All Chapters of 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~: Chapter 61 - Chapter 70

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3 最後に言わせてほしい

蒼真さんの先輩や周りへの気配りに感謝しながら、私達は乾杯し、七海先生のためのバーベキューパーティーが始まった。アルコールは一切無いけれど、料理のクオリティがかなり高く、先生達や看護師もひとときの癒しの時間を過ごした。みんなで写真をとったり、おしゃべりしたり、途中で看護師仕切りのビンゴ大会があったりと、普段できないことができて、みんなとても楽しそうだ。いつもとは違う看護師達の一面が見れたりしてちょっと面白い。アルコールが入っていないのに酔っ払ってるみたいに陽気だったり、いつも大人しめな人がずっとゲラゲラ笑ってたり。そんな風に羽目を外して騒いでるみんなを、七海先生もずっとニコニコしながら見ていた。とても優しい眼差しに心が温かくなる。七海先生は、新たに来た人や帰っていく人にその都度丁寧にお礼を言った。個人的にプレゼントを渡してる看護師は、七海先生の優しい笑顔に我慢できず、本気で泣いていた。1人1人を包み込むように、大きな心で対応する七海先生。その姿にますます好感が持てた。とても素敵で、性格も良くて、こんなにもみんなに好かれている先生は珍しいかもしれない。それに、よく知らなかった私にまで気さくに話しかけてくれて、この間一緒に中華料理を食べたことも、先生との最後の楽しい思い出になった。産婦人科の担当看護師じゃないけれど、それでも七海先生がいなくなって、この穏やかな笑顔が見れなくなると思うとすごく寂しくなった。
last updateLast Updated : 2025-03-19
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4 最後に言わせてほしい

夜になり、空に星がいくつも浮かび上がった頃、私達は最高潮に盛り上がっていた。グランピングの中は優しいオレンジに照らされ、その横のバーベキューエリアはほんのり薄暗く……ランプの灯りが何ともロマンチックなムードを演出している。「藍花ちゃん、疲れたよね?大丈夫?」声をかけてくれたのは七海先生だった。「私は大丈夫です。先生こそ疲れたでしょう。1日中みんなの相手をして……」「僕は全然平気だよ。みんなのおかげでとても楽しいし」心からの笑顔がすごく眩しい。眼鏡の奥の瞳がとても優しくて……「だったら良かったです。七海先生が楽しんでくれたなら、それが1番です」私もとびきりの笑顔で答えた。「藍花ちゃん、足はもう大丈夫なの?病院で怪我したって聞いてびっくりしたけど、ちゃんとしっかり歩いてるから安心したよ」七海先生も知ってくれていたんだ。「ありがとうございます。白川先生がすぐに治療して下さったんで、もうすっかり良くなりました。七海先生にまで心配かけてしまってすみません」まだ少し痛むけれど、そんなことは言えなかった。「いや。でも、とにかく怪我が治って良かったよ。感染症は怖いからね。今日は、白川先生にこんな風にお別れ会をしてもらって感謝してる。本当に彼は素晴らしいね」七海先生がウインクをした。倒れそうになるくらいイケメンで可愛くてキュンとする。「は、はい。白川先生は七海先生の後輩なんですね。知らなかったです」私は、そのドキドキを隠したくて慌てて質問をした。「ああ、そうだよ。同じ大学だったんだ」「すごいですね。同じ大学で学んだお2人が同じ病院で働くことになるなんて」「白川先生とは何か深い縁を感じるよ」「きっと、お2人とも学生時代も今みたいに女の子に人気があったんでしょうね。想像できちゃいます」
last updateLast Updated : 2025-03-19
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5 最後に言わせてほしい

