Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 411 - Bab 420

548 Bab

第411話

おばあさんはスーツケースを持って、一直線にソファの前まで来ると、そこに腰を下ろして言った。「理仁、私、あなた達の家に引っ越してきて一緒に住むわ」結城理仁は顔をこわばらせた。「ばあちゃん、約束したじゃないか……」「別に悪いことをしようってわけじゃないのに、なんでそんなに緊張してるのよ。何を心配しているの?」おばあさんは彼に言い返して、すぐに強気な態度で言った。「私はあなたの父親とおじさんたちから家を追い出されたの。それでどこにも行く当てがないから、孫に頼るしかないじゃないの、だめ?あなたも父親やおじさんたちと同じように、おばあちゃんを家から追い出す気?ああ、年取ってからこんな目に遭うなんて、どこに行っても邪魔者扱いされちゃって、息子や男の孫を精一杯育てて何になるっていうのかしら?やっぱり孫娘を育てたほうが私に優しくしてくれたのに」結城理仁は顔を曇らせた。「ばあちゃん、父さんやおじさんたちがばあちゃんを追い出すわけないだろ」彼のところに引っ越してきて一緒に住もうとしているからといって、それを彼の父親やおじさんたちのせいにする必要はないだろう。おばあさんはニコニコ笑った。「うちのお嫁さんが私を追い出したなんて言えないでしょ?息子たちは私が産んだんだから、彼らのせいにしたって、この私と言い争うようなことはしないでしょうよ。お嫁さんは私の実の子じゃないんだから責任を押し付けるわけにはいかないわ」結城理仁「……」「私聞いたのよ」結城理仁は少し嫌な予感がして尋ねた。「ばあちゃん、何を聞いたんだよ」「唯花さんのお姉さんが離婚するらしいわね。彼女が困っているなら、ちょうどあなたが活躍できる良い機会じゃないの。あなたが彼女の困難を解決してあげれば、唯花さんのあなたに対する好感度は急上昇よ。そうしたら、私はやっと孫娘を拝むことができるってわけ。こんなに良いチャンスはまたとないわ。おばあちゃんはそれを見逃さないわよ。今度ばかりは何を言ったって、絶対に逃しちゃだめ、だめ。私が引っ越して来るのをあなたに邪魔されるっていうなら、唯花さんにあなたが私をいじめるって言いつけてやるんだから。私の行く当てがないのに、家に置いてくれないひどい人なんだってね」結城理仁の顔色がまたさらに暗くなっていった。「ばあちゃん、これは理不尽すぎるだろ?」「だっ
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第412話

「確か私、以前誰かさんが『俺はヤキモチなんか焼かない、ネチネチしてうっとおしい!俺から妻を追いかけるなんてことはせん!』とかなんとか言ってなかったかしら。理仁、これって誰が言った言葉が知ってる?」結城理仁は顔をこわばらせ、怒りに燃え、唇をかたく閉じたままで何も言わなかった。おばあさんは笑うのに満足したようで、話題を変えた。「神崎のお嬢ちゃんはもうあそこで待っていないの?」「あの女は二度と俺に付き纏ってくることはないさ」神崎姫華はここ二日間、彼に会いに来ていなかった。彼女は内海唯花にも言っていた。結城理仁に彼女がいる、もしくは結婚している場合は、絶対に二度と彼に付き纏ったりしないと。この点に関しては、結城理仁は神崎姫華を高く評価していた。彼に対しては真の愛だからとか何とか言って、彼を追いかけ他人の結婚生活を壊したりしないのだ。あのわがままなお嬢様はこの考え方に関しては他の人間よりもしっかりとしている。「彼女はあなたと唯花さんの関係を知っているの?」「いいや、彼女に俺の左手を見せつけてやったら、これはやばいと思ってさっさと懲りたようだ」おばあさんは、ははと軽く笑い尋ねた。「あんたの左手がなんだって?左手を見ただけで危険を察知して去って行ったの、一体何をしたってのよ?」結城理仁は黙っていつでも持ち歩いているあのゴールドの指輪を取り出した。そして、左手の薬指にはめておばあさんの方に見せつけた。おばあさん「……」「ばあちゃん、辰巳に言って食事に連れて行かせるよ。スーツケースは持って行って、食べ終わったら、あいつに内海さんの店まで送ってもらってくれ」おばあさんが何か言いたげにしているところに結城理仁が付け加えて言った。「ばあちゃん、辰巳もいい歳だ。いつも俺ばかり見張ってないでさ、俺はどうせもう結婚して妻がいる人間なんだ。辰巳の奴はまだ独身だろ、他の孫にも目を向けてみなよ、じゃないと辰巳が俺だけ贔屓してずるいとか言い出すかもしれないぞ」おばあさんは口を尖らせた。「だってまだ誰も気に入った子がいないんだもの。誰か気に入る子が見つかったら、あなたの弟たちも誰一人としてあなたのように逃げられないわよ。辰巳に来てもらわなくていいわ、私が自分で彼のとこに行くから」おばあさんはそう言いながら、立ち上がりスーツケースを引いて出
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第413話

