桑鈴町。啓司が新会社の仕事に集中していると、スマホに連続でメッセージが届いた。「12月12日10:24、〇〇カードの取引額:18,881,000円......」「12月12日10:26、〇〇カードの取引額:8,250,000円......」「12月12日11:00、〇〇カードの取引額:40,143,000円......」たった30分で数千万円が消費されていた。啓司はその金額には気に留めないが、子供がいったい何にこれほどの金額を使ったのか、また、この時間には学校にいるはずなのに、何をしているのか気になった。彼はスマホを手に取り電話をかけた。「逸之が幼稚園で何をしているのか確認してくれ」「かしこまりました」隣の部屋。紗枝と介護士が出雲おばさんの看病をしていた。今日は紗枝も、この前に雇っていた介護士が啓司により交代させられていたことを知った。出雲おばさんは、その介護士が啓司を激怒させた経緯や、彼女の無謀な行動について話した。紗枝はその話に驚き、半信半疑だった。「その場で動画でも撮って見せてくださればよかったのに」と彼女は微笑んだ。彼女は出雲おばさんとたくさん話すことで、少しでも出雲おばさんの痛みを和らげようとしていた。「その時は動画を撮るなんて思いつかなかったよ、惜しかったわ」出雲おばさんは介護士に「お水が飲みたい」と伝えた。介護士は急いで水を取りに行った。介護士が部屋を出ると、出雲おばさんは紗枝の手を握り、真剣な表情で聞いた。「紗枝、景ちゃんを連れ戻したことで問題は起きないかね?」紗枝にもわからなかった。「心配しないで、彼は今、目が見えず記憶も失っています。何か大事を起こす心配はありませんよ」出雲おばさんは深い息をつきながら不安そうに言った。「でも、最近どうも胸騒ぎがしてね......」啓司と二人きりで過ごしていると、出雲おばさんは彼がそれほど悪い人ではないことに気づいた。しかし、彼がずっと紗枝に優しくしてくれるかどうか、彼女は賭けることができなかった。紗枝は出雲おばさんをしっかりと慰め、「心配しないで」と言った。彼女が疲れて休んだ後、紗枝は部屋を出た。階下に降りると、啓司の部屋のドアが閉まっているのが見えたが、特に気にはしなかった。彼女は最近、妊娠の影響で時々吐
最終更新日 : 2024-11-23 続きを読む