そこは初め真っ白な空間だった。ティアナはそろそろと歩いていた。そのうちに光が差して抱きしめられる。(自分を抱きしめてくれたのは誰かしら?崖から飛び降りた時、きっと水面で体がバラバラになるはず、根拠のない自信で飛び降りたけれど、《《ちゃんと》》死ねたかしら?それならば此処は死後の世界かしら?)誰に問えば良いかわからぬ疑問があとからあとから湧いてくる。疲れを知らないティアナはまだまだ歩いてゆく。すると白い空間から茶色い空間へと変わった、少しくすんだその茶色は、そこを通ると泣きたくなった。歩いても歩いても茶色は続く。胸が苦しくて死んでも胸が苦しくなることがあるのかとティアナは思った。漸く抜けた次は黄色だった。時折聞こえる笑い声は懐かしい会いたい人の声だ。その人は何も知らない出来ないティアナを導いてくれた。心地よいその笑い声は彼女の最後の笑みが創り出したものかもしれない。ティアナはこの空間が自分が今まで生きてきた物だとそこで気がついた。やはり此処は死後の世界でこの空間には色しかないのだろう。途端に歩みがトボトボに変わった。先が見えないから心細い。でも⋯此処が死後だったら、私はロットの願いを叶えたのではないだろうか?それは喜ばしいことではないのだろうか?自問自答して「うん」声のでない頷きにティアナは満足していた。私の最期は喜びに満ちたものだった。このままあの笑い声の人の元へ行けたらいいなと考える?アレ?考える⋯⋯私は考える?⋯考える⋯。そこでティアナは目が覚めた。自分を上から覗いているのは知らない人「貴方は何方でしょう?」そう声を出したつもりだったけれど発してはいなかったみたいだ。不思議な顔でティアナを見つめる。そして《《貴婦人》》が訊ねる「貴方の名前は?」「⋯⋯ティアナ⋯」今度は声に出して応えることが出来た。
Terakhir Diperbarui : 2025-04-03 Baca selengkapnya