Semua Bab 貴方の願いを叶えたい: Bab 11 - Bab 20

64 Bab

始まり

それからのティアナの一日のスケジュールはメリーナが決めてくれた。午前中はマナーと勉学を|家庭教師《カヴァネス》から学ぶ昼食後は二時間ほど休憩の時間その後は夕食までの間、午前中と同じ様に学ぶ。夕食後はフリーだ。先ず教わったのは食事のマナーだった。子爵家でも少しは教わったが、しっかりと教育された訳ではなかった。子爵夫妻はそんなに急いでしなくてもいいと思っていたのかもしれない。物心ついてから他者と食事を取ることが無かったティアナはスプーンとフォークしか使えなかった。ナイフで肉や魚を切るという、そんな当たり前の事も知らなかった。子爵家に行くまでは、それらは大きいままフォークに刺して齧り付いていたのだ。その様子で子爵家では予め切った物を出されていた。初めて手にするナイフとフォークの形。隣でロットバリーがお手本を見せてくれる、其れを見様見真似でやってみた。肉にナイフを入れるとスッと切れた。その感触が気持ちよくて細かく切り刻んでしまってメリーナに怒られた。その様子を笑っちゃいけないと堪えたがこらえ切れずにロットバリーは吹き出してしまった。マナーを学びながらの食事であったが、人と食べる食事。それだけでもティアナにとってはスパイスだ。食事が楽しいし料理の《《味がする》》。|家庭教師《カヴァネス》はメリーナの親友と紹介されたメリッサ夫人。彼女は5年ほど前に夫を亡くして息子夫婦とのんびり暮らしていたが、ティアナの為にメリーナが頼んでくれて住み込みで来てくれた。ティアナは貴族の子女が子供の頃から当たり前に学ぶ事を、学園入学までのあと3年で取得しなければならない。教えられるスピードはとても早かった。其れでも学ぶ事が楽しくてティアナは《《知る事》》に貪欲だった。「ティアナ勉強どうだった?」「楽しかったです」昼食後のお茶を執務室で飲みながらロットバリーとのお喋り。会ってまだ3日目だが二人は打ち解けていた。メリーナはティアナを引っ込み思案な女の子だと思っていたが、どうやら其れは環境のせいであったのだと気付いた。他者との接触があまりにも少なすぎてどう話していいのかが解らなかっただけのようだ。ロットバリーに誘われて庭に向かおうとしたティアナの後ろからメリーナが「行ってらっしゃい」と声をかけると振り向いたティアナは目をパチパチさせていた。
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巣立ち 1

たったの5日ほどだったが出来たてのカップルは日々を愛おしく過ごした。全寮制の王立学園にロットバリーが旅立つ日。ティアナはハンカチを彼に手渡す。プレゼントを包むという事を知らないティアナは剥き出しで渡した。苦笑しながら受け取ったロットバリーだったが、広げるとハンカチには刺繍が施されている。「T」と「R」Rが難しかったのだろう、少し歪なその刺繍はティアナのテープだらけの指が語っていた。「あのねメリッサ夫人が、大切な人の旅立ちには心の篭ったものを送るって教えて下さったの。あの⋯気持ちを⋯沢山込めたの⋯。でもあまり上手に出来なかったからお部屋で使って。それで、あの、お勉強頑張ってね」暫しの別れの言葉を一生懸命に紡ぐティアナが愛おしくて思わずロットバリーは抱きしめていた。後頭部をメリーナに何回も叩かれたが気にしない。抱きしめながらティアナの頭を撫でて彼女を堪能する。「最初は慣れないからなかなか思うようにはいかないかもしれないけれど、なる丈帰ってくるからな、待っててくれるよね。ティアも沢山学んで!ティアなら最高の淑女になれるよ」自分で付けたティアナの愛称を呼びながらロットバリーはティアナに言葉をかけた。そうして彼は馬車に乗り込み窓から手を振って学園へと向かった。「さぁティアナお勉強の続きよ」馬車が見えなくなるまで見送っていたティアナにメリッサ夫人が声をかけると「はい」と答えるティアナの目には涙が浮かんでいた。それから数日後にはメリーナもアパルトマンに帰ったので、とうとうティアナは一人で男爵家に残された。でも本当の独りぼっちではなかった。メリッサ夫人もトーマスもミリーもいる。みんなティアナをティアナ様とかお嬢様と呼んでくれる。決して蔑んだ目で「庶子様」なんて言わない。この新しい環境でティアナは育つことになった。ロットバリーは学園の休みの日に度々帰ってきていた。帰ってきた時は庭を散歩したり、流行りの劇を見に行ったり、少し遠出をしてピクニック。婚約者として順調に恋心を二人は育てて行った。メリーナは不定期で帰ってきていたが、その度にティアナの教育状況のチェックをして満足していた。一年後には定期訪問していた孤児院で、仲良くしていたモリナをティアナの専属侍女にするべく、彼女の弟毎男爵家に引き取ってくれた。モリナもミリーに付いて侍女とし
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巣立ち 2

