Semua Bab 貴方の願いを叶えたい: Bab 51 - Bab 60

64 Bab

目覚め

そこは初め真っ白な空間だった。ティアナはそろそろと歩いていた。そのうちに光が差して抱きしめられる。(自分を抱きしめてくれたのは誰かしら?崖から飛び降りた時、きっと水面で体がバラバラになるはず、根拠のない自信で飛び降りたけれど、《《ちゃんと》》死ねたかしら?それならば此処は死後の世界かしら?)誰に問えば良いかわからぬ疑問があとからあとから湧いてくる。疲れを知らないティアナはまだまだ歩いてゆく。すると白い空間から茶色い空間へと変わった、少しくすんだその茶色は、そこを通ると泣きたくなった。歩いても歩いても茶色は続く。胸が苦しくて死んでも胸が苦しくなることがあるのかとティアナは思った。漸く抜けた次は黄色だった。時折聞こえる笑い声は懐かしい会いたい人の声だ。その人は何も知らない出来ないティアナを導いてくれた。心地よいその笑い声は彼女の最後の笑みが創り出したものかもしれない。ティアナはこの空間が自分が今まで生きてきた物だとそこで気がついた。やはり此処は死後の世界でこの空間には色しかないのだろう。途端に歩みがトボトボに変わった。先が見えないから心細い。でも⋯此処が死後だったら、私はロットの願いを叶えたのではないだろうか?それは喜ばしいことではないのだろうか?自問自答して「うん」声のでない頷きにティアナは満足していた。私の最期は喜びに満ちたものだった。このままあの笑い声の人の元へ行けたらいいなと考える?アレ?考える⋯⋯私は考える?⋯考える⋯。そこでティアナは目が覚めた。自分を上から覗いているのは知らない人「貴方は何方でしょう?」そう声を出したつもりだったけれど発してはいなかったみたいだ。不思議な顔でティアナを見つめる。そして《《貴婦人》》が訊ねる「貴方の名前は?」「⋯⋯ティアナ⋯」今度は声に出して応えることが出来た。
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違う!

★ティアナが目覚める少し前──────────────医師の紹介で現れたチェリーナにロットバリーは丁寧に挨拶をして自分の状況を説明した。ティアナの件も話したが違和感については自分の感覚のみだから話さなかった。話しを聞いたチェリーナは「フム」と言いながら考え始めた。ロットバリーは改めてチェリーナを観察する。彼女は魔術師団の元副団長と聞いていたが其れを見た目で判断するのは難しかった。見ただけでは単に美しい貴婦人だった。ただロットバリーが魔力持ちだからだろうか、纏うオーラが凄まじい程に煌めいて見えた。今尚考え中だが発している煌めきに不覚にも見惚れてしまう。思考が終わったのか彼女がこちらを見た。「取り敢えずその草むらに案内してもらえるかしら?」「でもあれからだいぶ経っていますが⋯」「まぁ行ってみてからしか判断はできないわ」言われたロットバリーは自分が転移させられたであろうその場所へチェリーナを案内する。相変わらずの広い草むらは、やはり時間の経過でロットバリーは《《その場所》》を特定できなかった。だがチェリーナは迷わずスタスタと歩いて行き一か所に立ち止まる。「此処ね」驚くロットバリーを他所に特定した場所をぐるりと一周りしてまたまた考え込んだ。手を翳しその辺りをゆらゆらと手でなぞるように動かしている。「残滓を特定したわ、そのティアナ嬢に会えるかしら?お話を聞きたいの」「彼女は記憶が混濁しているようで、まだ状況の説明など控えているのですが⋯」「でも何時までも控えているわけには行かないでしょう?必要なら私から話してもいいわよ」チェリーナの申し出に縋りたかったが、やはりティアナの婚約者としてそれでは不甲斐ない。自分が先に説明するからとチェリーナに話して診療所の方へ案内することになった。ティアナはベッドの上でメルに指のマッサージを受けている所だった。申し訳なかったがメルには退席を願ってロットバリーはティアナに話しを始める。突然居なくなったこと、灯台の前で倒れていた事、長く意識を取り戻せていなかった事、此処は自分達の国ではない事、ロットバリーもいつの間にか転移していた事⋯などを丁寧に話した。ティアナは「まぁ」とか「そんな」とか言いながら話しを聞いていた。ロットバリーはそれにも違和感を覚えた。ティアナは人と話す時に相槌など入れな
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お陽様