蒼真さんと七海先生なら、病院や大学だけじゃなく、どこにいてもイケメンのツートップになるだろう。全然タイプの違う2人だけれど、いつだってカッコよくて、キラキラしてて、オシャレで頭が良くて。そんな2人が私の周りにいること自体、奇跡だと思える。ふと、タイムスリップして学生時代の2人に会ってみたい気がした。今とどう違っているのだろう?それとも、あまり変わっていないのか……「確かに白川先生はモテモテだったよ。僕の2年後輩だけど、その頃はモデルもしてたからね。全学年の女子の憧れだったし、男子からも羨望の眼差しで見られてたよ。実際、僕も白川先生の噂はよく聞いていたし、何度か話をしたこともあった。きっとあの大学内で彼を知らない学生はいなかっただろうね。超が付くほどの有名人だよ」七海先生は懐かしそうに語った。「そんなにですか……。それはすごいですね」自分もとんでもなくカッコいいのに、蒼真さんのことだけを褒めていて、全然自慢しない感じがまた素敵だ。「でも、どちらかといえば白川先生はクールな人だから、女性とたくさん話してるとかチャラチャラしたイメージはないかな。一生懸命地道に頑張ってたし、ずっと好青年だと思ってた。もちろん今も同じ。患者さんへの優しさは僕も見習いたいと思ってるしね」あんなにイケメンなのに蒼真さんはチャラチャラしていなかった?不思議だけど、それを聞いて少しホッとした自分がいた。「七海先生だって患者さんにめちゃくちゃ優しいじゃないですか。病院ではみんな先生に感謝してますよ」「そうかな……。でも、白川先生みたいにはいかないよ。まだまだ修行だね」優しく微笑むその中に、寂しさみたいなものを感じるのはどうしてなんだろう?
last updateLast Updated : 2025-03-20
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6 最後に言わせてほしい

「そんな、修行だなんて。本当にお2人ともすごいです」「藍花ちゃんは優しいね。ありがとう」「いえいえ。だって、お医者さんになるには6年も医大に通わないとダメだし、研修期間もあって大変ですもんね。そういうの、しっかり乗り越えて素晴らしいお医者さんになったんですから、心から尊敬です」「看護師だって大変だよ。とても尊い仕事だと思う。産婦人科もそうだけど、どこの科の看護師も本当に良く動いてくれて感謝してるんだ。医師としては有難いよ」七海先生は、どこまでも周りのことを褒めてくれる。この優しさに毎日包まれる女性は、いつも心が温かくて幸せなのかも知れない。そんな人、今はいないと言っていたけれど……「藍花ちゃんとはもう少し一緒に仕事がしたかった。仕方ないけれど、でもとても残念だ」「七海先生……」そんな切ない目をしないでほしい……悲しくなる。「ありがとうございます。私ももっといろいろ教えてもらって勉強したかったです。先生とはあまり話す機会もなかったですから残念です。もう松下総合病院には戻られないんですか?」いつか一緒に働ける時がきたらいいのに――そんなことを願ってはいけないのかな……「そうだね。松下院長には恩があるけど、実家の病院に入ればもうずっとそこで頑張ることになるかな。産婦人科がメインだけど、あと美容系もやっていてね。父にどうしても戻ってほしいって懇願されて。松下院長にも背中を押してもらって……本当に有難い限りだよ。でも……」少しの沈黙。「……先生?」「やっぱりもう少しだけ……」七海先生は、思い詰めたように下を向いて唇を噛み締めた。「先生っ、だ、大丈夫ですか?」「ごめんごめん。本当はね……。今日、君に伝えようか悩んでたことがあってね。でも、今言わないともう二度と言えない気がするから……僕の話、聞いてもらってもいいかな?」そのとても優しい声に心拍数が上がり始める。
last updateLast Updated : 2025-03-20
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7 最後に言わせてほしい

