「おじいさんは真子を怖がらないかもしれないですが、乃亜はそうはいかないと思います。彼女の手段を分かっているでしょう?」 凌央はただ冷静に事実を話した。「資料をくれ!先に帰る」 おじいさんは凌央の言葉を理解し、続けて言った。「お前の株式を乃亜に譲って、数日後に弁護士を呼んで遺言を作成し、全ての株をお前に渡す」「株なんていりませんし、遺言なんて作らせません!おじいさんには長生きしてほしいです!」 「もう80歳だし、十分生きたさ。今一番の望みは、ひ孫を抱くことだ。男の子でも女の子でもいいから、ひ孫が欲しいんだよ。凌央、お前が結婚して3年も経つのに、乃亜はまだ妊娠してないじゃないか。お前、できないのか?」 妊娠の話になると、おじいさんはかなり腹を立てていた。チャットのグループでは、連中が毎日のように可愛いひ孫やひ孫娘の写真をアップしている。おじいさんはそれを見て、羨ましくてたまらなかった。 体格は悪くない凌央に、なぜ子供ができないのか不思議に思っていた。「乃亜はまだ若いですし、仕事も忙しいので、子供を作る暇がないんです!」 凌央は乃亜を愛していなかったため、子供を作ろうとは思わなかった。 さらに言うと、蓮見家は外から見れば仲が良い家族のように思えるかもしれないが、実際には裏で駆け引きと計算ばかりで、誰もが自分の利益を優先していた。 乃亜が子供を産めば、蓮見家の裏で動いている人たちが次々に現れ、何とかして子供に害を与えようとするだろう。 過去に逃亡した経験がある彼は、子供に再びそのような苦しみを与えたくなかった。「お前は創世グループの社長だろ?そんなにお金があるのに、妻に働かせるつもりなのか?他人に言われたら、無能だって言われても仕方ないぞ!」 おじいさんは思わずその言葉を口にした。「今は忙しいので、また後で話します!」 凌央はそのまま電話を切った。 仕事のことについては、乃亜には既に話してあった。彼女が辞めたくないと言っている以上、どうしようもない。電話を切った後、彼は席を立ち、オフィスに戻った。 戻ると、おじいさんはすでに帰っていた。内線で山本を呼び入れた。 山本はすぐに入ってきて、美咲の件について尋ねられると思って、早速報告を始めた。「高橋さんはすでに家に
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