この気まずい旅は、私が彼に名刺を差し出したことで一旦終わりを迎えた。その後、私たちは時々連絡を取り合うようになり、彼には母親がお見合いを勧めている話を打ち明けた。彼は私もと言った。なぜか、私たちの間には何かが隔たっているような気がして、互いに心を開けていない感じがしていた。そんなある日、避けて通れないお見合いの場で、三十代の公務員と会うことになった。カフェで向かい合って座った彼は、延々と話し続けた。「家庭環境もあまり良くなく、仕事も少し特別だけど、結婚後は家庭に専念して家事をすれば、僕も受け入れることができるよ」彼が手を伸ばして私と握手したがった。私は素早く避け、説明しようとしたところに、元彼の陽翔がなんと車で現れ、やたらと派手に仲直りを求めてきた。「隠していた俺が悪かった。でも君も言いすぎだよ。家族を説得するから、もう機嫌を直してくれ。7年の付き合いなんだ、君だって俺を忘れられないはずだ」冗談じゃない!数日前に萌音と話したことを思い出した。「まだ陽翔と付き合ってるの?私の経験から言ってやめたほうがいいと思うよ」「家同士の都合だよ、私は彼に感情なんてないから」萌音が近づいてきて、声を潜めて言った。「ねえ、彼ってあんまり…そうじゃないの?」私は微妙に笑いながら、「まあ、うちでも男性向けの商品あるし、必要なら教えてあげて」「聞いてみて、ついでに軽くからかってみたら?」「彼との関係が全然理解できない、複雑すぎるよ」「お互い明確に利益だけの関係だって割り切れば、複雑じゃなくなるわ」初対面で気が合い、それから私は彼女と友人になり、しょっちゅう話すようになった。彼女がいくつかの顧客も紹介してくれた。二人の男は気まずかったが、私はそろそろこの場を離れることにした。「ごゆっくり、私はこれで失礼します。会社でオンライン会議があるので」バッグからポルシェの車の鍵を取り出した。飛行機に乗らないと決めてから車が必要になり、思い切って買ったばかりだった。ついでに陽翔に名刺を渡し、言った。「萌音さん、先日相談に来たの。もし購入するなら割引するから」「あなたとはもうご縁がないけど、健康には気をつけてね」名刺にはこう印刷されていた。愛光株式会社 代表取締役 加藤心美愛光、女性向けアダルトグッ
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