ティアナを助けてくれたのはメリー・キャリバンという名の夫人だった。そこはターニア王国の北側の最端キャリバン領の中の小さな家。ティアナが飛び降りた崖よりもだいぶ流された位置にあった。地図を見ながら説明されたので此処がキャリバン領だとわかったが、目の前の夫人はキャリバンと姓を名乗ったものの、その関係性は教えて貰えなかった。領主の邸でないのは確かだろうと思った。何故ならあまりにもこじんまりした家だったから。案内された部屋数はティアナが寝ていた部屋を含めても4つしかなかった。寝ていたベッドも質素なものだったし、備えてあった椅子やテーブルもしっかりした作りだが見た目的にはシンプルで貴族が使う物には思えなかった。夫人が言うには此処は別荘なのだそうだ。敢えて“誰の”だとは言わなかった。別荘なのであれは彼女は領主夫人なのかもしれないなと薄っすらとティアナは思った。態々訊ねることはしなかった。彼女の教えてくれたティアナは、別荘から少し歩いた所にある海岸に流れ着いていたそうだ。不思議なことに“如何してそこにいたのか”とは聞かれなかった。ただ何故か彼女は一冊の小さなノートとペンをティアナに与えて自由に使いなさいと言った。その日からティアナは自分の思いの丈を日記に認め始めた。今日は晴れロットは今頃如何しているかしら?私が居なくなって清々しているのかしら?初めて会った頃に戻れたら⋯。貴方は可哀想な私に手を差し伸べてくれたけれど、私が強い子であればそんな必要はなかった。そうすれば婚約解消も、もっと早くにメリーナ様に進言できたのかもしれない。弱くてごめんなさい好きになってごめんなさい。◆今日は雨雨の日は好きだった。だってずっとお部屋でロットとお話することができたもの。あまり話さない私に気を使って一生懸命話題を振り絞る貴方を見るのが嬉しかった。ロットごめんなさい私が話題豊富な女の子だったら貴方にそんな苦労させなかったのに。明るくなくてごめんなさい。好きになってごめんなさい。毎日の日記は初めはロットバリーへの懺悔だった。ティアナの中の後悔はロットバリーに出会ってしまった自身の運命をも否定するものだった。だが、その小さな30頁程のノートが一冊終わる頃にティアナは段々と気付き始めた。今日は晴れ少し暑いくらいの陽射しで別荘のメイド
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キャリバン夫人に世話になってどれ位の月日が流れただろうか?渡される小さなノートは既に4冊目に突入していた。ティアナは、最近お菓子作りにも挑戦している。穏やかに紡がれる日々はティアナに安息を齎していた。ティアナは毎朝、自分が流れ着いた海岸に足を運んでいる。水平線を眺めていると波が更々とティアナの足元を攫ってゆく。水面は何時もキラキラと何かに反射していた。この海は常に凪いでいた。その様を眺めているとティアナの心も凪いでゆくのだった。空を見上げると雲の形が色々ある事に気付く。船だったり、猫だったり、ウサギだったり。でも一等お気に入りはロットバリーだった、その雲は横を向いているロットバリーにソックリに見えた。その雲を見つけるとティアナの心は歓喜する。(今日も見られた、きっと今日はいい日だわ)自分で示した雲占いに微笑むティアナ。それが今のティアナの日常だった。ロットバリーの顔雲を見つけることが唯一の楽しみだった。付けている日記に其れを見つけた日は目印を付けていた。(ロットは私に幸福をくれる、貴方の願いを叶えてあげたいけれど今はまだ駄目なの。だって私は生きたいから⋯ごめんね。代わりに貴方と貴方の愛する人の前に決して現れないと誓うわ)その日ティアナは水平線に其れを誓った。◆半年ほど経ったある日、ティアナはキャリバン夫人に付いて孤児院へと訪った。そこには10人程の子供達が生活していた。大きい子は一人も居らず、皆3歳から大きくても10歳位だと教えてもらった。その孤児院は夫婦で営んでいた。収入は無くキャリバン伯爵の慈悲で運営しているそうだ。「ティアナ⋯此処で先生をしてみない?」キャリバン夫人はティアナに生きる道を提案してくれた。「私で宜しいのですか?」「えぇ貴方がいいわ、此処まで通うのは大変かしら?」「まだ別荘でお世話になってもいいのですか?」「えっ?勿論よ、まさか出ようと思っていたの?まだ⋯駄目よ」キャリバン夫人はティアナを同居人と認めてくれたらしく、別荘に居るように言ってくれた。ティアナはメリーナを思い出す。今のティアナには何も出来ない、先が見えないティアナはキャリバン夫人に甘えることにした。その日から毎日、孤児院へと通うティアナの姿が見られるようになった。徐々に笑顔が増えるティアナをキャリバン夫人は微笑みな
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安堵

