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第6話

永遠に手に入らないものを好きになる。

裕也は焦って再び手を伸ばしたが、私の後ろから伸びてきた手が私たちを引き離した。

「高橋社長、男女の間には礼儀がありますから、私の彼女に近づかないでください」

真一は私に非常に近づき、所有欲が見えるような態度で私を腕の中に抱き寄せた。

裕也は傷ついた表情を浮かべ、期待を込めて私を見つめていた。

かつて私は彼のこの様子に弱かった。

でも、それは昔の話。彼を愛していた時の話で、今の私は彼を愛していない。

私は動かず、黙って真一の行動を許した。

彼を利用して裕也を追い払う必要があるからだ。

真一は得意げで挑発的な笑みを浮かべた。

裕也は悔しそうに拳を握りしめ、萌香を置き去りにして背を向けて歩き去った。

やはり、このような男は、相手を愛している時には何でも与える。

もう愛していないとなれば、目を向けることさえしない。

でも私は萌香に同情はしない。不倫相手に何を同情することがあるというのだ?

私は視線を戻し、感謝の意を込めて言った。

「あなたに借りができた」

真一は眉を上げて言った。

「じゃあ、家まで送るよ」

私が疑わしげな目を向けると、彼は説明した。

「俺はあなたの新しい隣人だ」

まあ、無料の運転手が増えたと思えばいいか。

忙しい日々はいつもとても穏やかだ。

あっという間に一ヶ月以上が過ぎた。

その日、昼休みが終わる頃、萌香が会社の入口で私を呼び止めた。

私たちは一緒にカフェに座った。

私はコーヒーを、萌香はミルクを注文した。

彼女は少しやつれた様子だが、顔には幸せそうな笑みが浮かんでいる。

なんとも矛盾した光景だ。

彼女はお腹を撫でながら、幸せそうに笑って言った。

「長野さん、私、妊娠したよ」

どうりで今日はハイヒールを履いていないし、カフェでもミルクしか注文しないわけだ。

彼女のお腹はまだ目立っていないので、妊娠の月数は浅いようだ。

私は無関心にコーヒーをかき混ぜながら、無表情で聞いた。

「それで?」

萌香の表情が突然、悪意に満ちたものに変わった。

「あなたは当初海外に行くことを選んだのに、なぜ今になって私たちの幸せな生活を邪魔しに戻ってきたの?」

「全部あなたのせいよ!あなたが戻らなければ、ゆんさんの心は再び動揺することはなかったのに!」

彼女は、かつての私よ
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