自分の中にある小さな粒がどんどん膨れ上がっていくのを感じ、恐怖心が芽生えてきた。――あれ、俺が好きだったのは佳乃なのに。どうして、久実を見ると胸がこんなにも熱くなるのだろうか。まじで、勘弁してくれって俺。きっと、感情のコントロールができなくなっているだけだ。冷静になれ。相手はまだ十代なんだから駄目だ。目をふっと覚ました久実はここがどこなのかわからないようで、目をキョロキョロさせている。顔を覗き込み「よく眠ってたな」と言うと、にこっと笑った。「……なんだ、夢かぁ」「は?」「赤坂さん」寝ぼけている久実は両手を伸ばして俺を引き寄せる。抱きしめる形になった。柔らかい胸が押し潰れるほど強く抱き合う。「大好き」「………………」心臓が止まりそうになるほど驚いて、言葉を失ってしまった。俺の鼻に通り抜ける久実のシャンプーの香りがさらに心臓の鼓動を加速させる。このまま理性を失いそうになった。「……おい。久実、離せ」「……ん?」ぼんやりとした顔で俺を見た。次の瞬間「変態っ」と叫びだした。その声に俺はびっくりして離れた。久実はベッドの上で顔を真っ赤にして端に行った。絶対勘違いしてる……。「おいおい、抱きついてきたのは久実なんだけど。マジで勘弁してくれって」「え? わ、私……?」恥ずかしそうにしている姿を見ると、まだまだ子どもなのだと実感する。「あぁ」「寝ぼけていたのかも。変なこと言ってなかった?」「言ってたかもしれないけど。よくわかんなかった」もしも、この想いが本物だとしても久実が二十歳まで待とうと思った。「ごめんなさい」「別にいいけど。あまり無防備なことしてると襲われるぞ。身体は大人なんだから」「はい……」*数日後。記者会見を開いてもらい、俺は堂々と答えた。卑怯な質問をしてくる奴らにも、俺は怯まないでしっかりと受け答えをする。俺は悪いことを何一つしていないのだ。テレビの向こうで応援してくれている人がいる。そして――久実も、俺を応援してくれているのだ。COLORメンバーも事務所大澤社長も、所属タレントも、いる。俺は一人じゃない。たくさんの勇気をくれた久実に、感謝しながら記者会見を終えた。
Last Updated : 2025-01-21 Read more