Semua Bab 秘めた過去は甘酸っぱくて、誰にも言えない: Bab 261 - Bab 270

287 Bab

―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』60

*アメリカの病院で検査を受けてドナーを待つ日々を送っていた。ドナーが現れるというのは、誰かが死を迎えるということ。複雑な思いではあったけれど、その分、心から感謝をして生きていこうと思った。「お母さん」「ん?」「もしも手術が失敗だったら……。赤坂さんにこの手紙を届けてほしい」「ええ」「引き出しに入れておくから」「わかった」私は微笑んで窓に目をやった。それから数日後、ドナーが見つかった。手術を受けることになった。『赤坂さんへ。この手紙を読んでいるということは、手術が失敗したということ。そして、私は天国へ旅立っているということになります。はじめて手紙を書いた日。赤坂さんが会いに来てくれるなんて考えてもいませんでした。小さい頃から赤坂さんは私の理想の男性で、大きくなったら赤坂さんみたいな人と結婚したいと夢を持ってしまいました。赤坂さんとは本当にいっぱい思い出があります。くだらない話をして笑いあったことまで、全てが大事な思い出です。ネックレスをプレゼントしてくれたことも本当に嬉しかった。素敵な時間をたくさんありがとうございました。私の人生で、赤坂さんを超える男性にはなかなかめぐり逢えませんでした。赤坂さんは、私にとって世界一の男性です。生きている間に恋する心を教えて下さり、本当にありがとうございました。天国からも、赤坂さんの活躍を応援しております。                       久実より』
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―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』61

5 ―大事な人―久実二十五歳 赤坂三十一歳赤坂sideアメリカの病院で頑張っている久実を思い浮かべながら、自宅マンションのベランダで缶ビールを喉に流し込んだ。移植が成功したと連絡をもらい、久実の母親からはかなり感謝をされた。少し様子を見て問題なければ日本に戻って来られるという。まだ久実とは話せていない。アメリカまで見舞いに行こうとも考えていたのだが、どうしてもスケジュールが合わずにそれは叶っていない。「はぁ……会いてぇなぁ」自分がこれほどまでに久実を必要としているなど、予想していなかった。いつからだろう。あいつをこんなに愛し始めたのは……。ただの子どもだったのに、こんなにも好きになってしまったんだ。久実の笑顔に癒やされて、励まされて、俺はどんどんと久実を愛していた。芸能界の仕事をしていると、美人は腐るほどいるが久実を超える女はいなかった。帰って来て、久実が退院した時に俺は久実に告白をするつもりでいる。仕事はしまくっていて体がすこしきついが、まあなんとかやっていけそうだ。ぼうっとしてきてそろそろ眠ろうかと思い部屋に入る。すると、スマホが鳴り出した。こんな時間に誰だろう……。「もしもし」『赤坂さん』「……久実?」『あーよかった! 起きてたんだね。時差があってよくわからないけれど……赤坂さん誕生日だよね』明るい声を聞くだけで、俺は泣きそうになった。電話越しだが、久実が生きていることを実感する。『赤坂さん?』「ありがとう」『ううん。何かプレゼントしたいけど、どうしたらいいかわからなくて。でも、おめでとうは言いたかったの』「ああ、すげぇ嬉しいよ」今すぐ抱きしめたい。久実を感じたい……。「元気に過ごしていたのか? 体調はどうだ?」『順調に行けば八月には日本に戻れると思う!』「ああ、待ってる」あと二ヶ月か。会いたい気持ちがどんどん募っていくのだろう。
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―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』62