安寧の日はティアナの心を癒やしてくれる。孤児院で一番大きいアルツは明後日11歳になると教えてくれた。この孤児院は10歳までしか入れないのだそうだ。アルツの姿にモリナの弟アルトを重ねる。「アルツはここを出たら行く所は決まっているの?」「みんな一旦は領主様の所で見習いとして働くんだ」「見習い?」アルツの話しを聞くと平民の子供達は11歳になると皆、領主の元へ集められ仕事の適性を一年かけて見られるそうだ。一年後に適正と本人の希望により就職を斡旋されるらしい。ティアナは素晴らしいと思った。何よりそれにより領内の識字率も就職率も上がる。そういう領地は犯罪も少ない。統司者の采配次第で住みやすい所になるのは勿論だが、実際に見て此処は群を抜くほど住みやすい場所だと思った。キャリバン伯爵に機会があったら会ってみたいとティアナは思うのだった。孤児院までの道は馬車は一台しか通れない、故に路肩に馬車が避けられる様に駐車スペースが出来ている。その部分は歩道が少し狭い。その馬車は対向に行き交う馬車がいなくても止められていた。偶に主に言われ休憩として使っている馭者がいると聞いていたティアナはそこに馬車がいるという認識はあったが、さして気にしてはいなかった。だからその横をティアナが通り過ぎた時、馬車の入り口が開いたことなど知る由もなかった。いつものように孤児院に着くと、その日はアルツの最後の日だったようだ。「アルツ!」「ティアナ様!」驚いた事にアルツはティアナを見て涙ぐんでいた。何時もティアナの言う事を聞くアルツが本当の弟に見えてティアナも涙ぐむ。疑似姉弟はひしと抱き合い別れを惜しんだ。「ティアナ様に会うと泣いてしまいますからね、態と出発を教えなかったのにバレてしまいました」「そんな寂しい事言わないで、泣いてもいいじゃない!別れを最後にしたくはないわ。またねと言って離れたいのよ」ティアナの言葉にアルツは破顔してそして手を振って領主からの迎えの馬車に乗りこんで行った。その馬車を見えなくなるまで見送っていると、馬車のいなくなる端に懐かしい顔が見えた。見送ったあとの振り返る一瞬で見えた顔だったから見間違いだと思った。もう一度振り返るとゆっくりとその人は歩いてくる。遠近法を無視する背高のっぽのその人物を認めたティアナは両手で口を覆った。勝手に
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洗脳

