赤坂side俺と黒柳は事務所に呼び出しをされた。二人だけ呼ばれるなんてなにがあったのだろう。仕事を終えて事務所に行くと、社長室に行くよう言われた。すでに黒柳は来ていて、重たい空気が流れている。「お疲れ様です」いつものように挨拶すると大澤社長は少し焦ったように俺たちに座るよう指示をした。そして爆弾発言をしたのだ。「大樹の好きな人に子どもができてしまったのよ」大澤社長は怒っているふうでもなく冷静な様子だった。俺と黒柳は呆然として言葉を発せずにいる。せっかく売れてきているのにCOLORが終わってしまうのは悲しい。だけれども、スキャンダルになってしまったら、未来はない。「大樹も相手の女性も燃え上がっているの」心から好きな人ができて羨ましいなと一瞬思ってしまった。「無理矢理にでも引き離さないと……COLORは解散にまで追い込まれるかもしれない」「無理矢理って……」つぶやいた俺。愛する人と引き離す権利なんて俺たちにあるのだろうか。でも解散になったりしたら、もう仕事がないかもしれない。俺らを応援してくれている人のことを思うと、簡単に解散なんてできないと思った。だからと言って別れさせたのはなんだか間違っている気がする。黒柳は目を閉じて何も言葉を発さない。「俺らは……愛する人と結ばれることすら許されないのですか?」大澤社長に向かって問いかける。俺の言葉を聞いた大澤社長は諭すように言った。「時期とタイミングがあるのよ」重くて今の俺たちには一番大切な言葉に聞こえた。だから、何も言い返せなかった。「タイミング……大事だと思う」黒柳は冷静な声で言う。「可愛そうだけど……。あんた達は世の中に愛されるべき人間なのよ」大澤社長に諭されたが複雑な気持ちだった。
Last Updated : 2025-01-21 Read more