結城辰巳はおばあさんを連れて下におりていった。祖母と孫の二人はホテルに食事に行くつもりだ。オフィスビルを出たところで、辰巳は視界の隅に内海唯花の姿を見た。「おばあちゃん、兄さんが俺におばあちゃんを連れて出ていけって言った理由がわかったよ」彼は会社の入り口を指さしておばあさんに言った。「兄さんの奥さんが来たよ。お弁当箱を持ってるから、お昼ご飯を届けに来たんだ」なるほど、それで彼の兄が急いでおばあさんを連れて出ていけと言ったわけだ。おばあさんに邪魔されたくなかったから。おばあさんはその瞬間足を止め、目を細めて暫く見つめて言った。「本当に唯花さんだわ。あなた、早くお兄さんに電話して知らせなさい。他のオフィスに移るように、あなたのオフィスがいいわ。唯花さんに社長だって知られるわけにはいかないもの」結城辰巳は「うん」と一言返事し、兄に電話をかけた。別に連絡する必要はなかった。結城理仁はそもそも内海唯花が来ることを知っていたからだ。結城理仁のデスクの引き出しには望遠鏡があって、おばあさんが出て行った後、それを取り出して窓の前に立ち下を見ていた。内海唯花の車が現れると、望遠鏡をまたもとの場所に戻し、急い地下に下りて行った。結城辰巳は車でおばあさんを連れて出かけて行った。会社の入り口に停止し、車の窓を開けて内海唯花に挨拶をした。「おばあちゃん、辰巳君、こんにちは」内海唯花は笑って向かって行き尋ねた。「おばあちゃん、どうしてここにいるの?」おばあさんはわざと不機嫌な顔をした。「一言じゃ語り尽くせないわ。唯花ちゃん、先にご飯を食べてくるわね。私お腹すいちゃった。夜あなたに話すわ」「どうしたの?わかったわ、おばあちゃん、ご飯行ってらっしゃい」「義姉さん、俺おばあちゃんを連れて食事に行って来ます。兄さんはオフィスにいるから、先に兄さんに電話して、そうしたら、義姉さんを迎えに来るはずですよ」結城辰巳はそう言い終わると、また車を出しおばあさんを連れて去っていった。暫く車を進めてから彼は笑って言った。「幸い毎日この車で出勤していてよかったよ。いつか義姉さんが会社まで来ることもあるんじゃないかと思ってさ。俺が高級車を運転してたら、そこから義姉さんに疑われ始めちゃうかもしれないじゃん。そしたら、兄さんに殺されちまう」「たぶんその
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第414話