   *七月になっていた。スタジオ収録を終えて事務所によると、大樹が休憩室にいた。コーヒーメーカーと冷蔵庫。ソファーにローテーブルがあるだけの狭い部屋だ。「お疲れ様」「おう」大樹の隣に座った俺は、コーヒーを飲んで目を閉じる。「赤坂の好きな子って……心臓病なんだってな」「ああ、美羽ちゃんから聞いた?」「もしかして、妹の舞ちゃんと一緒にライブに来ていた子?」「正解」「移植費用……赤坂が出したのか?」「まあな」「だから、仕事やりまくってたんだな」「当たり前。好きな人の命は俺が守る」「言ってくれたら募金とか、協力したのに」俺は大樹の気持ちはありがたいと思ったが、睨みつける。「もしも、美羽ちゃんが一刻も争う状況だったとしたら。募金なんて呑気なこと言ってられないだろ」「………ごめん。だな」反省したようにうなだれていた。「もう大丈夫だ。移植は成功したから、帰って来るのを待つだけだ」「それはよかった」自分のことのように喜んでくれる大樹のことを俺は大親友だと思っている。運命に導かれて俺たちCOLORは結成したのだ。俺はデビュー前に大澤社長に声をかけられた。ファーストフードのカウンターに座って外を眺めながらぼんやりとハンバーガーを食べていた時だ。ガラス越しに急に俺の前に立ち止まった女性が俺に向かって指をさしてきた。意味がわからなくてきょとんとしていると店内に入り込んできて突然熱く事務所に入らないかと誘ってきたのだ。何かの勧誘かと思って話を聞いていなかったがこの一言が決めてだった。『あなたの人生変えてみない? カラフルな世界を見ることができると思うわよ』まったく知らないもの同士が集められて結成したCOLORだが、今では世界一信頼できる仲間となっている。「付き合ってはいないの?」大樹の質問に俺は情けなくなる。まだ久実は俺の女じゃないのだ。「ああ……。何度か伝えているんだけど……どうしても受け入れてもらえなくてさ」「純愛だな……」「大樹には負けるけど」大樹は笑う。そしてすぐ真面目な視線になった。「告白しないの?」「戻ってきたらするけど。あいつは俺のことどう思ってんのか。ファン以上になりたくないのか、わからないんだよね」俺と久実が恋人になれる日は来るのだろうか。歳の差だってあるし、俺のことをどう思っているのかさっぱりわ
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―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』63

八月になり、久実から帰国するとメールが届いた。経過が順調で無事に退院でき日本に戻って来られるそうだ。やっと会えるのだと思うと、嬉しくて何度も繰り返しそのメールを読んだ。日本の病院に入院し、しばらく様子見てから自宅に帰ることになっているそうだが、愛する人の命が延命されたことが何よりも幸せだった。そして、久実が帰国した日に、俺は病院へ向かった。入院していたのは個室で、部屋に入ると顔色がよくなっていて昼ご飯を食べ終えたところだった。「赤坂さん、ただいま!」「お帰り、久実」少しだけふっくらしたように見える。「九月には退院出来るって。少し自宅で体力をつけて、十一月には社会復帰もできるよ。薬を飲み続けなきゃいけないけど、こんなに体が楽になって、夢のよう。全部、赤坂さんのおかげだよ。ありがとう」笑顔を向けてくれる。俺は嬉しくて言葉にならなかった。「じゃあ、十月頃に退院祝いをしよう」「うん、ありがとう」目を合わせて微笑み合うことができる幸せを噛み締める。好きな人と、同じ場所で同じ空気を吸えることが、こんなにも素晴らしいことだと気がつかせてくれた。俺はずっと、久実と生きていきたい。
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―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』64