「でも貴方にも事情があったじゃない」メリーナの告白にメリッサ夫人が庇う。ティアナは二人の遣り取りを見てメリーナが祖父の愛人だった事は本当なのだと、改めて認識した。「そんな物、いくら事情があってもしていい事と悪いことがあるのよ。私は人の道理に外れたの、もう元には戻らない。でも其れは子供達には関係ないものなのよ、其れでも社会は子供にも罪を背負わせようとするし罰を与えようとするの。でも正しく知る事で子供達も各々で考えるでしょう」メリーナはメリッサ夫人にそう言って事実だけをティアナに話し始めた。「私ね17歳である人と恋に落ちたの」そう言ってメリーナは自分の過去を話して聞かせた。「私は元は子爵家の娘だったの。でも16歳の時家が没落してしまってその人と出会った時は平民だったわ。私はその時から魔法が扱えていたから平民になっても学園には特例で通えていたの。寮も追い出されなかったし。彼と出会って恋をしてそしてそのまま結婚できると信じてたのよ」メリーナは学園を卒業して直ぐに魔法省への勤務が決まった。彼は2つ年上で同じ魔法省に勤めていた平民だった。所属は違ったけれどお互い同じ職場でもあったから直ぐに一緒に住むことになり二人の出会った記念日に入籍しようと誓っていた。その頃、魔法省の研究機関で遺伝子の研究が進み親子鑑定が出来る研究が完成した。その時に魔法省で働く者は皆サンプルとして自分の血液を保存する事が義務になった。そして彼が貴族であることが判明する。その家は公爵家だった。彼は公爵家の昔誘拐された嫡男だったのだ。公爵家は喜んで彼を迎えに来てそのまま二人は運命に引き離された。「彼は家に戻っても私を迎えに来ると言ってたの。だから待っていたんだけど⋯私の知らぬ間に他の人と結婚していたわ」「!」「ふふっ彼と奥様とそして奥様の大きなお腹を目の当たりにした時、彼は私に向かってストーカーって言ったのよ。酷いでしょう」その時のことを思い出したのかメリーナは少し顔を歪ませた。「もう諦めるしかないじゃない?でも⋯」「それだけでは終わらなかったのよ」メリーナがよっぽど辛そうにしていたからか、続きはメリッサ夫人が話し始めた。「あの男は魔法省にメリーナがストーカーだと訴えて職場まで奪おうとしていたの。其れを救ってくれたのがマリソー前侯爵だったわ。貴方のお祖父様が公爵
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巣立ち 3