路肩で待機していた迎えの馬車に乗っていたのはマキシムだった。久しぶりに見る義父は離れる前に見た時よりも歳をだいぶ重ねたように見えた。未だロットバリーに抱きかかえられたままのティアナは馬車に乗り込む時もそのままだった。「あっあのもう降ろしてください」「⋯⋯」ロットバリーはただ何も言わずに馬車の中では目を閉じたままだった。縋るように義父を見たが、彼は黙って呆れるようにロットバリーを細めで見つめてから、溜息をつきながらティアナに向けて首を横に振る。この状態が何時まで続くのか、そして自分を《《嫌っていた》》二人が何をしにこの海辺の|キャリバン領《街》に訪れたのか。そして⋯自分は何故彼に抱かれているのか?さっぱり解らぬティアナは何時しか考えるのを放棄して目を閉じた。暫く馬車で走って次に降ろされたのは大きな邸だった。客間と覚しき部屋へロットバリーに抱えられたまま連れて行かれ、その部屋の椅子に座らされた。そこには緑髪の壮年の紳士が白いマントに身を包み待っていた。座らされたティアナにいくつかの質問をしたのだが、答えるのを憚る質問にも関わらずティアナの心に反して口は滑らかに答えるのだった。そのうち彼の手から光が発せられたのまでは覚えているが、その先は猛烈な眠気に襲われてティアナは意識を保てずに目の前が真っ暗になった。──────────────「間違いないですね」緑髪の男ロバットが口を開く。「解除は出来ますか?」「それは簡単に出来ますが、その間の記憶が洗脳だった事を解くのは精神的に本人に辛い目を合わせますよ。恨み妬み嫉み。洗脳で容れられてしまった記憶を洗脳だと認識するには周りの人の献身が一番の薬です。解除の後のフォローはお二人に掛かっていますが忙しいからとお座なりにしないで頂きたいのですが⋯⋯大丈夫ですか?」ロバットの懸念はロットバリーに向けられる。「サリバン公爵令嬢は家族に任せればいい、俺の家族はティアナだけだ」ロットバリーの言葉にロバットは「ふぅ」と一つ溜息を付いてマキシムを見る。マキシムはその瞳に気付き苦笑して頷くと、それを見たロバットが「解りましたよ」そう言いながらティアナの頭に手を翳し始めた。その手から放たれる黄色い光がティアナの頭に靄をかけて、暫くの時間ロットバリーとマキシムは固唾を飲み見守るのだった。ティアナが目覚めて
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歪な関係 1

★side ディアナ・ルースト※一人称で進みます──────────────私の記憶の初めは“音”だ。ピシッピシッ!としなり、打ち付ける鞭の音。母様が父様に打たれる音私はその音をお祖父様の膝の上で聞かされる。私の家は公爵家だけど王都には住んでいなかった、それがおかしい事に気付かされたきっかけは使用人のコソコソ話しだった。「お嬢様に縁談の話しが来たそうよ」「えっ?こんな所に?」「それが今、24歳のほら⋯問題起こした⋯」「あぁ問題起こした息子に、捨てられた公爵家の娘を充てがうのね。それって⋯」「そうよ子孫さえ残せばいいってね」「まぁこの《《分家》》の公爵家が残されてるのもその為だものね」この使用人の話しを聞いたときの私は6歳でその時はおかしいとは思わなかった。ただ耳には残っていた。私の横で一緒に聞いていた乳母の繋いだ手に力が篭ったから痛くて覚えていたのかもしれない。この話しをしていた使用人は後日死んだと聞かされたのだけど大人になって始末されたのだろうと思い至った。歪な公爵家で育てられた私は年に数回だけ領地から王都に行けるときがあった。彼に初めて会ったのは私が8歳の時だった。王都には沢山の店が並んでいて滅多に来れない私はワクワクしながら店を物色していた。お祖父様と連れ立ってその洋装店に入って試着室で採寸をしてもらっている時に、店の中で待っていたお祖父様がその試着室に突然入ってきた。採寸している針子と私に「しっ」と言いながら人差し指を口元に充てて怖い顔をしていた。吃驚して呆然としている私達を尻目に、お祖父様はそっとカーテンを少しだけ開いて店内の様子を伺っている。その開いた隙間から私も店内を覗いてみた。そこには綺麗な女の人とその人に連れられて来ていた綺麗な男の子が立っていた。女の人は店員と話していて男の子は退屈なのか珍しいのかキョロキョロと店内を眺めている様子だった。その時一瞬目が合ったと思った。でも直ぐ反らされてその子は此方から後ろ向きになる店内に置かれたソファに座ってしまった。結局お祖父様はその人たちが居なくなるまで試着室から出なかった。会いたくない人なのかなと思ったけれど、その人たちが出た後、凄い勢いで私を置いて店を出てしまったから私は唖然として、そして途方に暮れた。採寸の続きをされていてもこのまま迎えに来な
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歪な関係 2

