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第0337話

空が徐々に明るくなり始めた。

綿は疲れ果てていた。何度も眠りに落ちかけたが、突然何かに触れてそのたびに目を覚まし、浅い眠りから引き戻されていた。

夜明けの薄明るい空が広がり、綿は背後を見た。リーダーの男は深い眠りに落ちていた。

綿は何度かロープを解こうとしたが、ロープを少しでも緩めれば、椅子ごと落ちてしまう。

しかも、このロープは非常に複雑で、解くのが困難だった。Mでさえも、この状況ではお手上げだった。

それでも綿は諦めたくなかった。

他人に助けを待つのは、自分の命を他人に委ねる最も愚かな行為だ。

綿は椅子を少し揺らした。すると、後ろのロープにつけられた鈴が鳴り響き、周りの男たちが目をこすりながら起き上がった。

「何してんだよ、揺らすんじゃねえよ!」と不機嫌そうに言いながら、あくびをする男たち。

リーダーも苛立った様子で体を揺らしながら綿に近づいた。

そして、彼は彼女の口に貼られていたテープを勢いよく剥がし、綿は痛みで言葉が出なかった。

綿は赤くなった目で男を見つめた。

その無垢で疲れた様子、大きな瞳があまりにも哀れで、男はまるで自分が何か大罪を犯しているかのように、一瞬心が揺さぶられた。

「すごく痛いの。もっと楽な方法で縛れない?」綿は自力での脱出を狙っていた。

「そんなこと、考えるな」男はそっけなく答え、すぐに顔を背けた。彼女の視線を避けたのは、その魅力に引き込まれるのを恐れたからだ。

だが、男は綿の口に再びテープを貼ることはなかった。彼も綿が不快であることに気づいていた。

ずっと両手を後ろに縛られ、硬い椅子に座り、しかも宙に浮いた状態では、誰もが苦しいはずだ。

リーダーは冷水で顔を洗い、少し目を覚ました。スマホを見て、ため息をついた。「もう4時か……」

綿は時間がこれほど遅く感じたのは初めてだった。

その時、男のスマホが突然鳴り響いた。

綿は男の方を見た。男は背を向けて電話に出た。「、順調に進んでますよ。

「何だって?本当に通報があったんですか?」

男は振り返り、綿と目が合った。彼は眉をひそめ、「誰が通報したんですか?」

電話の相手が何か言うと、男は頭を下げ、謝罪した。「すみません」

「こちらのミスです。ではその女も連れてきます!」彼は電話の最後の部分で声を大きくし、綿にはっきりと聞こえた。

「了解。全部ご指示
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