「でも、それなら私とロットの婚約は押し付けられたものだったのではないですか?」「何故?」「だって⋯私の事が嫌ではないのですか?メリーナ様を愛人にしてしまった男の孫なのに⋯」「うーん貴方にしてみれば複雑な気持ちよね。でもごめんなさいね過去は変えられないから謝ることしか出来ないのだけど。前侯爵夫人、貴方のお祖母様にしたら私は嫌な女だと思うし。貴方も嫌かもしれないのだけど⋯⋯」何時にない歯切れの悪いメリーナに首を傾げるティアナだったが、メリッサ夫人が「はっきり!」とメリーナに発破をかけるのが、深刻な話しをしているのに笑ってしまいそうになった。「メリーナ様、私ちっとも嫌ではないです、何か他人事のようで⋯」自分の正直な気持ちを打ち明けるとメリーナは目を見開いて、そして頷きながら続きを話してくれた。「そうか、貴方にとってはそうなのかもしれないわね」「何故、私とロットの婚約を?」「理由は2つあるの、最初に興味を持ったのは貴方のお父様の遺伝子よ」「お父様?」「えぇ貴方の本当の父であるクロード・トラッシュ公爵子息。その遺伝子を受け継いだのはこの世に貴方しかいないの」メリーナは魔法省の研究機関に長年勤めている研究者だ。本当の父の遺伝子に興味が湧いたのだろうとティアナは思った。「そしてもう一つはお金を使いたかったの」「?」「あのね貴方のお祖父様と付き合っている時と別れた時に沢山のお金を頂いたの。でも私は魔法省に務めていたからお金にはそんなに困ってなかったし、毎月頂いていたお金は別れる時に返そうと思って使わずに貯めていたのよ。それなのに別れる時までお金を渡すから、少し口論にもなったわ」「⋯⋯」「そうしたらね、話しを聞きつけた貴方のお祖母様から言われたの。お金を受け取ってもらえなかったら、其れはただの恋愛になる。夫の気持ちまで奪わないでって。お祖母様からしたら貴族は愛人を持つことに偏見はないでしょう。その一つとして捉える方が気持ちが納得できたみたいだったわ」「⋯⋯」「だから受け取るしかなかったのだけれど何となく散財する気が起きなくてね、放置していたんだけど。病院に行ったときに」「病院?」「えぇ貴方が子爵夫妻と事故にあった時、病院に行ったのよ。その時マリソー侯爵と話しをしたの。その時は断られたんだけどね」「そうだったんですか」「そう、後日お手紙
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王立女学園 1

女学園での寮の部屋は10畳の部屋に3畳ほどの小部屋が隣接されていた。簡易的なキッチンやバスルーム、トイレいたれりつくせりの部屋だった。先に送っていたティアナの服達をモリナがせっせとクローゼットに掛けていくのを眺めながら、少々ティアナは困惑していた。(こんな立派な部屋って⋯いいのかしら?)そう思いながらせめて文房具だけでもモリナの手を煩わせずに自分で片付けようと、送った箱の中からノート類を取り出した時、コンコンコンとノックの音が響いた。モリナが扉を少し開いて後ろ手に閉める。暫くするとモリナが部屋に入ってきて「お嬢様、お隣のお部屋の方がご挨拶したいと仰っています」「まぁそうなの?此方から行かないと行けなかったかしら?是非入って⋯あぁまだ片付けていなかったわ。私がご挨拶に参りましょう」ティアナはモリナの先導で廊下に出ると、そこには頭を下げた女性がいた。「申しわけありません、私共の主がご挨拶代わりに片付けの手伝いをするようにと申し付けられたのですが⋯」「まぁそれはありがとうございます。でもお手を煩わさなくても大丈夫ですわ。私の方からお礼とご挨拶に伺ってもよろしいかしら?」「聞いてまいります」その侍女は素早く隣の部屋に帰っていき暫くすると出て来た。「主がお待ちしております」案内された部屋はティアナの部屋と作りは同じようだった。違うのはティアナの部屋はまだ箱だらけというところだろうか。「態々足を運んで頂いて申しわけありません。私はユアバイセン侯爵が三女のナタリーヌと申しますの。仲良くして頂けますと嬉しいですわ」「初めましてナタリーヌ様、マリソー侯爵の娘ティアナと申します」「⋯⋯ふぅん。あっ失礼しました、そうですか娘様ですか⋯」ティアナは嫌がらせが始まったのだと感じた。今迄もメリッサ夫人に連れて行かれたお茶会でティアナの挨拶で同じような蔑みは何度も受けていたので、ナタリーヌが態とこの場を設けた事が解った。貴族の挨拶で庶子であるティアナは長女と言ってはいけないのだ。だから娘と自己紹介するのだが、その時点で庶子だと告げているようなものなので、必ずその後は侮蔑の目で見られていた。(メリーナ様はご自分のせいで色々と言われると仰っていたけれど、元より私は侮蔑の対象だから、そんなに気にせずとも良かったのに)ただ、メリーナもこの事はメリッサ夫
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王立女学園 2

