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第51話 ごめんね

鈴楠は、慶一がこのプロジェクトを直接担当していると知った瞬間から、気分が重くなっていた。彼とはなるべく関わりたくないのだが、仕事ではどうしても顔を合わせなければならない。

「はぁ、面倒くさいな......」

翌朝早々、鈴楠はチームを連れて巨立グループへ向かう、伸宏が準備万端で迎えてくれた。彼に案内され、研究室へ入ったた。

研究室には最新の研究成果が展示されており、プロジェクトの進捗を直接見ることができた。入口に近づいたとき、鈴楠が伸宏と談笑していると、突然、小さな生き物が飛び出し、まるで矢のようにこちらに向かってきた。後ろの誰かが「危ない!」と叫ぶ。

目の前に現れたのは、なんと小さなトラだった。耳がピンと立ち、ヒゲがぴくぴく動いているが、そのサイズは子猫の程度で、全く威厳がない。足元の高さまでしかなく、毛並みはふさふさとしていて、頭の上に「王」の字がある以外、全然怖くない姿だった。

周りの人々が驚く中、鈴楠も一瞬動揺し、心臓がドキッとして一歩後ろに下がった。だが、その「トラ」は勢いよく彼女の靴にぶつかり、くるりと転がってしまった。「あいたた......」と小さな声を漏らし、無邪気に足元にすり寄ってきて、愛らしい顔で彼女を見上げた。

その仕草はまさに幼いトラの子そのもので、世間知らずで無邪気だった。まるで何を見ても新鮮に感じているみたいだった。誰もが思わず「家に連れて帰りたい!」と思ってしまうほどの可愛さだ。

「トラ」はぱちぱちと瞬きをし、丸々とした体を前足でトントンと叩き、先ほどぶつかった鈴楠の靴を拭うかのように軽く触れた。

鈴楠は胸を抑えながら深呼吸し、目をこすった。

「きれいなお姉さんだね......」トラが言った。声はまるで幼い男の子のようだった。

彼女は目を見開いて驚いた。「トラが話してるの!?」

いや、そもそもここにトラがいるなんてどういうこと?天然記念物がこんなところにいるなんて......。

伸宏はクスッと笑い、「驚かせてすみません」と言った。

そして、彼は優しくトラに向かって「お客様を怖がらせたんだから、謝りなさい」と促した。

すると、「トラ」は再び鈴楠の足にすり寄り、しょんぼりした声で「ごめんなさい、許して......見た目は怖いかもだけど、本当は優しいんだよ」と言った。

その言葉に全く機械的な感じはなく、まるで普通の
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