久実side自分の家で、目覚めること。食事をすること。シャワーを浴びること。眠ること。大好きなCOLORの音楽を聞くこと。そして、大好きな人とのディナーに着ていく服を選ぶこと。当たり前のことが幸せだと感じる。それは、一度、死を覚悟したからかもしれない。人生をまっとうした誰かの心臓をもらって、生かしてもらったことに感謝して、一生懸命頑張りたいと思う。二週間前に退院をして自宅で過ごしている。私は、明日のための洋服を選んでいた。いよいよ赤坂さんとディナーの日は明日だ。楽しみで地に足が着かない気分だった。昨日美容室に行って髪の毛を染めた。そして、サラサラのボブにして気分も明るかった。何を着て行こうか。赤坂さんにプレゼントしてもらったネックレスに合うコーディネートをしなきゃ。赤坂さんに可愛いと思ってもらいたい。どんな話をしようかな。ドアのノックが鳴りお母さんが入ってくる。「今、大丈夫?」「うん。どうしたの?」「これ……読ませてもらったんだけど」手に持っていたのは懐かしい封筒だった。手術を受ける前に書いた赤坂さんへの手紙。成功したから渡すことはないと思っていた。……と言うか、忘れていた。ベッドに服を広げていた私を見て悲しそうな顔をするお母さんは、机の椅子に座った。私は手に持っていた服をそっとベッドに置く。そして、カーペットに腰を降ろした。「久実は、赤坂さんのことを男性として好きなの?」「…………うん」こんなにも嬉しそうに服を選んでいる姿を見たらわかりそうなものだけど。なんでそんなことを聞いてくるのだろう。「明日、退院のお祝いをしてくれるんでしょ?」「そうだよ」お母さんは困ったような表情を見せた。「もしもね、赤坂さんが久実に告白してきたとしたら……断りなさい」突然のお母さんの言葉に頭が真っ白になる。思考が追いつかない。「そもそも、告白なんてされてないよ!」この重たい空気を変えたくて私は冗談を言わないでと言った雰囲気で笑った。「赤坂さんはあなたのためにお金をたくさん出しているの。情が移っても不思議な話じゃない。どう考えても久実と赤坂さんは対等じゃないの。わかるわよね? お父さんとも相談したんだけどね、万が一……赤坂さんに交際をしようと言われても絶対に断りなさい」お母さんが本気で言っていることが伝わってきた
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―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』65

赤坂さんとのディナーの日、夕方になって私は家を出た。指定されたホテルへ電車で向かう。白いコートの中に着ているのは、紺のワンピースで裾がふわりと膝丈で揺れている。それにピンクベージュのパンプスを合わせた。赤坂さんに会えるのが久しぶりで素直に嬉しい。だけど、ネックレスはしなかった。お母さんがあんなにも真剣に反対するのだ。心にある『好き』という気持ちがあることが、悪い気がする。ホテルへ到着して名前を告げると部屋番号を教えてもらった。緊張しながら部屋へ向かうと、あまりの広さに足がすくんでしまう。「……な、なにここ」つぶやいた私は奥へ進んでいくとダイニングテーブルセットがある。上質なヨーロッパ家具で揃えられていた。ソファーに座っているが落ち着かない。赤坂さんはまだ来ていなかった。ここに一人でいるなんて心細い。立ち上がって部屋を見て回る。ベッドルームにはキングサイズのベッドが堂々と置かれていた。リビングに戻って窓から景色を見下ろすと、東京の夜景が一望できる。赤坂さんったらまた立派なホテルをチョイスしたようだ。ぼうっと景色を眺めながら考えている。万が一……告白されたら……。断りなさいと真剣な表情で言っていたお母さんの言葉を思い出した。だから、あえて今日は赤坂さんからプレゼントされたネックレスはしてこなかったのだ。「久実」背後から声が聞こえて振り返ると、赤坂さんが立っていた。いつの間に入ってきたのだろうか。気がつかなかった。シャツにジャケットを着ていてスラックス姿の赤坂さんは、テレビでよく見慣れているのだが生で見ると本当にカッコイイ。「遅くなってごめんな」「いえ」「退院おめでとう」「ありがとう」優しい表情が一変。悲しそうな視線を向けてくる。「……ネックレスつけてこなかったんだな」「うん……」「残念だ」私の隣に立って景色を見る赤坂さん。「景色、見てたのか?」「うん。すごく立派なホテルだなーと思って」「記念日くらい、いいホテルにしたいじゃん」おもむろにつぶやいてソファーに座った。記念日って。退院記念日ってことだよね?振り向いて赤坂さんを見る。「どうする? 食事にするか? もう少し後にする?」「あ……うん、お腹減っちゃったかな」「わかった」立ち上がった赤坂さんは電話で食事の準備をお願いしている。どうやら部
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―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』66