始まった学園生活は概ね予想通り、いや予想以上かもしれない。ティアナは同じ学生達に蔑まれる事は覚悟していたが、まさか教師にまで侮られるとは思っても見なかった。クラスでは当然総スカンで誰一人ティアナに話しかけてくれることも無く、ティアナが少しでも近付くと(横を通るだけ)あからさまに人一人分ほど避けられる。移動教室の連絡などは一切教えてもらえず、カリキュラムの変更も、行事などの連絡も全くと言っていいほどなかった。そして教師も、ティアナがクラスで孤立してるのは誰が見てもわかるのに、まるで居ない者の様に接していた。ティアナの席は窓際の後ろから二人目なのだが、テスト用紙など配る時にティアナを毎回素通りする。そして最後に用紙を貰うのだが、そのテストは明らかに習っていない問題が出題されているのだ。教師の態度に最初は戸惑ったティアナだったが、よくよく考えればティアナの出自などは、子女達よりも教師の方がよく解っているだろう。そしてメリーナの事も教師の方が歳が近い。「はぁ」人知れず出る溜息はもうティアナの癖になってしまっていた。それでも最初のうちは良かった。学園の休みの日には男爵家に戻って羽を伸ばす事も出来たし、偶にロットバリーとも会えた。2日置きに届くロットバリーの手紙もティアナの心を慰めていた。どんなに皆の仕打ちに疲弊してもロットバリーの手紙を読むだけで活力が湧いてくるのだ。それにミランダも慰めてくれる。だがそんなある日、ティアナとモリナが食堂に向かう階段を降りている時だった。何か言い争う声と泣き声が聞こえてきた。モリナと目を見合わせてその声の方に向かった。何故なら泣き声がミランダの侍女の声に似ていたからだ。女学園の寮の建物の構造は、一階が伯爵、子爵、男爵家の子女。ニ階が食堂と図書室、談話室、共同のバスルームとトイレ。三階が侯爵、公爵家の子女、そしてその代でいるならば王族となっているそしてその声はニ階の共同のバスルーム辺りの方から聞こえた。そーっと近付くと声が段々とはっきり聞こえてきた。「⋯⋯マリソー⋯いいのかしら」「ずっと⋯⋯愛⋯⋯このままよ」「⋯⋯⋯⋯るわね」所々が小さく聞こえるのは小声で言い含めているからだろう。よく聞こえなくてもう少し側へと思ったら足音が此方に向かっているように聞こえた、咄嗟に物陰に隠れると同じクラ
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王立女学園 3

ミランダが学園から居なくなって暫くすると、先ずティアナの外出許可が降りなくなった。理由は普段の行いが良くないからと教師からの進言があったそうだ。そしていくらティアナが出してもロットバリーからもメリーナからも手紙が届かなくなった。それからティアナへの虐めは度を越したものになっていく。主に中心になってティアナを虐めているのはナタリーヌとその取り巻きであったが、おそらく彼女はディアナ・ルースト公爵令嬢から指示されているのだと思った。何故ならナタリーヌこそがディアナの取り巻きであったからだ。ミランダがいる時は学園内だけだったが、居なくなってからは寮の中でも始まった。食事をしているとフォークを口に運ぼうとした途端後ろから態とぶつかってくる。唇や口の中をフォークで何度も刺した。スープを飲んでいても同じだった、スープの中に顔をつけた事も数しれず。そのうち、部屋の簡易キッチンでモリナが作る食事で済ませようとしていたら、一週間ほどでモリナも外出禁止になってしまった。モリナが外出が出来ないと食材が買えないのだ。(侯爵家での使用人達は優しかったのね)ティアナはあの辛かった子供時代すら懐かしく思う程、心も体も疲弊していった。◆ある日ティアナは登校すると教室に誰も居ないのを見て、また移動教室を教えてもらえなかったと思い、時間割を見て音楽室へ向っていた。一限目が音楽の時間だったからだ。この時間は何時もは教室で音楽を聞く時間なのだが、偶に音楽室のピアノを教師が演奏する日がある。先週その日があったばかりだったが、と思いながら向かったが誰も居なかった。驚愕したティアナだったが、もう思いつく場所などないので教室に帰る事にした。廊下をトボトボ歩いているとティアナに気付いた教師が走って呼びにくる。2年生のクラスの教師だった。「貴女こんな所で何をしているの?」そう咎めるように言ってティアナの手を引っ張り連れて行かれたのは、講堂だった。そこでは卒業生である第一王女が挨拶をされている所だった。終わり間際だったことも有り、教師はティアナを入り口近くに座らせて隠してくれた。だが皆が移動する際に学園長に呼ばれた。「ティアナ・マリソー!こんな大事な日に遅刻とは何事ですか!もうすぐ隣国にお輿入れされる王女様が、卒業生として未来の淑女へとありがたいお言葉をかけてくだ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-02
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王立女学園 4

