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第0335話

午前2時、街は次第に静けさを取り戻していた。

その静けさの中、かすかに警察のサイレンが鳴り始めた。

綿は長時間縛られていたせいで体が硬直し、隣に座る男は眠りに落ちていた。

周りにいる小柄な手下たちはゲームに夢中で、汚い言葉を発しながら遊んでいた。

あまりにも体が苦しく、綿は体を少し動かした。それに気づいた手下の一人が、「何してんだよ!」と怒鳴った。

その声でリーダーの男も目を覚ました。彼はまず時計を確認し、それから綿を見た。

綿は眉をひそめ、口に貼られたテープを取ってほしいと示した。

リーダーの男は不機嫌そうにぼやきながら、「だから女を誘拐するのは嫌いなんだよ。手間ばっかりかかる」と言った。

しかし、そう言いながらも、綿の口のテープを剥がしてやった。

「今度は何だ?」と男は苛立ちを隠せない様子で聞いた。

「体が動かせないの。少し動かせてほしい」綿は疲れた声で答えた。

このままじっとしていると、血流が逆流してしまうような感覚に襲われる。

「お前、ほんとに手間のかかる女だな。水でも飲んどけ」男は文句を言いながら、水を取りに行った。

彼は綿のそばに戻ってきて、ストローを差し出した。

綿は、この男が粗雑ながらも意外に几帳面だと感じた。

水を飲んで少し楽になったが、夜が更けるにつれて寒さが増してきた。綿はますます不快になった。

「こんなふうに縛られたままじゃ、10時までに誰も来る前に、私が先に死んでしまいそうだわ」綿は呟くように言った。

男は何も言わず、寒さを感じたのか、自分で服を着込んだ。確かに、冷え込んできた。

「はあ、俺だって好きでこんなことやってるわけじゃねえよ。金稼ぎってのは、ほんとに大変なんだよ」男はまたぼやいた。

綿は小声で、「聞こえなかった?街の方から警察のサイレンが聞こえてきてるわ」と尋ねた。

男は耳を掻きながら、「聞こえねえな」と答えた。

「警察に捕まったら、大ごとになるわよ」綿は静かに警告した。

男はにやりと笑って、綿の前にしゃがみ込み、「俺を脅してんのか?」と聞いた。

綿は彼を見つめた。彼は彼女のすぐそばにいた。

「あんたがそんなに悪い人じゃないと思ったから、忠告してあげただけよ」綿は冷静に返した。

男はクスクスと笑い、「ありがとうよ!」と笑った。

綿は首を振り、「礼なんていらないわ

「それなら、私
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