さっきまでとは違う穏やかな表情に少しホッとしたれど、この後に続く言葉を聞くのがすごく怖かった。とんでもなく嫌なことだったり、悲しいことだったらどうしよう。「は、はい」返事をしたものの、何だか緊張が止まらない。まだ心の準備が中途半端なうちに、七海先生は静かにゆっくりと話し始めた。「僕は……今回、ただ病院に戻るだけじゃないんだ。ある人とのお見合いの話があってね」「えっ、お見合い……ですか?」「ああ。相手は父の大事な友人のお嬢さんで、僕も少しは知ってる人なんだけど、その人が僕を気に入ってくれてるらしくて。両親はそのことをとても喜んでてね」「そうだったんですか……。それはとても素敵なことじゃないですか。ご両親が喜んで下さってるなら良かったですね」やはり七海先生には決まった人がいた。こんなに素敵な人なんだから、相手がいて当然だろう。「僕は父を尊敬してる。父の支えがあって、産婦人科の医師としてずっと頑張ってこれたからね。母も、いつも僕を応援してくれてて。でも、母はあまり体が丈夫じゃないんだ。だから早く結婚して安心させてやりたいっていう気持ちが最近強くなって……」お母様を安心させてあげたい気持ち、すごくよくわかる。先生は、その人と結婚するという報告を私にしたいのか……どうしてそんなプライベートな話を私なんかにするのだろうか?「そういう理由もあって、確かに結婚は意識してる。ただ、彼女には1度断ったんだけど、どうしてもと言われて。両親にもずいぶん押されててね。正直、戸惑ったまま今に至ってるんだ。ちゃんと返事ができてなくて、それでも、もうこれ以上、彼女を待たせるわけにもいかなくて」七海先生……「先生はその人が好きじゃないんですか?どうして断ったり……」「僕には心に決めた人がいるから」私の質問を遮るように言ったその言葉と、先生の真剣な表情に、思わず心臓がキュッとなった。
last updateLast Updated : 2025-03-20
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8 最後に言わせてほしい

「心に決めた人?」「ああ。僕はその人をずっと想ってた。だけど、なかなか気持ちを伝えることができなくてね。本当に情けない男だよ。でもね、やっぱり言おうと思う。だって……その人が今、僕の目の前にいるんだから」「えっ……」先生の目の前って……?「藍花ちゃん。僕は……君が好きだよ。ずっとずっと好きだった」七海先生……?そんなの……絶対、嘘だ……「これからもずっと君を見ていられると思ったし、少しずつ距離を縮められたらって思ってた。なのに、それが叶わなくなった。でも、もし君が、僕を少しでも受け入れてくれるなら、そしたら僕は、何もかも失ったって構わないと思ってるんだ」先生のその真っ直ぐな想いに胸が熱くなった。「そ、そんな馬鹿なこと言わないで下さい。全てを失くすなんて、それがどれだけ大変なことかわかってますか?私にだって想像できます。私には……そんな価値はありません。私は、先生みたいな立派な人とは釣り合わないですから」七海先生には、産婦人科医としてこれからもたくさんの命をこの世に送り出す使命がある。何もかも失うなんて、絶対にあってはならない。「僕はね、藍花ちゃんを守りたいんだ。守る価値のある人だと思ってる。本当だよ。君の笑顔は可愛くて太陽みたいに眩しい。そばにいるだけで元気になれる。僕は立派なんかじゃないし、まだまだ男としても何かが足りたいと思ってる。だから、釣り合わないなんて言わないでほしい」七海先生の言葉に、どうしようもなく涙が溢れる。向こうにはみんながいて、こんな状況で泣いてはいけないのに……この切ない気持ちを抑えることができないのはなぜなんだろう?
last updateLast Updated : 2025-03-20
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9 最後に言わせてほしい