ティアナが目を覚ますと誰かが手を握ってくれていた。そっと頭を動かしてそちらを見るとロットバリーだった。手を握りながら下を向いていたロットバリーはシーツの動きに気付いて目覚めたティアナを見る。「ティア⋯気分は?」「⋯⋯私⋯此処は?」「魔法省の中の医務室だ」「魔法省?⋯⋯メリーナ様の⋯」「そう母上の所だ。あとでわけは話してあげるけどとりあえずこれをお腹に入れて」ロットバリーは、そう言ってティアナを起こして背もたれにクッションを幾重にも重ねて座らせてくれた。目の前にテーブルをセットされ置かれたのはスープだった。「自分で食べられるか?」頷いてスプーンで一匙掬うと、それはスープではなくパン粥であった。少しずつ口に運ぶけれど|三口《みくち》程で、受け付けなくなった。その様子を見てロットバリーは水の入ったコップと薬の袋を置いた。「飲んでからゆっくり寝るんだ」言われるとおりに薬を飲むと、暫くして眠くなり座った体勢のまま眠ってしまった。クッションを退かしてベッドに寝かせると、控えていたモリナに「あとは頼む」と言ってロットバリーは部屋を出て行った。「お嬢様⋯」モリナはティアナの側で手を握りながらそれを額に当て涙を流すのだった。◆再び目を覚ました時、側にはロットバリーとメリーナが心配そうにティアナを覗き込んでいた。「あっ!目が覚めた?」「ティア」「⋯⋯」起きたばかりで頭が働かないティアナは少しボーッとした後、二人をしっかりと見て微笑んだ。その顔を見て二人はホッと胸を撫で下ろす。「ティアナごめんなさいね、調べるのが遅くなってしまって間に合わなかったわ」「?」「解からないわよね、起きれるかしら?」頷いてティアナが起き上がると部屋の隅にモリナがいるのが見えた。「⋯モリナ」「お嬢様、良かったです。目を覚まされて」「じゃあ移動しようか」ロットバリーがそう言ってティアナの背中と足に手を回して抱きかかえた。「ひゃっ」いきなりのお姫様抱っこにティアナは驚いて変な声が出てしまい慌てて両手で口を抑える。「危ないからちゃんと捕まってて」ロットバリーの注意に口を抑えながら頷いて真っ赤な顔で肩から首に手を回した。ロットバリーの匂いがティアナの鼻腔を擽りティアナの顔は益々朱く染まる。そのまま連れて行かれたのは男爵家の執務室の様な場所だっ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-02
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遺恨 1

