内海唯花は神崎姫華が今まで結城社長のことを好きだったので、神崎姫華を悲しませないように、あまり多く言わず、すぐ話題を変えた。二人はおしゃべりをしているうちに、神崎姫華は今やっていることを思い出し、言った。「兄さんがね、私が暇な時に結城社長のことを思い出して悲しむんじゃないかって心配して、私にあることを頼んできたの。私の叔母さんを探しなさいって」「叔母さん?」内海唯花は神崎家の事情にはあまり詳しくなかった。知っているのは神崎家が結城家に次ぐ名家だということだけだ。唯花が神崎家で唯一知っているのは神崎姫華だった。「そういえば、唯花、あなた達姉妹が経験したことは、うちの母の昔にとても似ているわ。うちのおばあさんとおじいさんも早く亡くなって、親戚たちは誰も母とその妹を引き受けたがらなかったせいで、母さん達は保護施設に入るしかなかったの。そこで暫く過ごして、母の妹、つまり私の叔母さんはね、まだ小さくて、かわいかったから、結婚してから間もなく子供に恵まれなかったお金持ちの夫婦に選ばれて、養子になったんだ。母はずっと施設にいたんだけど、妹のことを忘れたことがなかったの。大きくなって、一人前になってから、ずっと妹のことを探していたけど、当時は今みたいにネットなんかなかったでしょ。ネットで人探しの情報をアップして、その人が簡単に見つかるような時代じゃなかったから、なかなか成果がなかったの。今までずっと何も手掛かり一つなかったんだけど、ついこの間、叔母さんを引き取ってくれた夫婦が見つかったわ。これで叔母さんを見つけたと思って、私たちはとっても喜んでいたの。でも、母に付き添ってその夫婦のところに叔母さんの行方を尋ねに行ったところ、相手が知らないって答えたんだ」話を聞いた内海唯花も緊張してきた。「どうして知らないの?そのご夫婦が叔母さんを引き取ってくれたんじゃない。もしかして、あなたのお母様に会わせたくないから、わざと嘘をついたとか?」「違うの」神崎姫華は怒った様子で言った。「あの人達、叔母さんを引き取って一年後、自分の子供が生まれたから、叔母さんのことをどんどん気にいらなくなって、殴ったり怒鳴ったりしただけじゃなく、叔母さんが大きくなったら、実の子供と財産で争うことを心配して、夫婦は相談し、別の子供がいない夫婦に叔母さんを譲ったのよ」内海唯花も
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