結城理仁は、この娘が男が服を脱ぐのを見て叫ぶような女ではないとわかっていた。彼女はそのような状況になったら、なめまわすように体を眺め、好き勝手ベタベタあちこち触ってくるはずだ。彼は姿勢を元に戻すと、さっきの曖昧な姿勢で彼女に迫ることはなくなった。彼女にそんな態度を取っても無駄だからだ。「耳に脱脂綿か何か詰めたら寝られる?」内海唯花は首を横に振った。「それじゃどうも気持ちが悪いし、無理」ソファで寝るには布団もない。結城理仁もあのベッドのない客間の床に何かを敷いて彼女に寝ろなどとは言えない。今夜は確かに冷えるから。暫く黙った後、彼はあのコップを持って再び自分の部屋に戻ろうとした。「俺の部屋で寝て」そう言う彼の低い声が耳に届いた。内海唯花は驚いた。彼女が腹を立てて彼に一言文句を言ったら、それが効果抜群だったらしい。結城理仁は部屋の入り口まで来て、立ち止まり後ろを振り返った。内海唯花が全く動く気配がないのを見て、顔色を暗くし冷たく言った。「嫌なら別にいい。君はソファで寝ればいいだろ」そう言いながら、彼は部屋に戻りドアを閉めようとした。内海唯花はすでにまくらを手に掴み、マッハで彼の部屋のほうに急ぎ、片足をドアが閉まりきる前に部屋に突っ込み、閉まるのを阻止した。彼女のあの美しい顔に、理仁のご機嫌を取る笑みが浮かんだ。「嫌じゃない、嫌じゃないわ」結城理仁はこわばった顔で彼女を見つめた。彼女は彼のその顔は見なかったことにして、まくらを抱きしめ膝を曲げ、一気に彼がドアを押さえている片手の腕の下を通り抜けて、彼のテリトリーに入った。この日の朝、彼の顔を洗ってあげる時、内海唯花は彼の部屋全部をじっくりと見ていなかった。今この部屋に二回目入って来て、自分を抑えることができず、部屋のあちこち隅までじっくりと見渡した。彼の部屋は彼女が掃除をする必要はなく、彼が自分でやっていた。その埃一つない綺麗に掃除された部屋は、おばあさんが言っていた通り、彼が少し潔癖であるのをうかがわせた。結城理仁の部屋の見学が終わり、内海唯花は遠慮なく彼の大きなベッドに上がった。自分のまくらをベッドに置き、場所取りをして、横になり布団をかけた。寝られるベッドと暖かい布団があるって、なんて気持ちが良いのだろう。横になって二分も経たずに内海唯
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