「私はもう食べたから」内海唯花は何気なく答えて。また少し考えてから口を開いた。「なら、私もあなたと一緒にいて、あなたが食べ終わってから、帰ろうか」結城理仁の黒い瞳がキラキラと輝いた。「俺のオフィスに行こうよ」内海唯花はまたそこにいる多くの人たちを見て、探るように尋ねた。「私はここの会社の人じゃないけど、勝手に入って大丈夫かな?」「俺が連れて行けば、問題ないよ」彼は内海唯花に手を差し伸べた。唯花は少しためらった後、自分の手も彼もほうへ差し出した。彼女の手を握り、結城理仁は口角を少し上にあげて笑ったが、内海唯花はそれには気づかなかった。彼は片手で彼女が持ってきてくれたお弁当箱を持ち、もう片方の手は内海唯花の手を繋いでいた。内海唯花を連れているので周りの社員たちみんな驚愕し、どういうことなのか推測をしている目で見つめられながら二人は会社に入っていった。「結城さん、こんにちは」「こんにちは」みんな結城理仁に会うと、恭しく挨拶をした。彼らは内海唯花にも微笑み軽く会釈をした。唯花に挨拶をしているが、その人は彼女を見て唯花が一体自分たちの社長とどのような関係なのか憶測していたのだ。彼らの結城社長に手を引かれて会社に入って来るということは、絶対に社長の好きな人であるに違いない。そういえば、社長は一体いつ彼女を作ったんだ?秘密主義を本当に貫くお方だ。もし今日運良くこの光景を見られなければ。彼らは結城社長にも彼女ができるなんて信じられないだろう。なるほど神崎お嬢様が最近会社の前で社長を待ち続けていないわけだ。きっと結城社長に彼女ができたことを知ったからなのだろう。神崎お嬢様はわがままではあるが、名家の出身で、プライドが高い人だから他人と一人の男を争わないのは当然のことだ。ある人は結城理仁が内海唯花の手を繋いで歩いているその光景を携帯で撮影したいと思ったが、そばにいる人に制止されてしまった。「お前、死にたいのかよ。結城社長を盗撮しようだなんて、よく思いつくな」その人は少し納得いかない様子で言った。「正面からはっきり撮ろうとしてないよ。後ろ姿だけ撮ろうと思ってさ。うちの社長にもようやく春が来たんだって、こんなの世間を釘付けにするビッグニュースだぞ。SNSにアップしたくてたまらないよ」「後ろからだったとしても撮っちゃ
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第415話

結城理仁は弁当箱の蓋を開けながら言った。「もし君がうちの会社に入って働いたら、会社にはたくさん役職があるってわかるよ。例えば部長だっていろんな部署に応じているんだしね。俺はまあ、会社の中でも上の立場でも下の立場でもないかな」内海唯花は舌をべえと出して言った。「私にあなたの会社に入って働けるような能力がなくてよかったわ。じゃなきゃ、そんなにたくさん役職があっちゃ覚えられないよ」結城理仁はじいっと彼女の瞳を見つめた。「今君の仕事もとても良いじゃないか。自由だし収入だって悪くないんだ。一体どれだけの人が君のような自由業に憧れているか知っているか?」「私はただ誰かの下について働くのが苦手なだけなの。だから卒業してから、明凛をパートナーにお店を開いたのよ。それでも明凛の家族が手助けしてくれたんだ。そうじゃなかったら、私たちはあの店を経営するのは難しかったよ」高校の前は多くの生徒が行き来するから、客の数も多くその前で店を開こうと思ったら、そんなに簡単じゃないのだ。「あの招き猫ってうちのネットショップで売ってるやつだよね?」内海唯花は結城辰巳のオフィスにあるデスクの上の招き猫を見て言った。結城理仁は「うん」と一言答えた。彼は辰巳のあの招き猫を見たくなかった。それは弟が一円も払わずに手に入れたものだからだ。「さっき仕切られてるほうのオフィスを通る時、気づかなかった?みんなのデスクの上には招き猫や花のハンドメイドが置かれているよ。あとは、あの鶴とかいろいろ、何にせよ全部君のネットショップで購入したものなんだ」内海唯花はその瞬間、達成感が湧いてきて笑って言った。「あなたと辰巳君がおすすめしてくれたおかげだね。あと姫華のおかげも大きいわ。彼女はSNSにアップしておすすめしてくれただけじゃなく、お兄さんも買ってくれたらしくて、オフィスに飾ってあるんですって。私の商売を後押ししてくれるとか。今はね、ネットショップの売り上げが、本屋の収入を上回っているのよ」友達が多ければ、物事はうまく進んでいく。友達がもし神崎姫華のように実力のある者であれば、その物事はもっと急速に進んでいくであろう。結城理仁「……」彼の妻の手作りがライバル社のオフィスにまであるというのか。彼はまだ神崎グループを攻略できていないのに、理仁の妻は彼よりも能力があるらしい。彼より
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第416話