準備された食事はイタリアンのディナーだ。食前酒で乾杯た。「退院おめでとう」前菜は白い縦長のお皿に三種類の料理が乗っていた。続いてスープ、お肉のロースト、パスタ、ピザ、デザートが運ばれてきた。最後に紅茶を出してくれてスタッフさんは帰った。「久実、すげぇ綺麗だな」「………そうかなぁ? ありがとう」美味しい料理に気持ちが上昇していたけれど、赤坂さんの双眸が私に向けられているのに気がついて息が止まりそうになった。「ワンピースも似合ってるし、髪も美容室行ったんだな」「あ、うん……」「俺のためにお洒落してくれたんだ?」「え、ち、違う。一応ホテルだから」「あっそう」テーブルを挟んで向かい合って座っていて、ある程度の距離感はあるのに、ものすごい迫力があった。目をそらすと「久実」と低い声で呼ばれる。そっと視線を赤坂さんに戻す。「な……に?」「話があるから、真剣に聞いてほしい」「……うん」私の中で警報音が鳴り出した。万が一……好きだと言われたら、ブレーキをかけることができるだろうか……。頭の中には「断りなさい」と言っていたお母さんの言葉が木霊する。対等にはなれない関係なのだ。それに、超有名人だし……不釣り合いに決まっている。答えが決まっていないのに、赤坂さんは話をはじめてしまった。「はじめて手紙をもらって会いに行ったあの日から、俺は久実の強さに惹かれていたのかもしれない。辛い 病気なのに前向きに頑張っていた。もちろんその時は子どもだったし恋愛感情とは違ったけれど。いつも笑顔だけど心に秘めているものは純粋で繊細で。そこを乗り越えて生きている姿に俺は力をもらったんだ」ものすごい優しい顔で話しかけてくるから 目をそらすことができなかった。「気がつけば俺の中で大きな存在になっていて、何よりも大事な人になっていた。本当はずっと昔から好きだったんだろうなって気がついたんだ。俺は久実がいなければ生きていけない。久実、絶対に幸せにするから……結婚を前提に付き合ってほしい」交際だけじゃなく結婚まで視野に入れていたなんて。情が移っただけじゃないの?本当に、私のことを好きなの……?私は体が弱いの。だから、結婚したって赤坂さんの子どもを産んであげられないかもしれない。赤坂さんにとっての幸せを奪う存在かもしれないのに。頭の中でグルグルと色んな言
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―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』67

「赤坂さんのこと、そんなふうに思えない」「嘘だ」自信満々に言い当てられる。赤坂さんの表情は崩れることなく私を責め続ける。「久実は俺のことが好きだ。好きに決まってる」「…………か、勝手に決めつけないで」「久実は俺と付き合いたいと思ってる。断る理由なんてない」「はぁ? あ、赤坂さん、頭おかしくなっちゃったんじゃない?」これ以上、一緒に居たら落ちるところまで落ちてしまいそう。立ち上がった私は、ソファーへ向かう。そこに置いてあるバッグとコートを持って帰ろう。慌てて歩き出す私をじっと見ている。「今日はありがとうございました。今後、働いて少しずつでもお金を返していきます」まだダイニングテーブルに座っている赤坂さんに、頭を下げた。「久実が付き合えない理由をわかるように説明しろ」「…………」立ち上がった赤坂さんは強い怒りに満ちている 瞳をした。納得できないのだろう。じりじりと距離を詰めてくる。捕まってはいけないと思ってドアに向かって走り出すと、後ろから肩をつかまれた。そのまま壁に押しつけられる。「きっといろんなこと考えて交際できないって判断したんだろうけど。好き同士ならそれでいいだろ?」至近距離で「好き」を連発されると、自分の中で何かのネジが取れてしまいそうになる。「久実。なんで?」「……好きじゃないからっ。もう、やめて」「あっそう。じゃあ、嫌なら本気で逃げてみろ。抵抗して俺にお前の気持ちわからせてくれよ」そう言うと、顎を持ってクイッと上を向かされた。真剣な瞳は漆黒のようになっていた。顔が近づいてきて、唇が重なる。触れ合うだけのキスに頭が真っ白になった。それなのに、赤坂さんは私の唇を食べるように覆い被せてくる。好きな人とのキスにときめかない女性なんているはずがない。赤坂さんはずるい。両頬を抑えられてキスを重ねた。 いつまでたってもキスは止まない。「………や、だ、やめて……」かすれる声でやっと言葉を紡ぐ。「本当にやめてほしいのか?」私の目をじっと見つめて 質問してくる。 本当は 私の心なんて全部お見通しのはずだ。「久実、いい加減にしろ」「……」「優しくする。痛いことはしない。 途中まででもいい……久実に触れたい」こんなふうに言われたら断ることなんてできなかった。
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―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』68