空には星と月。澄み切った秋の空気は清々しくて……私は、この美しい夜の告白に心が揺れた。七海先生の言葉をまだ全部は飲み込めていない上に、これが現実なのかもわからない。もし、この告白が嘘じゃなかったとしても、私には先生の思いにどう答えればいいのかわからない。でも不思議だ――私は、すごく、すごく……感動していた。ねえ、七海先生、ずっと私を想ってくれてたなんて本当ですか?お見合い相手がいるのに私なんかを?そんな思いが溢れて止まらない。「僕はもうすぐこの病院を去る。それまでに返事をもらえないかな?」「えっ……でも先生にはお見合い相手の人が……」「彼女にはもう一度きちんと話すつもりだよ。初めから『好きな人がいる』って言えば良かったんだ。両親の手前、ハッキリ言えなかった自分がいけなかった。でも、僕には大切に想ってる人がいるって、今度はちゃんと話すよ。だから、藍花ちゃんは、僕への気持ちだけを考えて返事してほしい。どんな答えがきても、次は必ず覚悟を決めるから」今の私にそんな重大なことを決められる自信はない。先生がいなくなるまであと1週間。そんな短い間に結論を出せるのか?七海先生は私に微笑んでから、背を向けてみんなのところに歩いていった。それを見届ける自分に問いかける。私はこの人が好きなの?――この人と結婚して死ぬまで一緒にいたいと思えるの?と。自分の将来のことだけれど、七海先生の一生の問題でもある。本当にどうすればいい?とにかく冷静になって考えなければ、今のままでは正しい答えなんて出せるわけがない。七海先生からの申し出はとても嬉しいし、有難いことだと思うけれど、頭の中は嬉しさと不安が入り交じり大混乱していた。一旦、わざと笑顔を作り、私は一歩前に足を踏み出した。どうしようもなく複雑な気持ちを引きづったまま――
last updateLast Updated : 2025-03-20
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1 私が本当に好きな人は誰?

今日は月那の彼、店長の笹本 太一さんから招待を受けて、2人のお店にやってきた。何か私に話があるらしい。もしかして……と嬉しい話を期待しながら、私はお店が終わり、お客さんがいなくなった店内に入った。まずは月那にマッサージをしてもらう。ベッドに横たわり、うつ伏せになると、「疲れたよ~」と思わず本音がこぼれ出した。「任せて~。月那様が藍花ちゃんの疲れを取ってさしあげますからね~」そう言って、私の体を背中から足に向かってゆっくりと揉みほぐしてくれた。太ももからふくらはぎを滑る両方の親指に、何ともいい感じに刺激され、あまりの気持ち良さに寝落ちしそうになった。本当に、月那のマッサージは最高だ。今日は招待してくれた店長さん、月那の彼氏の厚意でマッサージ代金を無料にしてもらった。今日1日仕事を頑張ったご褒美だと思ってその気持ちに甘えることにした。「藍花、寝ちゃダメだよ!早く続きを報告して。もうずっと楽しみにしてたんだから~」月那が子どもみたいに甘えた声で言ってくる。こういうところも可愛い。リラックスできる優しい音楽とマッサージに思いっきり癒されながら、私は、中川師長から歩夢君の気持ちを聞いたこと、春香さんが歩夢君を好きだったこと、白川先生に料理を作るために部屋に誘われたこと、七海先生に告白されたこと……恥ずかしいけれど、全部隠さずに話をした。そして、明後日、白川先生のマンションに来るように言われたことも――「えー!明後日!!それ、マジヤバいね」月那は、私の話を終始興奮した様子で「それでそれで?」と、次から次へ興味津々に聞いてくれた。心に溜まっていた「整理不能なこと」を全て吐き出すことができ、この時ほど月那がいてくれて助かったと思ったことはなかった。誰かに話すことで、不思議と自分の気持ちがラクになり、少し頭がスッキリするのはとても有難いことだ。
last updateLast Updated : 2025-03-20
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2 私が本当に好きな人は誰?

