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第0093話

祖母から調べたのは、彼女の医療スタイルが祖母と少し似ていたからだった。結局、綿は幼い頃から祖母に育てられたのだ。

千恵子は戸惑っていた。女弟子?

彼女は一度も弟子を取らなかった。唯一取りたかったのは綿だったが、綿は言うことを聞かず、医者になろうとしなかったのだ。

本当に腹立たしかった。

「小林、私が弟子を取らないのを忘れたの?」千恵子は厳しい顔で聞いた。

小林院長は一瞬止まり、そういえばと思い出した。

「それじゃあ……」小林院長は顔を上げ、綿を見た。

「小林おじさん、こんばんは」綿はにっこり笑って、ようやく挨拶する機会を得た。

小林院長は綿をじっくり見て、この綿……今日見たあの少女ととても似ていた。

まさか綿?

外界では綿は医学の落ちこぼれだと言われていたが、彼は知っていた。綿は簡単な人間ではなかった。

ただ、綿の声はその人とは少し違った。その人の声は明らかにもっと低かった。

そう思い、小林院長はポケットから数本の銀針を取り出し、千恵子に差し出して、「先生、これが誰のものかご存知ですか?」と聞いた。

千恵子はそれを手に取って見た。

綿もそれを見て、知らないという表情をした。

小林院長は綿の表情をこっそり観察し、彼女が驚いた様子も見せず、心底がっかりした。

もしかして、綿ではないのか?

千恵子は全身が震えるほど驚いた。「これは……」

千恵子がこんなに驚くのを見て、小林院長は焦って、「先生、何かご存知ですか?」と尋ねた。

千恵子は朗らかに笑った。「これは名医の針だよ!この人はミステリアスで、私は知らないわ」

これを聞いて、小林院長は少し落ち込んだ。

どうやら本当に綿ではないらしい。もし綿なら、桜井家の人々が彼女の能力を知らないはずがなかった。

この人は本当に控えめだった。良いことをして去って行くなんて、見つけるのが難しかった。

もし機会があれば、この人と医学についてじっくり話したかった。きっと話が尽きないだろう。

「先生、遅くなってしまいましたので、これで失礼します」小林院長は立ち上がった。

桜井家の人ではないと分かり、手がかりが途絶えたが、それでも探し続けなければならなかった。

「お邪魔じゃないよ。間もなくうちの綿ちゃんが病院に行くので、いろいろとお世話になると思うわ」千恵子が突然言った。

「もちろんです、先生。あ
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