目を覚ますと、赤坂さんの腕の中だった。ガッチリと抱きしめられている。早く抜けだそうと思うけれど、赤坂さんのことが好きすぎて離れる勇気が出ない。葛藤しながら抜けだそうとする。「どこ行くんだ」赤坂さんは目を覚ました。「帰る」抱きしめる力が強くなった。「俺と付き合うって言わないと離さない」「大丈夫。私も大人だから、こんなことがあっても仕方がないよ。気にしないから」「本気なんだけど。遊びで久実を抱いたわけじゃない」低く芯のある声で言われると、申し訳ない気持ちになってしまう。「私は、赤坂さんとはお付き合いできないの。これからの人生、男性と付き合うこともないだろうから、芸能人に抱かれてみたかっただけだから!」強い口調で言うと赤坂さんは手の力を緩めた。その隙に抜け出す。散乱している下着と服を拾ってバスルームへと駆け込み、素早く身につけた。広くて大理石で作られているお風呂にゆっくり入りたいと思ったけれど、一刻も早くでなければ。着替えを済ませて出て行くと、赤坂さんはまだ裸のままベッドに横になっていた。仰向けになっていて、手に頭を乗せていて、天井をぼーっと見つめている。「いつまで、そこにいるんですか?」「…………わかんない」「早く着替えしないと、風邪引きますよ」「……久実が俺の女になってくれないなら、このままここにいる。一生」「子どもじゃないんですから。わがまま言わないでください」「まあ、いいさ。また会える日を楽しみにしてるから」ベッドから抜け出して近づいてきた赤坂さんは、私の目の前に立った。恥ずかしいから何か服を着てほしい。「久実。愛してる」切ない顔をしながら、そっと私の頬に触れてくる手はすごく冷たかった。その手を払って赤坂さんを睨んだ。「…………今までありがとうございました」「なんで、別れの挨拶なわけ?」顎を摘まれて、クイッと上を向かされる。目が合うだけで、全身に火がついたように熱くなった。チュッと唇を重ねられる。赤坂さんの気持ちが唇から注ぎ込まれているようで、目眩がする。これ以上一緒にいたら流されてしまいそう。力を振り絞って胸を押し返した。「………なんで?」「………」「俺のこと好きだって顔してるのに。何が理由なんだよ」「好きじゃない。帰る」部屋から出て急いでエレベーターに向かった。呼吸が乱れる。泣き
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―スピンオフ― 潔白・純愛 『赤坂成人・川井久実編』69

家に戻ると、お母さんが台所で洗い物をしていた。素通りしようと思ったら声をかけられる。「お帰り」「………ただいま」「久実、赤坂さんとお泊りしたの?」「……でも、ちゃんと断ったから」「お父さんも心配していたよ。赤坂さんは駄目だって言ったでしょ?」「わかってるってば!」お母さんに怒鳴ってしまった私は「ごめん」と謝って、部屋に戻った。着替えをしようと服を脱いで乱暴にベッドに投げつけた。全身鏡に姿が映る。とんでもない険しい顔をしていた私は、涙を流していた。体のあちらこちらにキスマークの痕が残っている。赤坂さんがつけた印……。どうして、私は、幸せになってはいけないの? 悲しみに耐えられなくて 私はその場にしゃがみ込んだ。
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