「もう、藍花、本当にすごいよ!紛れもないモテ期が来たよね!でも何なのよ~相手がみんなビジュアル良過ぎの超イケメン揃いって、めちゃくちゃうらやましい!ううん、あのレベルはイケメンなんて言葉じゃ表せないよ。俳優?モデル?王子様?」興奮が止まらず、子どもみたいにはしゃいでいる月那に苦笑いする。「月那、手が止まってるよ」「ああ、ごめんごめん」「別にモテ期とかじゃないけど……。でも、今までずっと平穏な毎日だったから、急にいろいろ起こって、本当にどうしたらいいのか悩むばっかりで。私は月那と違って恋愛経験が乏しいからね」「まあ確かに私ほどではないだろうけど」「月那様には敵いません」「でもさ、でもさ、本当、一気に来たよね。それが「モテ期」なんだよ。藍花の人生最大のモテ期だね。ほんとに白川先生も七海先生も歩夢君も、みんないい男ばっかりだから困るよね。誰か1人を選べなんてあまりにも残酷だわぁ~」「誰か1人を選ぶ……?そんなこと、上から目線過ぎない?そういうの、月那みたいな良い女のすることだよね」「あはは。まあ、とにかくさ、いろいろまとめて起こっているから焦るかも知れないけど、まずは冷静になって落ち着いて考えてみるしかないよ」「冷静に……」「そうだよ。たぶん考えようとしてるんだろうけど、やっぱり焦ってるんじゃない?白川先生、七海先生、歩夢君、みんなのこと1人ずつ思い浮かべてさ。この人はあ~だとか、こ~だとか。たまに3人を比較してみたり。妄想したり楽しみながらさ、もっと気楽に考えてみたらいいんじゃない?前にも言ったけど、私的には白川先生が1番ドキドキするんだけどな~」妄想したりだなんて、恥ずかし過ぎる。もし月那の言ってることができたら、もっと楽しく悩めるのかも知れないけれど……私なんかが誰かを選ぶなんて厚かましい気がして、申し訳なくて、そんな風に考えられない。どうして私はこういう性格なのだろう。わかってはいるけれど、毎度毎度情けない。
last updateLast Updated : 2025-03-21
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3 私が本当に好きな人は誰?

本当にめんどくさい性格で嫌になる。「月那はいつも白川先生のことを推すけど……そんなに好き?」「うん、白川先生はかなりいい男じゃん。あの端正な顔立ちで、たまに見せる色気のある表情がたまんないでしょ。たくさんの女性を虜にして、全く罪な男だよね。デート中もあんなイケメンが隣にいたらずっとドキドキしちゃうし、それにさ、やっぱり夜が上手そうだよね」「ま、また言ってる。夜って……そんなことで選べないよ」「そうは言うけど、そこってかなり大事だからね。夜の相性が良い方が長続きするのは間違いないよ。私達みたいにね」「えっ、あっ、う、うん」親しいだけに、月那のプライベートを聞くのはちょっと照れる。「後、白川先生の良いところは……スタイル抜群、頭が良い、めちゃくちゃお金持ち、医師として最高の腕を持っている……みたいなことかな。性格はちょっと厳しいけど、2人でいる時は案外優しいんでしょ?」「うん……まあ、厳しかったり優しかったり……」「何かいいじゃん。もしあんな素敵な人が自分の彼氏だったらって想像するだけで最高だよ」月那にそう言われて、私の頭の中に蒼真さんが浮かんだ。2人でデートしているところを無理やり頭に描く。手を繋いだり、笑いあったり、キスしたり……ダメだ、恥ずかし過ぎて耐えられない。私は、無謀にも勝手に想像してしまった映像を急いで消し去った。まだ告白もされていないのに、調子に乗り過ぎたことを反省した。「私は別に白川先生に告白されたわけじゃないし、部屋に呼ばれたのもただ料理を作りにいくだけだから」本当にそうだ。ただそれだけのことで、決してデートするわけじゃない。「あのさ、藍花。大の大人がご飯作って食べて、はいサヨナラなんてあるわけないじゃん。美味しいご飯、美味しいお酒、ベランダから星を見たりなんかしてさ……。もうその後は『私、どうなってもいい!』ってなるんだよ、絶対に」月那の妄想はなかなか激しい。そんなことになるわけないのに。「冗談は止めて。私と白川先生はね、そういうんじゃないんだよ」
last updateLast Updated : 2025-03-21
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