「俺がばあちゃんに付き合ったら、もっと不機嫌にさせるだけだよ。ばあちゃんは俺がおしゃべり上手じゃなくて無口なのが嫌いだから。だから君のほうがもっと好きなんだ」内海唯花は特に多くは考えずに言った。「だったら私たち一緒におばあちゃんを気晴らしに連れて行ってあげましょうよ」結城理仁はかなり計算高い男だ。彼女に「いいよ」と答えた。「西の郊外にゆっくり過ごせる山荘があるんだ。明日君とばあちゃんをそこに気晴らしに連れて行くよ」明後日は義姉とその夫である佐々木俊介の離婚協議が行われる。彼らは唯月側の親族として、もちろんその助太刀に行く予定だ。それ故、彼はたった一日しか妻とデートする時間がないのだ。彼がさっき言った山荘とは、彼ら結城家の事業の一つだ。そこは営業の形をとっていて、誰でも利用できる。毎年そこで休暇を過ごす人はたくさんいるのだ。「そこってとても綺麗で、楽しいって聞いたことがあるわ」「俺も行ったことがないから、どんな感じなのかわからないんだ」内海唯花は携帯を取り出し、その山荘の写真を検索した。それを見た後、明日が来るのが待ち遠しくなった。一人で食べると味気ないと言っていた結城家の坊ちゃんは、たった数分で内海唯花が持ってきてくれた弁当をきれいに平らげてしまった。彼がその空になった弁当箱を洗いに行こうとした時、内海唯花が急いでそれを止めた。「私がやるわ。あなた午前中は忙しかったんでしょ、しっかり休んでちょうだい。あなたの上司のオフィスはとても居心地が良いから、そこのソファに横にならせてもらったらいいわ。あなたのデスクの上にうつ伏せになって寝るよりも気持ち良いでしょ」彼女のその優しさが結城理仁の心に甘い蜜のように広がった。結城理仁も本当に眠かった。内海唯花が弁当箱を洗っている時、彼はソファに横たわりそのまま寝入ってしまった。内海唯花が出て来た時、彼がすでに寝てしまったのを見た。それで、そうっと歩いて彼の近くまで行き、静かに彼の寝顔を見つめていた。容姿の良い人って、寝ている時もやっぱりイケメンなんだな。内海唯花は弁当箱を置き、彼の傍に腰かけて、引き続き彼の寝顔を堪能した。この男、プライドが高く、冷たくて、結婚手続きをしに行ったあの日は、彼女に必要最低限の会話しかしたくない様子だった。それがいつからか、彼は彼女に優し
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第417話

しかし、彼女のドレッサーの上にはあの紙はなかったはずだ。彼女は確か、あの紙の裏にスケッチを……あ!内海唯花は爆睡している結城理仁を見つめた。彼は別に悪気はなかったが、彼女のスケッチをだめにしてしまっただけでなく、彼らの間に交わした契約書、いや、彼女の手元にある契約書を消し去ってしまった。彼の分は絶対に大事に大事にどこかに保管してあるだろう。指で結城理仁の顔を突っついたが、彼は反応がなかった。内海唯花はまた突っつき、言った。「私の分はあなたに消されてしまったじゃない。あなたの分はまだあなたの手元にあるんでしょ、不公平だわ。私には何も保証がなくなっちゃったじゃないの」彼の分を盗んできて、それも消し去ってしまおうか?そうすれば平等になる。どちらの手元にも契約書がなければ、お互いに何かに縛られることはなくなり、彼女も安心できるのだ。彼女には彼の部屋に入るチャンスがないのを思い、内海唯花は頭が痛くなった。どうやれば、彼から契約書を盗んでこの世から消してしまうことができるだろうか?飲ませて酔わせる?奇襲して気絶させる?それとも彼を誘惑してみようか?内海唯花はいろいろな手段を考えたが、結局自分自身でそれを却下してしまった。やはり、ゆっくりとチャンスをうかがおう。内海唯花は結城理仁の部屋に入れるチャンスが来るのは時間がかかると思っていたのだが、まさか夜にその絶好のチャンスが訪れるとは全く思ってもいなかった。おばあさんが突然やって来て、結城辰巳とホテルで食事をした後、内海唯花の店にはすぐには行かず、ホテルで少し休んでいた。それから夜の九時過ぎになって、ようやく辰巳を呼び、トキワ・フラワーガーデンに送ってもらった。夜十時頃、おばあさんはスーツケースを持って結城理仁の家の前まで来て、インターフォンを鳴らした。「どちら様ですか?」清水は来客に返事をしながらやって来てドアを開けた。ドアを開けた瞬間おばあさんがいるのを見て、清水はとても驚いていた。「おばあ様、どうしていらっしゃったんですか?」「あの二人は在宅してる?」「今お戻りの途中のようです。まだ家には帰られていません。私のほうが先に帰ってきたのです」毎日の夕方、唯月は仕事を終えると息子の陽を迎えに来ていた。清水はそれ以上は店にいる必要はない。清水はおばあさんの
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第418話

