「ディアナ嬢が君に恨みを持つ理由は⋯彼だね」トラッシュ公爵はそう言ってロットバリーを見た。ティアナがロットバリーを見ると彼は悔しそうに頷いた。「まぁその辺は君たちで話せばいいから私から話す必要はないかな。兎に角私達の目的は二つだった。無届の魔力持ちを見つけて捕縛する事とその後直ぐに君を速やかに救出する事、でも君は助け出す前に倒れてしまって少し混乱しちゃったけどね」「⋯⋯」「じゃあ、取り敢えず経緯は話した。後はメリーナが私へ頼んだ事を伝える為に来たんだ。ティアナ嬢、君は一ヶ月後に王立学園に編入できる。それ迄体を厭いなさい」「手を回して頂きありがとうございます」憮然とした表情でメリーナが述べるとトラッシュ公爵は苦笑した。「まぁまた何かあれば私を頼っても⋯ハハハもう頼らないかな?気が向いたらお茶でもしよう」そう言って公爵は部屋を後にした。暫く沈黙の時間が続いたがメリーナが口火を切った。「ティアナ疲れたでしょう、お腹は?空いてない?取り敢えず私のアパルトマンに行きましょう」そうしてティアナとロットバリー、そしてモリナはメリーナの家に付いていった。◆ティアナはメリーナの家で軽く食事をして案内された部屋で早々に休むことになった。思ったよりも回復していなかった体が悲鳴を上げたように発熱したからだ。ベッドに寝かされ呼ばれた医者に見てもらっていたが、その頃にはティアナの意識は朦朧としていた。「ティアナ、ティアナ」「誰?」「届いたね私の声が⋯⋯」「貴方は?」「守ってあげられなくてごめん、君の側にいられなくてごめんよ」「⋯⋯大丈夫⋯ロットもメリーナ様も居るの⋯」「彼女は⋯⋯」「彼女?」「気持ちを強く持つんだよ⋯⋯」「⋯⋯貴方は⋯誰?⋯」目が覚めるとベッドサイドの明かりのオレンジが室内を照らしていた。そのまま起き上がりそこから見える窓の外はまだ暗い。(何か夢を見ていたような⋯男の人?)ふと頬を触ると乾いた涙の跡が手に感じる。自分が夢を見ながら泣いていた事は解ったが、夢の内容を思い出す事は出来なかった。ただ男の人と会話をしたような気はする。喉が乾いた気がして明かりの灯るサイドテーブルに再び視線を向けると、水差しが置いてあった。水を飲もうと手を伸ばすとそこに手紙が置いてあることに気付く。一杯の水はティアナの乾いた心を潤そう
Terakhir Diperbarui : 2025-04-02 Baca selengkapnya