内海唯花は自分の部屋に戻り、ドアを閉めてから、そのままドアにもたれかかった。自分の顔を少し触ってみたら、やはりまだ熱かった。彼女は自分がどうしてこんなに顔が赤くなったのかよくわからなかった。多分姉と一緒に浮気現場を押さえ、衝撃を受けたのが原因かもしれない。暫くそのまま立っていてから、内海唯花はお風呂に入ろうと決めた。あとで結城理仁に朝ごはんを作らなければならないのだ。突然清水のことを思い出し、内海唯花は慌てて電話を掛けた。電話が通じて彼女は言った。「清水さん、後で直接陽ちゃんを連れて私の店に行ってください。わざわざ一回家に帰って来なくてもいいですよ」「わかりました」「お姉ちゃんは大丈夫ですか?」「大丈夫ですよ。朝ごはんを食べてから、会社へ行くと言っています。今お姉さんにコーヒーを入れています。昨日あまり寝てないですから、きっと眠いでしょ。コーヒーは良く効くと思いますよ」内海唯花は姉のことを心配したが、仕事を始めてまだ数日だから、休みなんか取れないのはわかっていた。「運転する時、気をつけてって伝えてください」「はい、わかりました」電話を切ると、彼女はお風呂に入った。バスルームを出て、いつものようにドレッサーの前に座り、髪を梳こうとした時だった。ドレッサーの上に置いていたものが一つ足りないと気づいた。彼女が描いたかんざしのデザイン画はどこへ行ったのだ。それは自分で髪飾りなどを作ってネットショップで売るために、先に描いておいたデザインだった。二晩かけて、ようやく書き終わったものだったのだが。内海唯花は櫛を持って髪をとかしながら、その紙を探していた。しかし、どうしても見つからなかった。「どうしてなくなったの?ドレッサーの上に確かに置いといたのに、誰か私の部屋に入ったわけ……」その時、彼女は結城理仁が言ったことを思い出した。昨日彼女が寝落ちして、どうしても起きなかったから、結城理仁は彼女を抱いて部屋に戻ってきたと。つまり、彼は彼女の部屋に入ったことがある。しかし、彼女が描いたのは髪飾りの絵で、結城理仁は大の男なんだから、彼女の絵を取るわけがないだろう。それに、ただの絵で、本物じゃないのに、それをこっそり取る理由もないと思った。清水は仕事に来てからも、いつも一緒に店についてくれるし。確かに昨夜先に帰ってきたが、まさかそれを紙屑として
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