結城理仁の下にはあと八人の弟や従弟たちがいるのだが、彼だけがおばあさんの悩みの種だった。おじいさんは亡くなる前に彼女と一緒に九人の孫を分析していた。結城理仁はおばあさんに対して最も孝行者だが、一番彼女を悩ます存在でもあった。さらに理仁の性格からいって、彼女が理仁の結婚を助けない限り、一生独身だろうと言っていた。今考えてみると、おじいさんの分析は正確だったといえる。「おばあ様、お二人のお気持ちはそんなに焦らなくてよいと思います。一生を共に生きていくのは、これは人生においてとても重要なことですから。もし唯月さんのように人を見る目が足りなかったら、離婚をするのはいいですが、何年もの彼女の青春を無駄にしたわけですから、その代価はとても高いです」外からドアを開ける音が聞こえてきた。「若旦那様と若奥様がお戻りになられたようです」おばあさんは彼女にまた注意した。「私の呼び方には気をつけてね」清水は何度もうなずいた。結城理仁夫婦がドアを開けて入ってきた時、清水はおばあさんと一緒にテレビを見ていた。「結城さん、内海さん、お二人ともおかえりなさい」清水は立ち上がり、笑って言った。「結城さん、おばあさんがいらっしゃっていますよ」「ばあちゃん」内海唯花はやって来て「おばあちゃん、先に来ていたのね。結城さんにどうしておばあちゃんが店に来ないんだろうって言っていたのよ」「お店に行って邪魔になるんじゃないかなと思ったの。それで辰巳に直接ここまで送ってもらったのよ」結城家の中で、おばあさんは内海唯花が一番親しい存在だ。二人はまるで祖母と孫の関係のようだった。この二人の中を結城理仁は嫉妬してしまうくらいだった。内海唯花と彼が一緒にいる時、そんなに深く仲の良い話などできない。おばあさんがここに住むのは、彼から内海唯花を奪う目的なのか?「あ、しまった!」内海唯花はあることを思い出し、結城理仁の太ももをパシンと叩いて言った。「結城さん、うちにある三部屋にはベッドがあるけど、他にはないわよ。おばあちゃんは今夜どこで寝てもらうの?」清水にベッド用品を買った時、客間にもベッドを買っておくべきだった。おばあさんが来たのに、何も準備できていないじゃないか。結城理仁は彼女が自分の太ももを叩いた手を見て、そして自分の祖母のほうに目を
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第419話

