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第25話

その言葉を聞いた広瀬雫は顔が急に青ざめた。

「広瀬雫、俺がどうして君に全く興味がないのか知りたいか」

有賀悠真は少し愉快そうで残忍な笑みを浮かべた。「君のその他人を不快にさせる態度は本当に気持ち悪い。たとえ性欲を持っていても、君が目に入ると、興ざめするぞ!」

言い終わると、彼はスーツと携帯を手にして、広瀬雫には一目もくれず、振り返って去っていった。

書斎で、広瀬雫はソファの上に残ったブランケットをじっと見つめていた。その目は失望のあまり、何も映っていなかった。

......

「広瀬さん、浅野グループの浅野さんがいらっしゃいました」

昼、会社に着いたところ、広瀬雫は受付からの電話を受けた。

彼女は少し疲れていたが「......彼女に電話をかわってください」と伝えた。

少し物音がしてから、電話から甘く澄んだ声がした。「雫姉さん、私です。浅野舞です。今会社の下にいます」

「どうしましたか」

広瀬雫の態度はあまり親切ではなく、浅野家では義母の有賀恭子以外との付き合いはあまりないのだ。

浅野舞は優しく微笑んだ。「今日は用事で来たんです。ちょうど悠真さんの会社の下を通りましたから、雫姉さんと一緒に食事をしようと思いましたの。雫姉さん、会社の隣のレストランで待っていますよ」

広瀬雫は断ろうとしたが、何かを思いつき「分かりました。じゃあ、そこでちょっと待っててください。すぐ降りますから」と返事をした。

電話を切ってから、手鏡を覗いてみた。鏡の中に映った女の顔色が良いとは言えない。

広瀬雫は気を取り直した。

レストランに着いた時、浅野舞はつまらなさそうに目の前のコーヒーをかき混ぜていた。

広瀬雫に気づくと彼女は目を見開き、すぐ立ち上がって、親切に広瀬雫の腕をとり、テーブルのところへ連れていった。

「雫姉さん、普段全然私に連絡してくれないじゃないですか。一緒に遊びに行きましょうよ。今朝恭子おばさんに電話したら、義姉さんはいつも一人で退屈そうだって言われましたよ。これからは時間があったら、時々遊びに来てもいいですか」

彼女のあどけない顔を目の前にして、広瀬雫はさりげなく彼女の手から自分の手を引っ込め、向かいの席に腰を下ろした。「いつも忙しいです」

彼女の冷たさを浅野舞は全く気にしていないようで、ニコニコ笑っていた。「雫姉さんは有賀グループのためにい
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