「でも最近全然会えないどころか、事務所で顔を見ることも少なくなりましたよね。私、このままショウさんと会えなくなったり、いきなりショウさんがほかの女性と結婚しちゃったら嫌なんです」「エマ、落ち着け」「落ち着けません。 やっと正直に告白できたんですから!」 こんなエマは初めて見た。 いつもはおとなしく、あまり自己主張をしないタイプだから今日は別人のようだ。「うれしいよ。ありがとう」「ショウさん……それって……」「言っただろう、お前を振る男なんていやしない、って」 俺の顔も多少赤いだろうが、エマの顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。 そんな様子を見て素直に愛おしい気持ちでいっぱいになった。 俺がムキになったのもイライラしたのも、エマに対して特別な感情があって嫉妬したからだ。 エマから告白されてからそれに気づくなんて、俺は恋愛に関してはまったくダメだなと自分でも思う。 きっと惚れたのは俺が先だったはずなのに。「じゃ、じゃあ……ほかに女性がいるなら今すぐ別れてください」「なんだそれ。そんな女はいない」 好きでもない女と寝たなどとは言えないし、たとえそれが仕事の延長だとしてもこれからは絶対にできない。 俺はもう、女はエマしか受け付けない。「言っとくけど、引退はさせないからな」「え、でも……」「今まで演技の勉強をがんばってきただろ。勿体ないからもう少し仕事続けてみろよ」 俺自身がエマを売り込めば仕事が増えるかもしれないし、演技が認められればヒロインじゃなくても二番手くらいの役ならオファーがくるかもしれない。 こんなときにまで仕事のことを考える俺は、相当この世界に浸ってしまってる。「仕事も大事だけど、俺と大恋愛をしよう」 テーブルの上でエマの左手をそっと握ると、再び彼女は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにした。 告白されてこんなに嬉しく思ったのは初めてだ。 そう自覚したら、この先もずっとエマを大事にしたいと心から思った。 レストランを出てふたりで車に乗り込むと、俺はそっと助手席のエマの手を握った。 今すぐにでもキスしたいところだけれど、どこに記者がいるかわからない。 写真を撮られるとまずいので、ここでは無理だ。 こうして見えない位置で手を繋ぐくらいしかできないのかと考えながら運転をしていると、
Last Updated : 2025-02-07 Read more