前の事も知らなかった。子爵家に行くまでは、それらは大きいままフォークに刺して齧り付いていたのだ。その様子で子爵家では予め切った物を出されていた。初めて手にするナイフとフォークの形。隣でロットバリーがお手本を見せてくれる、其れを見様見真似でやってみた。肉にナイフを入れるとスッと切れた。その感触が気持ちよくて細かく切り刻んでしまってメリーナに怒られた。その様子を笑っちゃいけないと堪えたがこらえ切れずにロットバリーは吹き出してしまった。マナーを学びながらの食事であったが、人と食べる食事。それだけでもティアナにとってはスパイスだ。食事が楽しいし料理の《《味がする》》。|家庭教師《カヴァネス》はメリーナの親友と紹介されたメリッサ夫人。彼女は5年ほど前に夫を亡くして息子夫婦とのんびり暮らしていたが、ティアナの為にメリーナが頼んでくれて住み込みで来てくれた。ティアナは貴族の子女が子供の頃から当たり前に学ぶ事を、学園入学までのあと3年で取得しなければならない。教えられるスピードはとても早かった。其れでも学ぶ事が楽しくてティアナは《《知る事》》に貪欲だった。「ティアナ勉強どうだった?」「楽しかったです」昼食後のお茶を執務室で飲みながらロットバリーとのお喋り。会ってまだ3日目だが二人は打ち解けていた。メリーナはティアナを引っ込み思案な女の子だと思っていたが、どうやら其れは環境のせいであったのだと気付いた。他者との接触があまりにも少なすぎてどう話していいのかが解らなかっただけのようだ。ロットバリーに誘われて庭に向かおうとしたティアナの後ろからメリーナが「行ってらっしゃい」と声をかけると振り向いたティアナは目をパチパチさせていた。
Terakhir Diperbarui : 2025-04-02 Baca selengkapnya