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第78話 お金もルックスも兼ね備えている男

3人は一瞬固まり、鈴楠は特に怒りを感じていた。裏切られたような気分だ。だから実験室の人たちは小虎を「裏切り者」と呼んでいたのか。この瞬間、その名がぴったりだと思った。

「小虎!」鈴楠は思わず声を張り上げた。先ほど二百万円もかけて買ったエルメスのスカーフ、全部返品してやる!

慶一は顔をしかめ、眉間にシワを寄せながら小虎をつかみあげ、冷たい声で尋ねた。「お前、ここで何してる?」

小虎は嬉しそうに前足を振りながら答えた。「美月がママにプレゼントしてくれたんだよ!ママのこと大好き!パパとママってすごくお似合いだと思うから、ケンカしないでね!」

慶一は小虎の言葉を一瞬考え込んだ。そんな彼をよそに、翔太は小虎をひったくるように奪い返し、鈴楠の胸に放り投げた。そして後ろに下がるやいなや、ドアを「バタン!」と閉めた。

その一連の動作はあっという間で手際よくスピーディーだった。

翔太は言い放った。「うちのモノに、もう二度と彼に触らせるな!」そして鈴楠の腕の中にいる小虎を見つめ、「必要なら、俺がしっかり教育してやろうか?」

小虎は鈴楠の腕にしがみつき、怯えた声で言った。「ママ、怖いよ......あいつ、俺のことバラバラにする気じゃない?」

鈴楠の怒りは瞬時に消え、小虎の頭をなでながら、翔太に向かって言った。「いいよ、私が何とかするから」

人工知能である以上、小虎の好みを変えるには人の手が必要だ。

「パパ」と慶一を呼ぶ癖だけは、何としても直させなければならない!

一刻も早く!我慢ができない!

鈴楠が振り返ると、ふと外にいた慶一を思い出した。彼がここに来た目的は一体何だったのか?

いや、どうでもいい。どうせまた翡翠の煙管のことだろう。苑里と翡翠の煙管、どちらを選べないのなら、もう容赦することはない。

慶一、そんな都合の良い選択肢が二つも転がってるわけがないだろう?

翔太はまだ何か言いたそうだったが、鈴楠は怒りを抑えきれず、小虎を抱きかかえたまま部屋へと戻り、美月に電話をかけた。

その間にドアベルが再び鳴り響く。翔太は眉をひそめ、慶一はまだ諦めていないのか、ならば、いい機会だ、徹底的に教訓を叩き込んでやろう!

ドアを開けると、そこには6人の女性が立っていた。全員がビシッとスーツを着こなし、大きな箱を手に持っている。翔太の登場に一瞬驚きを隠せない様子だったが、
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