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第0156話

輝明の焦点は、ずっと楚天揚に向けられていた。

だから、ここ数日間綿が接触していたのは司礼ではなく、桜井天揚だったのか?

セントラルホテルで彼女を「ハニー」と呼んでいた親密な人物が、実は天揚だったとは?

一般には、桜井山助には二人の息子がいることが知られている。長男の天河は聡明で鋭敏、ビジネスで大成功を収めている。

一方、次男の天揚は性格が荒っぽく、制御が難しいと評されていた。しかし成人後、自らのエンターテイメントビジネス帝国を築き上げ、多くのトップスターや一二線の有名俳優・女優を抱えるようになった。

天揚は、老齢の父親が得た息子として特に甘やかされて育ち、その性格も非常に活発で派手だ。綿とはまるで同世代の友人のように親しく接している。

天揚はしばしば綿をエンターテイメント業界に引き込みたがるが、綿はいつもそれを拒み、輝明と共に平穏な生活を守りたいと考えていた。

綿が輝明と離婚するというニュースを聞いた時、天揚は最初は信じられなかった。綿は顧妄琛を離れられないと思っていたからだ。

しかし、先ほど輝明と話している綿の態度を見て、天揚はようやく信じるしかなかった。彼の大切な綿が本気で手を放そうとしている……輝明を愛さなくなったのか……

そう考えた天揚は、輝明のために椅子を引き、笑顔で「せっかくだから、一緒に座って食事していけよ」と言った。

天揚が輝明を引き留めようとするのを見て、綿も特に何も言えなかった。

ただ、彼女は輝明が残るとは思っていなかった。なぜなら、輝明は天揚を好まないと明言していたからだ。彼は天揚が彼の地位を狙って近づいていると考えていた。

しかし、今回は本当に席に着いた。

こうして何人かが椅子に座ると、この場面は少し劇的なものになった。

綿は水を飲み、なんとも言えないおかしさを感じていた。

綿は愛してやまなかった時期に、彼をやまのさちうみのさちのご馳走で引き留めようとしても無理だったのに、今は彼を追い払おうとしているのに、彼はどうしても残ると言う。

天河はため息をつき、天揚を一瞥した。「本当に余計なことばかりするな……」

前半の食事会は比較的静かだった。天揚が時折、話題を見つけて輝明と会話を交わしたが、それが終わるとまた沈黙が続いた。この食事会は決して温かい雰囲気とは言えなかった。

天揚は数杯の酒を飲み、顔色が赤くなってきた
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