内海唯花の部屋で、彼女はおばあさんの荷解きを手伝っていた。おばあさんはお茶を飲むコップまでも持ってきていた。「おばあちゃん、一体何があったの?ここに引っ越してくるなんて」「はあ、聞かないでちょうだい。私が不孝者の孫なんて育ててしまったせいで、毎日毎日悩まされるのよね。労力もかかるのにうまくいかないし、いっそのこと構わないようにしようと思って、ここに暫くお世話になることにしたの。争いごとを避けるために会わないようにして心を落ち着かせたほうがいいでしょう」内海唯花はおばあさんの荷物を整理した後、浴室に行って浴槽にお湯をためてあげると、おばあさんを呼んだ。「おばあちゃん、お風呂がたまったわ、先に温かいお風呂に入ってきて」おばあさんは返事をし、すぐにパジャマを持って浴室に入った。「どうして私が娘か女の子の孫が欲しいかっていうと、やっぱり女の子のほうが優しく気が利くからなの。見て、私がここに来てから、理仁のあのおバカは私に気の利いた言葉の一つや二つも言えないでしょ。唯花ちゃん、やっぱりあなたは優しい人だわ」内海唯花は笑って言った。「おばあちゃん、私と結城さんの仲を取り持った時に、結城さんってとても気が利いて優しい人だって言ってたでしょう。おばあちゃん、お孫さんにはお孫さんの幸せがあるでしょう。だから孫のためにいろいろする必要はないと思うわ。おばあちゃんは晩年の生活を楽しんだら良いのよ。いつもいつも多くのことを心配する必要なんかないの」彼女が見た感じ、おばあさんの息子とその奥さんはとても親孝行な人たちだった。「そりゃあ心配しないようにしたいけど、できないんだもの。理仁が優しいだなんて私が言った?じゃあ、唯花ちゃんは彼の優しさとか気が利くところとか感じた?おばあちゃんが言ったのは間違ってなかったでしょう?」内海唯花は笑って何も言わなかった。結城理仁が誰かに関心を寄せている時、彼は確かにとても気が利いて、優しいのだ。結城理仁だけではない、誰だって同じだろう。誰かに関心を寄せている時は、いつだってその人のことを考え、優しくし、なんだってしてあげるのではないか?おばあさんはお風呂に入った後、内海唯花のベッドに横になった。内海唯花が浴室から出て来た時には、おばあさんはすでに夢の中だった。ただ――おばあさんのいびきが、ものすごくうるさ
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第420話

彼女は数歩進むと、部屋のドアが突然開いた。それは彼女の部屋ではなく、結城理仁の部屋だった。彼は温かそうな厚めのパジャマを着て、コップを持って出て来た。水でも飲みに行くのだろう。夫婦二人は向かい合った。彼は彼女を見つめ、彼女は彼を見つめた。結城理仁は電気をつけて内海唯花に尋ねた。「まだ寝ていなかったの?」内海唯花は少しすまなさそうに小声で言った。「結城さん、あなたのおばあさん寝る時いびきがすごいのよ。すごく大きくって、私眠れないの」結城理仁は彼女の部屋の前まで来て、部屋の扉を開け、中をのぞいて見てみた。確かに自分のところの祖母は大きないびきをかいて寝ている。それを聞いたらすぐにわざといびきをかいているのがわかった。彼は黙ってドアを閉め、内海唯花のほうを向いて言った。「じゃあ、君はどこで寝るつもり?」「清水さんのところで寝させてもらおうと思ったけど、彼女もう寝ちゃったみたい。呼んでみたけど、部屋は中からロックしてるみたいで、入れないからソファで寝るしかないわ」結城理仁は水を注ぎに行った。本当にソファの上にまくらとコートが置いてあった。「今夜はとても冷えるわ。雨も降ってきたし、足が出るからすごく寒くて眠れないのよ。だから部屋に戻って靴下を履いてから寝ようと思って。結城さん、明日、ベッドとか布団をいくつか買ってきましょうよ。あの客間にもベッドを置きましょ」当初は夫婦二人が住むだけで、それぞれ自分のことだけやっていればいいと思っていたから、客間にはベッドを買っていなかったのだ。清水が来てからは彼女にベッドとクローゼットを買ったが、もう一つある客間は空っぽの状態だった。これは、今夜この家の女主人が寝るところがないということだ。「部屋にも水があるんじゃないの?」内海唯花は何気なく言った。彼女が彼の顔を洗ってあげる時に、彼の部屋には何も足りないものなどなかったのだ。結城理仁は淡々と言った。「部屋には水があるけど、沸かしてお湯を飲みたかったからさ」内海唯花は「そっか」と言った。ソファの前に行くとそこに座り、彼が水をいれて、部屋に戻るのを見ていた。「結城さん」すでに部屋の入り口まで戻っていた結城理仁は彼女が呼ぶのを聞き、立ち止まって彼女のほうへ向いた。黒い瞳が獲物を狙う鷹のように彼女を見つめた。薄い唇を結び、彼
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