★side ディアナ・ルースト──────────────お祖父様のやってる事は私には理解の範疇を超えていた。まだ子供の私に何をさせたかったのかは今尚知る由もない。彼はもうとっくに鬼籍に入ったからだ。でも私達の苦しみは彼が死ぬまで続いた。幼い私にお祖父様が厳命したのは彼へ付かず離れずで近づく事。今考えてもそんなの8歳の子供にさせようとしたお祖父様がおかしい事は明白だけれど、その時の私は鞭で打たれるのが怖くてそれに従っていた。はっきりとした顔合わせはユアバイセン侯爵家の茶会でだった、その時に名乗った。それからも色々なお茶会で会うたびに挨拶はするけれど特段親しくならない様にしていた。ただお茶会の時には王都に来れるのでそれはとても嬉しかった。そんなある日激昂したお祖父様に叱責される。片手には鞭が握りしめられていた。12歳になっていた私は幾度となく鞭打たれる母を見せられていたから、手に握られた《《それが》》普段と違う鞭だと気付いていた。普段私を叱責する鞭は短めの細い物だ。長く撓るそれは《《母用》》の物だ。何度も何度も大声を出しながら打たれた。顔を避けているのは意識が朦朧としながらも解った、お祖父様の鞭打ちながらの言葉でどうやら縁談を断られたのも解った。断られた縁談の罰が私に向かうのは理不尽だと思ったけれどそんな事が通用する人ではない。黙って打たれていたけれど何時しかもう何も私の目には映らなかった。目が覚めた時には汚い床に転がされていた。痛くて痛くて腕に残された鞭の後を手で撫でながら治ってと祈ると手から光が溢れた。そしてその部分が治ったのだ。その時に初めて魔法が使えた。何故かなんて解らない、突然使えるようになった魔法は私の中でこの歪な生活が終わる事の出来る物だという希望を生んでくれた。「これは隠さなくては⋯⋯」手を翳して祈るだけでは駄目だった。治ったのをイメージする事で光が発動する事がわかる。特に痛いところだけ治して後は放置した。傷だらけの私が治療もせずに治れば怪しまれると思ったからだ。生き延びるまで何としても隠さなければ。そして私はこの理不尽な仕打ちにロットバリーという人物を呪った。あいつが縁談を断らなければこんな事にはならなかった。首尾よくできなかった父の代わりに母が鞭打たれただろう事も予想していた。祖
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歪な関係 3

