まだ陽翔には話していないけど、私もお金を貯めていたんだ。 本業を辞めずに夜はアダルトショップで、週末や祝日は遊園地で着ぐるみのバイトをして、一生懸命お金を貯めた。 派手な結婚式なんていらないってことも、伝えてない。 お母さんにも話したら、二人が心から愛し合っていれば、シンプルな結婚でいいって言ってくれた。 だけど、あの赤い痕を見た途端に、言葉は全部頭から消えた。 一言も伝える暇もなく、彼はまた私たちの未来のために嫌な仕事をしなければならないんだ。 くよくよしないで。 今日は彼の誕生日だし、プレゼントを渡すことも忘れてしまった。これを機に、全部伝えよう! 「やりたくなければ、今夜で仕事を辞めてもいいんだって!」 心の中で自分を励まし、ケーキを持ってカラオケに入った。 「陽翔はどの部屋にいますか?」受付の人に聞いた。 「えっ…V888です」 受付の女性は忙しそうにしながらも、笑顔で教えてくれた。 何かがおかしい気がしたけれど、深く考える間もなく、指示された方向へ向かった。 VIPルームの方はとても静かで、さっきまでの賑やかなホールとはまるで別世界だった。 不安で胸が締め付けられる。 今は仕事中だから、入っていったら迷惑だろうか? 立ち止まっていると、部屋の中から声が聞こえた。 「陽翔、どんな美人がそばにいるの?こっちは待ちくたびれた」 「彼女がちょっとしつこいんだ。さっきちゃんと話した」 懐かしい声。陽翔だった。 ガラス越しに覗くと、彼はソファの真ん中に座り、華やかな女性たちに囲まれていた。 そのうちの一人は短いスカートを着て、彼に寄り添い、手で彼のチンチンを撫でていた。 陽翔の表情は落ち着いていてリラックスしている。仕事用の服はもう脱いでいる。 これを見て、私は驚いた。 「今回はどこで?またトイレか?」 「陽翔はどこでもできるよな、さすがだぜ」周囲の男たちは慣れた様子で相槌を打ち、酒を掲げていた。 「遊びみたいなもんさ。あの子、素直で面白いんだ」 「どれだけの美人と付き合っているか数え切れないですね」 その言葉を聞いて、陽翔の膝にいた女性がふざけて立ち上がり、歌を選びに行った。 彼女が去ると、陽翔の視線がドアの外へと向けられた。
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