「初めましてマリソー侯爵の娘、ティアナです」ティアナはゆっくりと立ち上がりメリッサ夫人仕込みのカーテシーで挨拶をした。(トラッシュという姓はお父様の生家よね、ではこの方は親族の方かしら?)考えを巡らせながらトラッシュ公爵を見つめると、彼はティアナの考えている事がわかったようだ。「あー私と君とはあまり関係がないんだ、戸籍でも血もね」「?」「私が説明するから、取り敢えず皆座りましょう」メリーナがそう言うと部屋に備えていた珈琲メーカーから入れられた珈琲をモリナがテーブルに並べ始めた。モリナが部屋を出るとメリーナはティアナに安心させる様に教えてくれた。「モリナは隣の秘書室に私の秘書と一緒にいるわ」ティアナはメリーナに微笑んで頷いた。「では何にも聞いてないティアナに今迄の話しをするわね」「はい」「あの女学園がそこ迄腐ってるとは解らなかったの、先ずあんな学園に入れてしまった事を謝らせて。ティアナごめんなさい」「メリーナ様頭を上げてください、メリーナ様のせいではないです」「そうだよメリーナ、いくら君でも新しい学生の出自なんて調べられるわけないだろう」トラッシュ公爵がメリーナを慰める。「それはそれ、これはこれですわ。トーバリー伯爵令嬢から聞くまで微塵もその可能性を考えてなかった私の落ち度です」「ミランダが?」「令嬢が俺の所に報せに来てくれたんだ」「ロットの所へ?」「あぁ、それから詳細を聞こうと思ってティアに手紙を出しても当たり障りのない返事しか帰って来なくて変だと思ってたんだ」ロットバリーの言葉にティアナは疑問が湧き出る。「ロット手紙を書いてくれてたのね」「そうだよねティアはそう思ってしまう」「ティアナ、貴方の手紙にね。魔力残滓が見つかったの」メリーナの言葉にティアナは目を瞠る。「先ずは順に話しを進めていくわ。ミランダ嬢がロットに話しをしてくれて直ぐに、ティアナが素行不良で外出禁止と女学園から私に通知が来たの。おかしいと思っても学園内の事は調べようがなかったのよ。ミランダ嬢の話では自分が居なくなったら寮内でもティアナに危害が及ぶかもしれないって危惧していたのだけど、それが現実になってしまって、モリナが機転を聞かせて外に出てくれないかと思案していたけれどそれもなかった。そんな時ティアナの手紙を持ってロットが此処に来たの」「⋯⋯
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-02
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遺恨 2

「メリーナは魔力残滓を見つけて直ぐに君を別の学園に編入させようとしていた、その手続きも含めて私に相談したんだ。誰か解らない魔力と君の編入とをね。その時点ではディアナ嬢の事は何一つ解ってなかった」ティアナはトラッシュ公爵の言葉にメリーナが自分を救う手段を講じようとしていた事を知った。「私は彼女から話しを聞いて君には申し訳ないが待ったをかけた。届け出のない魔力持ちを見つけることの方が国にとっては重要だからね、残滓の主が解るまで君の事は後回しにする様にと王命を出したんだ」メリーナとロットバリーは唇を噛んだ。その様を見てティアナは彼らの憤りとティアナに対する懺悔を理解した。「貴方を助けてからでも良いじゃないかとメリーナ達は言ったが、そうしてしまうと魔力持ちの者が何もしなくなってしまうかも知れない。それだと見つけられないだろう?だから君には犠牲になって貰おうと国として考えたんだよ」ティアナは公爵のその言葉を聞き不思議と気持ちは凪いでいた。何故かは解らないがしょうがないと納得していた。ただ一つだけ言いたい事もあった。「モリナは助けて頂きたかったです」「あぁそうか、君は彼女を大事に思っているんだね。だが庶子とはいえ君は貴族の子女だ。貴族を犠牲にするのにその使用人を優先するという考えは私には思い浮かばなかったよ」血も涙も通ってない、ある意味王族らしい公爵の物言いだったが、ティアナはやはり腹は立たなかった。メリーナやロットバリーは怒りを拳や表情に表しているのに、全くと言うほどティアナの心は凪いでいるのだ。その事に違和感すら覚えない。ただその感情を第三者が覗いているように感じている。「話しを戻そうかな、女学園の新入生の名簿を見て、ディアナ・ルーストの名前を見た時、メリーナが進言してくれたんだ。可能性があるとすれば彼女かもしれないとね」「ティアナ覚えているかしら?私の昔失恋した相手が貴族だったと⋯」「はい、確か公爵家の⋯⋯」そこ迄言ってティアナは気付いた、もしかしたら⋯⋯?「そう彼の家だったのルースト公爵家は。彼は私と会った時、平民だったけど少しだけ魔力があったのよ、本当に少しで精一杯魔力を扱っても精々水をお湯に変えることぐらいしか出来なかったけれど、確かに魔力は持っていたの」「其れを聞いてね、彼のデータを探したんだ。昔の物でも残っているからね、
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