お祖父様の何かしらの関係のあるメリーナ・スティル女男爵。その方の名前を頂いた私は祖父にとってどんな存在だったのか?代わりなのか、それとも憎々しい相手を忘れることのないよう自分を戒めるために付けたのか。まぁ今更考えてもしょうがない。私が取り戻したいのは幼い頃に母が優しく呼んでくれた“メリーナ”という響きを渇望しているからだ。ある日お祖父様に呼ばれて冊子を一冊テーブルに投げられた。「此処へ行け」一言で終わる会話。会話とは一言では成立しないのに我が家の会話はいつからかこうなった。それもこれもあいつに会ってからだ。空気の重い公爵邸、何時しか私の住むそこが公爵家の領地に建てられたものだと知る。弱い母には悪いけれど逃げられるのなら逃げたくて祖父に言われて可能な限りの最短で女学園の寮に移り住んだ。幼い頃に会った事のあるユアバイセン侯爵家のナタリーヌは始め私を見下していた。公爵家といえども王都にいる《《分家》》よりも力のない名ばかりの公爵。父をそう揶揄して私を馬鹿にした。私は魔法を開花してその頃には色々な魔法を自分で調べて使えるようになっていた。その夜私は彼女の部屋に転移して首を絞めた。鍵のかかった部屋に突然現れた私に慄き尚且つ絞首された彼女は私への絶対服従を誓う。笑いが止まらない。魔法さえあれば私は唯一だ!祖父が何の意図で此処に私を送ったのか暫くは気付なかった。学園が始まるまでの余暇で彼の男爵家に様子を見に行くとそこに住む可愛らしい私と同じくらいの少女が目に入った。丁度馬車に乗り込むところだったので後を付けると二人はデートしていたようだ。呑気なものだロットバリー!ターゲットを観察する、私には手足となって働く男手がない。それを見つけることも急務だった。ナタリーヌに男爵家を調べさせた。その少女はロットバリーの婚約者だった、そして彼女は女学園に入学予定。祖父が何を私に求めているのかが解った。解ったけれど言いなりになるのに少しだけ時間を擁した。葛藤したが結局は彼女を苦しめることがロットバリーを苦しめることだと思い、ターゲットを彼女に絞った。名前も気に食わなかった。祖父の気分で変更された名前、一文字だけ違うそれが何とも歯痒かった。メリーナの時は同じにしたのに何故この女の時は一文字違ったのか⋯それが呪縛のように感じた。お前
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愛の言葉

トラッシュ公爵家にそのまま帰ってきてしまったティアナは戸惑いを隠せなかった。数ヶ月前にはそこに住んでることが日常だったのに、知らぬ場所に連れてこられた感が否めなかったのだ。一つは公爵邸にロットバリーが住んでいることへの違和感だったかもしれない。そんなある日ティアナはロットバリーに誘われて公爵邸の庭園を散策した。エスコートではなくしっかりと握りしめられた手、巷で流行る恋愛小説の中に出てくる所謂恋人繋ぎで歩く庭園は恥ずかしさと戸惑いとそしてロットバリーから醸し出される安心感。ティアナの顔は真っ赤なまま庭園の端に設置された東屋に到着する。「ティア」呼び掛ける声は前のままなのに気持ちの変化があったのはティアナの方だったのかもしれない。「ティア、ゆっくりと話しをしたかった」その言葉で、こちらに帰ってきてから彼とは話していないことにティアナは気付いた。彼の願いはティアナの死だった筈なのにと、洗脳の解けている筈のティアナはまだ混同していた。「ティアは洗脳されていたんだ、だけど俺達にはどんな洗脳だったかが解らない。そして何故君があの場所に居たのかも解らないんだ。俺達の中では君は刺されたあと公爵家で治療を行っていた。それは覚えている?」「えぇ覚えているわ」「刺したやつの顔は?」「見ていないわ、何故刺されたのかも解らない」「その時ティアは何をしていたの?」ロットバリーはティアナに質問を繰り返していた。そういえば刺された時、彼は隣国に行っていて会っていないことをティアナは思い出した。「貴方とはあの時お話していないのよね?」「そうだ、俺はサリバン公爵令嬢の件でほとぼりが冷める迄と言われて隣国に行っていたんだ」「そう⋯そうだったわ、そうよね」胸の内でそうだと繰り返しながらその時の事を思い出そうとするが、途端頭痛がしてきた。痛みに顔を顰めたからだろうロットバリーがティアナの体を気遣う。「ティア無理はしないでいい、でもこうやって記憶を手繰る事こそが洗脳を解く鍵なんだ」「そうなの?」「あぁ洗脳は脳に干渉する、無い筈の記憶を植え付けるから解いてもそこに残ることがあるらしいんだ、だからこそ解いたあとにケアしないとそれがそのままティアの記憶にすり替わってしまうんだよ、解いたのに解けてない、それほど危険な魔法なんだ」「あっという間に解けるのではなくて?
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