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第0336話

綿は顔をそむけ、両手を強く握りしめて言った。「私についてくればいいのに」

「お前みたいなお嬢様について行っても、鞄持ちの犬みたいなもんだろうが!俺がなりたいのは、ボスだ!風を呼び、雨を操るボス、そして人を殺しても瞬きひとつしないようなボスだ。分かるか?」男は罵りながら立ち上がった。「女なんかについて行って、何の得があるんだ?

「この俺を犬のようにこき使えるのは、ただ一人だけだ!」男は振り返りながら、人差し指を立てた。

綿は無理やり顔を上げ、彼を見つめた。

男はニヤリと笑い、「お前にその名前を言っても、分からないだろうけどな」と言った。

綿は唇を噛み、「聞かせてよ」と挑むように言った。

彼女はそのM様だ、この世のことなんでも分かるのだ!

「お前、Mって聞いたことあるか?」男は目を細めた。

綿「……」

「はっ、お前みたいな女がMを知ってるわけねえだろ。もういい、無駄話はやめだ」男は肩をすくめ、失望した様子で背を向けた。

「知ってるわ」綿は静かに答えた。

男は鼻で笑い、「じゃMの基地のことも知ってるのか?」

「知ってるよ!」綿はさらに低い声で言った。

男は思わず綿を見直し、「へえ、そいつは驚いたな」と言った。

「この俺が犬になるのは、Mだけだ!」男はひまわりの種を食べながら続けた。「もしMが俺に『ついて来い』って言ったら、俺は迷わず跪いてついていくぜ!」

彼はMを知って以来、Mの下で働くことを夢見ていた。

しかし、Mは3年前に忽然と姿を消してしまったのだ。

彼は一度もMに会う機会がなく、憧れの人が消えてしまったのは痛恨の極みだった。

「私についてくればいいじゃない」綿は真剣な顔で言った。

男は冷たく笑い、「お前がMだって言うのか?」と鼻で笑った。

「もし私が……」綿が口を開きかけたが、男は歩み寄り、彼女の口にテープを貼って黙らせた。

「もう黙って、朝を待て」男は言った。

綿「……」バカ!

今まさにMと話すチャンスを逃したことに気づいてないの?

バカ!解放しろ!

綿は全身で反抗の意を示したが、男はそれを無視し、天を仰いで大きなため息をついた。「Mに会える日はいつ来るんだろうな……」

「Mが女だって聞いた時、俺はさらに感動したぜ!女でありながら、この世界を生き抜くなんて、本当にすごいことだよな!」男は興奮して両手を拳にして、
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